取引先との食事や打合せの飲食代。領収書は残していても、「誰と、何のために」の記録まで残している方は多くありません。最近は「予定はGoogleカレンダーに入っているから、それで記録になる?」という質問もよく受けます。
結論からいうと、カレンダーは記録の一部として役立ちますが、それだけでは不十分です。この記事では、法人と個人事業主で求められる記録の違いと、カレンダーを上手に使った残し方を説明します。
- 飲食代の記録で大事なのは 「いつ・誰と(相手と関係)・何人で・何のために・いくら・どこで」
- 法人の1人1万円以下の飲食費を交際費から除くには、決められた事項を書いた書類の保存が要件
- 個人事業主には1万円基準はなく、業務との直接の関係を説明できるかが問われる
- カレンダーは便利な補助記録。ただし領収書と結びつけ、後から書き換えたように見えない形で残す
飲食代で問われること
法人:交際費か、会議費か、1万円以下の飲食費か
国税庁タックスアンサーNo.5265によると、法人が得意先など事業に関係のある者を接待・供応するための支出は交際費等になり、損金算入に限度があります。ただし、次のものは交際費等から除かれます。
| 区分 | 内容 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 1人あたり1万円以下の飲食費 | 飲食費を参加人数で割った金額が10,000円以下(令和6年3月31日以前の支出は5,000円以下) | 社内の役員・従業員とその親族だけの飲食は対象外。記載事項を満たす書類の保存が必要 |
| 会議に関連する茶菓・弁当など | 会議に関連して、茶菓・弁当などを出すために通常要する費用 | 実際に会議をしていること |
| 従業員の慰安 | 専ら従業員の慰安のための運動会・旅行などに通常要する費用 | 一部の人だけが対象のものは注意 |
1万円の判定は、会社が採用している消費税の経理方式(税抜・税込)で計算した金額で行います。交際費の限度額については法人の交際費はいくらまで経費にできる?、科目の分け方は交際費になるもの・ならないもので解説しています。
1万円以下の飲食費で必要な記載事項
1人1万円以下の飲食費を交際費等から除く規定は、次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます(タックスアンサーNo.5265)。
- 飲食等のあった年月日
- 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称と、その関係
- 飲食等に参加した者の数
- その費用の額、飲食店等の名称と所在地
- その他、飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項
領収書には3の人数も2の相手も書かれていないのが普通です。この部分を補う記録が必要になります。
個人事業主:業務との直接の関係
個人事業主には、法人のような交際費の損金算入限度額や1万円基準はありません。そのかわり、所得税では、その支出が業務と直接関係し、業務の遂行上必要かが問われます。私的な付き合いの食事、家族との食事は経費になりません。金額の基準がない分、相手と目的の説明がすべてといえます(個人事業主の交際費に上限はある?)。
Googleカレンダーの記録は使えるか
役立つ点
- 予定のタイトルや参加者欄に、相手の会社名・氏名が残る
- 打合せのテーマ(「新商品の見積もり相談」など)をメモ欄に書ける
- 日付と場所が残り、領収書の日付・店名と照合しやすい
- 当日に入れた予定なら、後から作った記録より自然
足りない点・注意点
- 金額・人数が入っていないことが多い
- 領収書と結びついていないと、どの支払いの記録か分からない
- 予定は後からいつでも書き換えられる。調査の直前にまとめて入力したように見えると、説明の力が弱くなる
- 退職・アカウント変更でデータが消えることがある。年ごとに書き出して保存しておく
カレンダーは、それだけで記録を完結させるものではなく、領収書・会計ソフトの記録と三点セットで使うのが現実的です。法人の1万円以下の飲食費は、記載事項を満たした「書類」の保存が要件なので、カレンダーの画面だけに頼るのではなく、必要事項がそろった形で残すことをおすすめします。カレンダーの記録が書類の要件を満たすかどうかは、記録の内容や保存の仕方によって判断が分かれるため、心配な場合は顧問税理士に確認してください。
おすすめの残し方
| 残す場所 | 書く内容 | 例 |
|---|---|---|
| 領収書(裏・余白) | 相手の会社名・氏名、人数、目的 | 「〇〇株式会社 A様・自分 計2名 新商品打合せ」 |
| 会計ソフトの摘要欄 | 領収書と同じ内容 | 「〇〇(株) A様 2名 打合せ」 |
| Googleカレンダー | 予定名に相手と目的、メモ欄に店名・人数・金額 | 「〇〇社 A様 新商品打合せ(〇〇店 2名 12,000円)」 |
ポイントは、どこから見ても同じ情報にたどり着けるようにしておくことです。領収書の画像を会計ソフトに取り込み、摘要欄に相手と人数を書いておけば、カレンダーは補助で十分です。
社内の人だけの飲食は別に考える
ひとり会社の社長と家族役員だけの食事、社員との昼食は、1万円基準の対象外です。福利厚生費になるか、役員への給与とみなされるかなど、別の論点があります(同族会社で社長や社員の昼食代は経費になる?)。
消費税のためにはレシートも必要
本則課税で消費税を計算している場合、飲食代の消費税を控除するには、お店のレシート・領収書(インボイス)の保存が必要です。カレンダーやメモでは代わりになりません。
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オンライン記帳・申告サポートを見るまとめ
- 飲食代は「いつ・誰と・何人で・何のために・いくら・どこで」を残す
- 法人の1人1万円以下の飲食費は、決められた記載事項を満たす書類の保存が要件
- 個人事業主は金額基準がなく、業務との直接の関係を説明できるかが問われる
- Googleカレンダーは補助記録として便利。領収書・会計ソフトと結びつけて使う
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