HD(ホールディングス)化のご相談では、毎回のように同じ疑問をいただきます。この記事では、HD化のよくある質問30を、基本・作り方・株価と相続・税金・融資・不動産・落とし穴の7つに分けて、短く回答します。詳しい説明は、各回答のリンク先の記事をご覧ください。
- HD化は目的(承継・株価・資金・グループ経営)で判断する。規模だけでは決まらない
- 作り方は株式移転(現金不要)と株式譲渡(現金化・融資)が中心
- 株価は、HDが株式等保有特定会社になること、38%控除は将来の値上がり分に効くことを押さえる
- 税金は、配当の益金不算入、経営指導料・家賃の根拠、退職金の実質退職が要点
- 銀行には事前にグループの返済計画を説明する
基本(Q1〜4)
Q1. HD(ホールディングス)とは何ですか?子会社の株式を持ち、グループを支配・管理する会社です。オーナーとグループの事業会社の間に1階層を挟む形になります。HD(ホールディングス)とは
Q2. 純粋持株会社と資産管理会社は何が違いますか?子会社の管理が中心なら純粋持株会社、自ら事業もするなら事業持株会社、オーナー家の不動産や預金を持つ会社は資産管理会社と呼ばれます。法律上の区分ではありません。HDの種類、資産管理会社とHD
Q3. HD化の主なメリットは何ですか?承継の単位をHD株式にまとめられる、事業ごとにリスクを分けられる、配当でグループの資金を集められる、M&Aがしやすくなる、などです。HD化のメリット10選
Q4. デメリットはありますか?維持コスト、手続きの手間、株式等保有特定会社としての評価、事業承継税制の対象外になりやすいことなどです。HD化のデメリットと落とし穴
作り方・費用(Q5〜9)
Q5. HDはどうやって作りますか?株式移転・株式交換・株式譲渡・会社分割の4つが主な方法です。HDの作り方の全体像
Q6. 株式移転と株式譲渡はどう選びますか?現金を動かさずに作るなら株式移転、オーナーが現金化したい・後継者が支配権を得たいなら株式譲渡です。株式譲渡には譲渡所得税と、HDの買取資金が必要です。株式移転でHDを作る、新しく作ったHDに株式を売ってHD化する
Q7. 費用と期間はどのくらいですか?登録免許税、専門家の報酬、株価算定の費用がかかり、株式移転なら数か月が目安です。HD化にかかる費用と期間
Q8. HD化の前に何を確認すべきですか?株主名簿、許認可、取引先や金融機関との契約、借入と保証です。HD化の前に確認するチェックリスト
Q9. 許認可は引き継げますか?株式移転なら事業会社はそのまま残るため、原則として影響は小さいですが、会社分割や合併では業種ごとに確認が必要です。HD化と許認可
株価・相続(Q10〜14)
Q10. HDの株価はどう評価されますか?資産の大半が子会社株式なら株式等保有特定会社として、原則純資産価額で評価されます(財産評価基本通達189(2))。株式保有特定会社に注意
Q11. 含み益の控除は37%ですか、38%ですか?令和8年4月1日以後の相続・贈与等は38%です(財産評価基本通達186-2、従来は37%)。受入時の含み益には効かず、HD化の後の値上がり分に効きます。HD化で株価が下がる仕組み
Q12. 不動産を持つHDは何に注意しますか?土地保有特定会社の判定と、取得から3年以内の土地・建物が通常の取引価額で評価される点です(同189(3)・185)。土地保有特定会社とHD、不動産を持つHDの相続
Q13. HD株式はいつ後継者に渡せばよいですか?株価が低い時期の贈与が基本ですが、総則6項のリスクも考え、承継の目的とセットで決めます。HD株式を後継者に贈与する、HD化による株価対策と総則6項
Q14. 会社を継がない子どもにはどう配慮しますか?HD株式以外の財産の配分、遺言、遺留分への備えを考えます。会社を継がない子どもへの配慮
税金(Q15〜19)
Q15. 子会社からの配当に税金はかかりますか?計算期間を通じて完全支配関係がある完全子法人株式等なら、全額益金不算入です(法人税法23条)。HD化直後の配当は条件の確認が必要です。HDが子会社から受ける配当は非課税?
