レシート・証憑

レシートは必ず残さないといけない?スマホ撮影・スキャナ保存のルール

「レシートって、本当に全部とっておかないといけないの?」「スマホで撮ったら捨てていい?」。個人事業主やひとり会社の方から、毎年のように受ける質問です。

結論からいうと、レシートや領収書は、税金の計算の根拠となる書類として保存義務があります。ただし、スマホやスキャナで読み取って電子データで保存する方法(スキャナ保存)も認められていて、ルールを守れば紙を捨てることもできます。この記事では、保存の義務がある理由と、スマホ撮影で済ませるためのルールを整理します。

この記事の結論
  • レシート・領収書は、所得税・法人税の帳簿書類として保存義務がある(個人は原則5年または7年、法人は原則7年)
  • 消費税を本則課税で計算する事業者は、レシート(インボイス)の保存が仕入税額控除の要件にもなる
  • スマホ撮影で紙を捨てるには、スキャナ保存の要件(入力期間・解像度・タイムスタンプ等)を満たす必要がある。満たさないなら紙も残す
  • メールやPDFで受け取った領収書は電子データのまま保存する(電子取引)

レシートを残さないといけない理由

所得税・法人税:帳簿と一緒に保存する書類

国税庁タックスアンサーによると、個人事業主(事業所得・不動産所得などがある人)は、白色申告でも青色申告でも、帳簿をつけ、取引に関して作成・受領した書類を保存する義務があります。法人も同様に、帳簿と、取引に関して作成・受領した書類を保存しなければなりません。

区分帳簿領収書・請求書など根拠(国税庁)
個人・青色申告原則7年原則7年(請求書・見積書・納品書など5年でよいものもある)タックスアンサーNo.2070
個人・白色申告法定帳簿7年5年タックスアンサーNo.2080
法人7年(欠損金が生じた事業年度などは10年)7年(同)タックスアンサーNo.5930

レシートは、「その金額を、その相手に、その日に払った」ことを示す一番わかりやすい証拠です。税務調査で経費の中身を聞かれたとき、レシートがなければ、別の資料で説明しなければなりません。年数の数え方や個人・法人の違いは、レシート・領収書は何年保存する?(個人事業主)と(法人)で詳しく扱っています。

消費税:本則課税ならインボイスの保存が控除の要件

消費税の課税事業者が、一般的な方法(本則課税)で消費税を計算する場合、仕入れや経費にかかった消費税を差し引く(仕入税額控除)には、帳簿と、適格請求書(インボイス)などの請求書等の両方の保存が必要です(タックスアンサーNo.6496)。店のレシートは、登録番号などの記載があれば「適格簡易請求書」にあたります。

つまり本則課税の事業者にとって、レシートを捨てることは、所得税・法人税の証拠を失うだけでなく、消費税を余分に納めることにもつながります。免税事業者や簡易課税の事業者で何が変わるかは、クレジットカードの明細と消費税で整理しています。

スマホ撮影・スキャナ保存のルール

紙で受け取ったレシートを、スマホやスキャナで読み取って保存する方法を、電子帳簿保存法のスキャナ保存といいます。国税庁のパンフレット「はじめませんか、書類のスキャナ保存」(令和6年1月以降用)によると、主なルールは次のとおりです。

ルール内容(レシート・領収書・請求書などの重要書類)
入力期間受け取ってから速やかに(おおむね7営業日以内)。事務処理規程を定めていれば、業務サイクル(最長2か月)経過後おおむね7営業日以内
解像度・色200dpi相当以上、カラー(赤・緑・青それぞれ256階調以上)
タイムスタンプ入力期間内に付す。ただし、入力期間内に保存したことを確認できるシステム(クラウドなど)なら代えられる
ヴァージョン管理訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除できないシステムを使う
帳簿との関連データと帳簿の記録を相互に確認できるようにする
見読性14インチ以上のカラーディスプレイ・カラープリンタ等を備える
検索取引年月日・金額・取引先で検索できる(税務職員のダウンロードの求めに応じる場合は、範囲指定・組み合わせ検索は不要)

