落とし穴と事例

HD化のよくある質問30|作り方・費用・株価・税金・融資・不動産の疑問にまとめて回答

HD(ホールディングス)化のご相談では、毎回のように同じ疑問をいただきます。この記事では、HD化のよくある質問30を、基本・作り方・株価と相続・税金・融資・不動産・落とし穴の7つに分けて、短く回答します。詳しい説明は、各回答のリンク先の記事をご覧ください。

この記事の結論
  • HD化は目的(承継・株価・資金・グループ経営)で判断する。規模だけでは決まらない
  • 作り方は株式移転(現金不要)と株式譲渡(現金化・融資)が中心
  • 株価は、HDが株式等保有特定会社になること、38%控除は将来の値上がり分に効くことを押さえる
  • 税金は、配当の益金不算入、経営指導料・家賃の根拠、退職金の実質退職が要点
  • 銀行には事前にグループの返済計画を説明する
HD化の疑問の全体像
目的承継・株価・資金・経営(Q1〜4)
↓
作り方・費用Q5〜9
株価・相続Q10〜14
税金Q15〜19
↓
融資Q20〜23
不動産Q24〜27
落とし穴Q28〜30
目的を決めてから、方法・株価・税金・融資を順に確認する

基本(Q1〜4)

Q1. HD(ホールディングス)とは何ですか?子会社の株式を持ち、グループを支配・管理する会社です。オーナーとグループの事業会社の間に1階層を挟む形になります。HD(ホールディングス)とは

Q2. 純粋持株会社と資産管理会社は何が違いますか?子会社の管理が中心なら純粋持株会社、自ら事業もするなら事業持株会社、オーナー家の不動産や預金を持つ会社は資産管理会社と呼ばれます。法律上の区分ではありません。HDの種類、資産管理会社とHD

Q3. HD化の主なメリットは何ですか?承継の単位をHD株式にまとめられる、事業ごとにリスクを分けられる、配当でグループの資金を集められる、M&Aがしやすくなる、などです。HD化のメリット10選

Q4. デメリットはありますか?維持コスト、手続きの手間、株式等保有特定会社としての評価、事業承継税制の対象外になりやすいことなどです。HD化のデメリットと落とし穴

作り方・費用(Q5〜9)

Q5. HDはどうやって作りますか?株式移転・株式交換・株式譲渡・会社分割の4つが主な方法です。HDの作り方の全体像

Q6. 株式移転と株式譲渡はどう選びますか?現金を動かさずに作るなら株式移転、オーナーが現金化したい・後継者が支配権を得たいなら株式譲渡です。株式譲渡には譲渡所得税と、HDの買取資金が必要です。株式移転でHDを作る、新しく作ったHDに株式を売ってHD化する

Q7. 費用と期間はどのくらいですか?登録免許税、専門家の報酬、株価算定の費用がかかり、株式移転なら数か月が目安です。HD化にかかる費用と期間

Q8. HD化の前に何を確認すべきですか?株主名簿、許認可、取引先や金融機関との契約、借入と保証です。HD化の前に確認するチェックリスト

Q9. 許認可は引き継げますか?株式移転なら事業会社はそのまま残るため、原則として影響は小さいですが、会社分割や合併では業種ごとに確認が必要です。HD化と許認可

株価・相続(Q10〜14)

Q10. HDの株価はどう評価されますか?資産の大半が子会社株式なら株式等保有特定会社として、原則純資産価額で評価されます(財産評価基本通達189(2))。株式保有特定会社に注意

Q11. 含み益の控除は37%ですか、38%ですか?令和8年4月1日以後の相続・贈与等は38%です(財産評価基本通達186-2、従来は37%)。受入時の含み益には効かず、HD化の後の値上がり分に効きます。HD化で株価が下がる仕組み

Q12. 不動産を持つHDは何に注意しますか?土地保有特定会社の判定と、取得から3年以内の土地・建物が通常の取引価額で評価される点です(同189(3)・185)。土地保有特定会社とHD、不動産を持つHDの相続

Q13. HD株式はいつ後継者に渡せばよいですか?株価が低い時期の贈与が基本ですが、総則6項のリスクも考え、承継の目的とセットで決めます。HD株式を後継者に贈与する、HD化による株価対策と総則6項

Q14. 会社を継がない子どもにはどう配慮しますか?HD株式以外の財産の配分、遺言、遺留分への備えを考えます。会社を継がない子どもへの配慮

税金(Q15〜19)

Q15. 子会社からの配当に税金はかかりますか?計算期間を通じて完全支配関係がある完全子法人株式等なら、全額益金不算入です(法人税法23条)。HD化直後の配当は条件の確認が必要です。HDが子会社から受ける配当は非課税?