Q16. 経営指導料はいくらにすべきですか?HDが実際に提供する役務の内容と費用を根拠に決めます。根拠がないと寄附金とされるおそれがあります。経営指導料の決め方
Q17. 社長を退いてHD社長になると退職金は出せますか?事業会社で実質的に退職したといえる事情が必要です(法人税基本通達9-2-32)。その後も経営上主要な地位にあると認められません。分掌変更による退職金
Q18. 組織再編はいつ課税されますか?適格要件を満たさないとき、資産の時価評価や株主の課税が生じます。組織再編税制の基本、完全支配関係の適格要件
Q19. 税務調査では何を見られますか?組織再編の事業目的、株式の売買価格、経営指導料・家賃・貸付、退職金、配当の区分、相続税の株価です。HD化と税務調査
融資(Q20〜23)
Q20. HD化すると銀行の見方は変わりますか?グループ全体(連結)で見られるようになります。HD化すると銀行の見方はどう変わる?
Q21. 銀行にはいつ、何を説明しますか?実行の前に、目的・グループの返済計画・保証の扱いを説明します。HD化を金融機関にどう説明するか
Q22. HDが株式を買い取る資金は借りられますか?借りられる場合があります。返済原資は主に子会社からの配当で、分配可能額と利益の安定性が審査の焦点です。HDが株式を買い取る資金の融資、配当で返済する融資の注意点
Q23. 公的な融資や保証は使えますか?日本政策金融公庫の事業承継向けの融資や、信用保証協会の事業承継特別保証が候補になります。要件は各制度の公式ページ(日本政策金融公庫 事業承継支援、全国信用保証協会連合会 事業承継の保証)で確認します。日本政策金融公庫の事業承継の融資制度とHD、信用保証協会の事業承継特別保証
M&A仲介役員・FAS出身の公認会計士の経験をもとに、株主構成の整理、株価算定、親族内承継、外部への売却とデューデリジェンスまで支援します。初回のご相談は無料です。
事業承継・M&A支援を見る不動産(Q24〜27)
Q24. 物件ごとに増えた法人はどうまとめますか?HD化で株主をまとめるか、適格吸収合併で法人の数を減らします。2段階で進めても構いません。不動産投資家のHD化、複数の不動産法人を合併でまとめる
Q25. 本業の会社から不動産を切り離すには?会社分割か、HDへの売買です。売買ならHDの借入で事業会社に資金を入れられます。本業の会社から不動産を切り離す
Q26. HDが子会社に貸す家賃はどう決めますか?近隣の相場を根拠に決めます。安すぎる家賃は寄附金とされ、相場の家賃を受け取ったのと同じ課税になります。HDが不動産を持ち子会社に貸す:家賃の決め方
Q27. 小さなビル1棟の会社でもHD化すべきですか?多くの場合、急ぐ必要はありません。生前贈与や種類株式の方が手軽なこともあります。小さなビル・アパートを持つ会社のHD化は得か
落とし穴(Q28〜30)
Q28. よくある失敗は何ですか?節税だけが目的の設計、適格要件の見落とし、HD化直後の配当、根拠のない経営指導料・家賃などです。HD化の落とし穴10
Q29. 適格要件を満たせば否認されませんか?濫用と認められれば、法人税法132条の2で否認されることがあります(ヤフー事件など)。組織再編の行為計算否認
Q30. 実際の事例を知りたいです。目的別の典型パターンと、地方銀行から1.6億円を調達した事務所の支援事例をまとめています。HD化の事例集、クレフティの支援事例
まとめ
HD化の疑問の多くは、「何のためにHD化するのか」が決まると答えが絞れます。作り方は株式移転と株式譲渡が中心で、株価は株式等保有特定会社と38%控除の仕組みで決まり、税金では配当・経営指導料・家賃・退職金の根拠が問われます。そして、どのパターンでも金融機関への事前の説明が欠かせません。
ここで取り上げた質問は入口です。自社の株主構成や財務に当てはめると、答えが変わることもあります。気になる点は、詳しい記事で確認したうえで、専門家に相談してください。