ひとつひとつを自分で満たすのは大変なので、スキャナ保存に対応した会計ソフトや証憑管理アプリを使うのが一般的です。国税庁のパンフレットでも、対応ソフト等を使うのが一般的とされています。

要件を満たせば紙は捨てられる、満たさなければ紙も残す

国税庁のパンフレットでは、要件を満たしてスキャナ保存すれば、読み取った後の紙の書類を廃棄できるとされています。始めるための届出も原則不要です(スキャナ保存を始める前に受け取った過去分の重要書類を対象にする場合は届出が必要)。

逆に、スマホのカメラロールに撮っただけ、記帳アプリに画像を取り込んだだけで、上記の要件を満たしていない場合は、そのデータは「記帳のための控え」です。紙の原本を保存期間のあいだ残しておく必要があります。スキャナ保存は「選んだ人だけが使う制度」であり、紙で保存し続けること自体はまったく問題ありません。

メールやPDFで受け取った領収書は「電子データのまま」

ネット通販の領収書、メールで届く請求書PDF、クラウドサービスの利用明細など、電子データで受け取ったものは「電子取引」にあたります。国税庁のパンフレットでは、法人・個人事業者は電子取引データの保存への対応が必要とされています。

ポイント内容
保存の形電子データのまま保存する(印刷して紙で残すだけでは不可)
改ざん防止訂正削除の履歴が残るシステムを使う、または事務処理規程を定めて運用するなど、いずれかの措置
検索日付・金額・取引先で検索できるようにする
小規模事業者の緩和基準期間(2年前)の売上高が5,000万円以下などの場合、税務調査でデータのダウンロードの求めに応じられれば、検索の要件は不要

個人事業主やひとり会社で多いのは、「受け取ったPDFを、`20261025_〇〇商店_5500.pdf` のように日付・取引先・金額がわかるファイル名で、年ごとのフォルダに保存する」という方法です。電子帳簿保存法の全体像は電子帳簿保存法の基本で解説しています。

実務でのおすすめの残し方

  1. 紙のレシートは、月ごとに封筒やクリアファイルに入れる。並べ替えは不要。日付順に放り込むだけでも、あとで探せる
  2. スマホ撮影は記帳を早くするために使う。撮影したら、スキャナ保存の要件を満たすソフトを使っていない限り、紙も残す
  3. 電子で受け取ったものは印刷しない。決まったフォルダにファイル名をそろえて保存する
  4. レシートに一言メモを書く。「〇〇社打合せ」「撮影用小道具」など、事業との関係がわかると、税務調査での説明が楽になる
  5. 事業用のカードと口座を分ける。明細が事業の支出だけになり、レシートとの照合が簡単になる(事業用の口座とカードを分けるべき理由)

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まとめ

  • レシート・領収書は、所得税・法人税の帳簿書類として保存義務がある
  • 本則課税の消費税では、インボイスの保存が仕入税額控除の要件になる
  • スマホ撮影で紙を捨てられるのは、スキャナ保存の要件を満たした場合だけ
  • メールやPDFで受け取った領収書は、電子データのまま検索できる形で保存する

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よくある質問

レシートをスマホで撮影したら、紙は捨ててもいいですか?
電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件(入力期間、解像度・カラー、タイムスタンプまたは訂正削除の履歴が残るシステム、検索機能など)を満たして保存していれば、紙は廃棄できます。要件を満たしていない場合は、撮影データは記帳用の控えにすぎないため、紙の原本を保存してください。
ネットで買い物をしたときの領収書PDFは、印刷して紙で保存すればいいですか?
メールやウェブで受け取った領収書・請求書は「電子取引」にあたり、所得税・法人税では電子データのまま保存する必要があります。印刷した紙だけを保存する方法は認められていません。日付・金額・取引先で探せるように、ファイル名を工夫するなどして保存します。
免税事業者でもレシートは保存しないといけませんか?
はい。消費税の申告をしない免税事業者でも、所得税(法人は法人税)の帳簿書類として、領収書・レシートの保存義務があります。個人事業主は原則5年または7年、法人は原則7年です。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
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