レシート・証憑

現金で売上をもらったときの管理の仕方|レジ・入金・帳簿のつけ方(個人事業主・法人)

飲食店や美容室、イベントでの物販、出張でのサービスなど、お客さまから現金で売上金を受け取る場面は、小さな事業ほど多いものです。振込やカード決済と違って記録が自動で残らないため、「現金売上をどうやって管理したらいいの?」というご質問をよくいただきます。

結論から言うと、現金売上の管理は「その日に記録する」「控えを残す」「早めに口座へ入れる」の3つが基本です。この記事では、個人事業主と法人に分けて、具体的なやり方を整理します。

この記事の結論
  • 現金売上は受け取った日に記録し、レジの記録・領収書の控え・売上伝票などの根拠を残す
  • 小売・飲食店など不特定多数に現金で売る業種は、日々の合計金額で記帳できる(国税庁の記帳の手引き)。根拠資料の保存は必要
  • 売上金は全額を事業用の口座に入金するのが理想。売上金から直接、経費や生活費を払うと、売上の総額が見えなくなる
  • お釣り用の現金(釣銭準備金)と売上金は分けて数える
  • インボイス発行事業者は、交付したレシート(適格簡易請求書)の写しを保存する。レジのジャーナルでもよい
  • 紙の領収書控えは紙のままでよい。メールやPDFでやりとりした分は電子取引データとして保存

個人事業主と法人で、何が違う?

現金売上の管理の基本は同じですが、売上金を「誰のお金」として扱うかが違います。

項目個人事業主法人(ひとり会社を含む)
売上金の持ち主事業主本人会社。社長個人のお金ではない
売上金を生活費に使ったら「事業主貸」で処理(事業のお金を私用に引き出した扱い)社長への貸付金や役員給与などの問題になりうる
帳簿の記帳現金出納帳・売上帳など(青色・白色とも記帳義務あり)仕訳帳・総勘定元帳など(会計ソフトで現金勘定を管理)
日々の合計での記帳小売・飲食店などの現金売上は日々の合計金額で記載できる青色申告法人が日々の現金売上の総額のみを記載するには、事前の承認申請が必要な場合がある
現金の残高確認毎日、帳簿の残高と手元の現金を照合同じ。月末・決算日の現金残高は特に重要
帳簿書類の保存原則7年(青色申告)原則7年

個人事業主は、事業のお金と生活費の境目があいまいになりやすいのが特徴です。売上金を家計に回すときは、帳簿上「事業主貸」として記録すれば問題ありません(事業主貸・事業主借とは)。

一方、法人では売上金は会社のお金です。社長がレジの現金を持ち帰って生活費に使うと、会社から社長への貸付金や、場合によっては役員給与として扱われる問題になります。ひとり会社でも「自分の会社だから」は通りません(役員借入金・役員貸付金)。

現金売上を管理する具体的な流れ

毎日の流れは、次のように決めておくと迷いません。

タイミングやること残すもの
受け取るときレジに打つ、または売上伝票・領収書を発行するレジのジャーナル、領収書の控え(複写式など)、売上伝票
営業の終わり(レジ締め)売上金を数え、お釣り用の現金を差し引いて、その日の売上と一致するか確かめるレジの精算レシート(日計表)、現金の過不足のメモ
当日〜数日以内売上金を事業用の口座に入金する入金の記録(通帳・入金票)
記帳現金出納帳や会計ソフトに、日付・金額・内容を記録帳簿
月末帳簿の現金残高と、手元の現金を照合照合のメモ

日々の合計金額で記帳してよい業種

国税庁の「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」では、小売その他これに類するもの(飲食店、理髪店など)の現金売上について、日々の合計金額のみを一括して記載できるとされています。お客さまの名前を1人ずつ書く必要はありません。

ただし、合計金額の根拠になるレジの記録や売上伝票は保存しておく必要があります。税務調査では、帳簿の合計とレジの記録、入金の記録が合っているかを確認されることがあります。

法人の場合、青色申告法人が日々の現金売上の総額のみを記載しようとするときは、「売上に関する帳簿の記載事項の省略承認申請書」を、原則として適用を受けたい事業年度の開始の日の前日までに税務署へ提出する手続きがあります(国税庁 手続名C1-22)。会計ソフトでレジの日計を入力する運用なら、どの方法で記帳しているかを顧問税理士と確認しておきましょう。

お釣りと売上を混ぜない

よくある間違いが、お釣り用の現金と売上金の区別ができていないケースです。朝のレジに入れる釣銭(たとえば毎日決まった金額)を決めておき、締めのときに「レジの現金 − 釣銭 = その日の売上」になるかを確認します。