Q16. 経営指導料はいくらにすべきですか?HDが実際に提供する役務の内容と費用を根拠に決めます。根拠がないと寄附金とされるおそれがあります。経営指導料の決め方

Q17. 社長を退いてHD社長になると退職金は出せますか?事業会社で実質的に退職したといえる事情が必要です(法人税基本通達9-2-32)。その後も経営上主要な地位にあると認められません。分掌変更による退職金

Q18. 組織再編はいつ課税されますか?適格要件を満たさないとき、資産の時価評価や株主の課税が生じます。組織再編税制の基本、完全支配関係の適格要件

Q19. 税務調査では何を見られますか?組織再編の事業目的、株式の売買価格、経営指導料・家賃・貸付、退職金、配当の区分、相続税の株価です。HD化と税務調査

融資(Q20〜23)

Q20. HD化すると銀行の見方は変わりますか?グループ全体(連結)で見られるようになります。HD化すると銀行の見方はどう変わる?

Q21. 銀行にはいつ、何を説明しますか?実行の前に、目的・グループの返済計画・保証の扱いを説明します。HD化を金融機関にどう説明するか

Q22. HDが株式を買い取る資金は借りられますか?借りられる場合があります。返済原資は主に子会社からの配当で、分配可能額と利益の安定性が審査の焦点です。HDが株式を買い取る資金の融資、配当で返済する融資の注意点

Q23. 公的な融資や保証は使えますか?日本政策金融公庫の事業承継向けの融資や、信用保証協会の事業承継特別保証が候補になります。要件は各制度の公式ページ(日本政策金融公庫 事業承継支援、全国信用保証協会連合会 事業承継の保証)で確認します。日本政策金融公庫の事業承継の融資制度とHD、信用保証協会の事業承継特別保証

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不動産(Q24〜27)

Q24. 物件ごとに増えた法人はどうまとめますか?HD化で株主をまとめるか、適格吸収合併で法人の数を減らします。2段階で進めても構いません。不動産投資家のHD化、複数の不動産法人を合併でまとめる

Q25. 本業の会社から不動産を切り離すには?会社分割か、HDへの売買です。売買ならHDの借入で事業会社に資金を入れられます。本業の会社から不動産を切り離す

Q26. HDが子会社に貸す家賃はどう決めますか?近隣の相場を根拠に決めます。安すぎる家賃は寄附金とされ、相場の家賃を受け取ったのと同じ課税になります。HDが不動産を持ち子会社に貸す:家賃の決め方

Q27. 小さなビル1棟の会社でもHD化すべきですか?多くの場合、急ぐ必要はありません。生前贈与や種類株式の方が手軽なこともあります。小さなビル・アパートを持つ会社のHD化は得か

落とし穴(Q28〜30)

Q28. よくある失敗は何ですか?節税だけが目的の設計、適格要件の見落とし、HD化直後の配当、根拠のない経営指導料・家賃などです。HD化の落とし穴10

Q29. 適格要件を満たせば否認されませんか?濫用と認められれば、法人税法132条の2で否認されることがあります(ヤフー事件など)。組織再編の行為計算否認

Q30. 実際の事例を知りたいです。目的別の典型パターンと、地方銀行から1.6億円を調達した事務所の支援事例をまとめています。HD化の事例集、クレフティの支援事例

まとめ

HD化の疑問の多くは、「何のためにHD化するのか」が決まると答えが絞れます。作り方は株式移転と株式譲渡が中心で、株価は株式等保有特定会社と38%控除の仕組みで決まり、税金では配当・経営指導料・家賃・退職金の根拠が問われます。そして、どのパターンでも金融機関への事前の説明が欠かせません。

ここで取り上げた質問は入口です。自社の株主構成や財務に当てはめると、答えが変わることもあります。気になる点は、詳しい記事で確認したうえで、専門家に相談してください。

よくある質問

中小企業でもHD化する意味はありますか?
あります。ただし規模より目的で判断します。承継の単位をまとめたい、事業と不動産を分けたい、グループで資金を集めて新しい事業や買収に回したい、といった目的があれば意味があります。1社だけで今後も大きく変わらない会社では、維持コストに見合わないこともあります。
HD化すると株価は必ず下がりますか?
必ずではありません。HDは株式等保有特定会社として純資産価額で評価されやすく、含み益の38%控除が効くのはHD化の後の値上がり分だけです。事業会社の類似業種比準価額が低く出ていた場合は、かえって上がることもあります。HD化の前後で試算することが前提です。
HD化は銀行に事前に相談すべきですか?
事前に相談すべきです。HD化すると金融機関はグループ全体で審査し、保証や担保の付け替えが必要になることもあります。実行の後に知らせると、与信の見直しや信用の毀損につながりかねません。目的、グループの返済計画、保証の扱いを整理して説明します。

※本記事は2026年10月30日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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