合わないときは、無理に合わせず、差額を「現金過不足」などとして記録しておきます。毎日少しずつずれる場合は、打ち間違いや釣銭の渡し間違いなど、原因を探しておくと安心です。

売上金で支払いをしない

受け取った現金から、仕入代金やアルバイト代、生活費をそのまま払う運用は避けたほうが安全です。売上と支払いが混ざると、売上の総額が帳簿から読み取れなくなるからです。

おすすめは、売上金は全額を口座に入金し、支払いは口座やカードから行う方法です。通帳の入金額とレジの売上が一致していれば、売上を正しく記録していることを自分で説明できます(事業用の口座とカードを分けるべき理由)。

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領収書・レシートの控えとインボイス

インボイス発行事業者はレシートの写しを保存

インボイス発行事業者が小売業や飲食店業などを行う場合、レシートなどを適格簡易請求書として交付できます。国税庁のインボイスQ&Aでは、交付した適格簡易請求書の写しも保存義務があるとされ、写しはコピーに限らず、レジのジャーナルなど記載事項を確認できるもので足りるとされています。

保存期間は、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間です。レジのデータを消してしまわないよう、ジャーナルの保存方法を確認しておきましょう。

電子帳簿保存法との関係

領収書の出し方保存の方法
手書き・複写式の領収書を紙で渡した控えを紙のまま保存してよい
レジのレシートを紙で渡したレジのジャーナル(紙または電子)を保存
領収書をPDFにしてメールで送った電子取引のデータとして保存(電子帳簿保存法の義務)
会計ソフトや販売管理ソフトで作成して紙で渡した紙の控えを保存。一定の要件を満たせばデータで保存することもできる(任意)

電子帳簿保存法で全員に義務があるのは、メールやWebでやりとりした電子取引データの保存です。紙で発行した控えまでデータにする必要はありません(電子帳簿保存法の基本)。

現金売上で気をつけたいこと

  • 記録は「あとでまとめて」にしない:1か月分をまとめて思い出して書くと、金額がずれたり漏れたりします。レジの日計を毎日残すだけでも違います
  • 領収書を出さない取引も記録する:お客さまが領収書を求めなくても、売上は売上です。売上伝票やレジへの入力で必ず記録を残します
  • 家族やスタッフが受け取った分も集める:イベント販売や出張サービスで、本人以外が受け取った現金も、その日のうちに集計します
  • 売上金を自宅の金庫などに置きっぱなしにしない:口座に入れない現金が増えるほど、帳簿との照合が難しくなります

現金売上を帳簿に載せないと、後で税務調査で指摘されたときに、重い加算税などの対象になることがあります。何が起きるかは現金売上を記帳しなかったらどうなる?で詳しく説明しています。毎日の現金の出入りの記帳方法は現金払いの記帳の仕方と現金出納帳もあわせてご覧ください。

まとめ

  • 現金売上はその日に記録し、レジの記録や領収書の控えを残す
  • 小売・飲食店などの現金売上は日々の合計金額で記帳できる。法人で総額のみを記載するには事前の承認申請が必要な場合がある
  • 釣銭と売上は分けて数え、合わない差額も記録する
  • 売上金は全額を事業用の口座に入金し、支払いは口座やカードから行うと説明しやすい
  • 法人では売上金は会社のお金。社長が持ち帰ると貸付金や役員給与の問題になる
  • インボイス発行事業者はレシートの写し(レジのジャーナルでよい)を保存。メールで送った領収書は電子取引データとして保存

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よくある質問

現金売上は1件ずつ帳簿に書かないといけませんか?
国税庁の記帳の手引き(事業所得者用)では、小売業・飲食店・理髪店など、不特定多数のお客さまに現金で売る業種の現金売上は、日々の合計金額をまとめて記載できるとされています。ただし、その合計の根拠となるレジの記録や伝票は保存しておく必要があります。法人で日々の総額だけを記載したい場合は、事前に承認申請が必要な場合があります。
受け取った現金から、そのまま仕入や経費を払ってもいいですか?
禁止されているわけではありませんが、売上と支払いが混ざると、売上の総額が帳簿から読み取れなくなります。いったん売上の全額を記録し、支払いは別に記録するのが原則です。可能なら売上は全額を口座に入金し、支払いは口座やカードから行うと、後から説明しやすくなります。
手書きの領収書の控えは、電子帳簿保存法でデータにしないといけませんか?
紙で発行した領収書の控えは、紙のまま保存して差し支えありません。電子帳簿保存法で義務になっているのは、メールやWebなどでやりとりした電子取引のデータの保存です。メールでPDFの領収書を送った場合などは、そのデータを保存しておく必要があります。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
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