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コワーキングスペース・シェアオフィスの費用は経費になる?入会金・年払い・住所利用の処理

自宅だと集中できない、打ち合わせの場所がほしい、自宅の住所を名刺やホームページに出したくない――こうした理由で、コワーキングスペースやシェアオフィスを契約する個人事業主・ひとり会社の方が増えています。仕事のために使っているなら、月額の利用料は原則として経費になります。

迷いやすいのは、勘定科目、返還されない入会金、1年分の前払い、自宅の家賃との併用、住所利用・登記の扱いです。この記事では、これらを国税庁の資料に沿って整理します。

この記事の結論
  • 仕事のために使うコワーキングスペース・シェアオフィスの月額利用料は経費。勘定科目は「地代家賃」「賃借料」「支払手数料」など、内容に合うものを選んで毎年同じ科目を使う
  • 私用(趣味の勉強など)でも使っている場合は、その分を除く
  • 返還されない入会金は、支出の効果が1年以上に及ぶ費用(繰延資産)に当たる場合でも、20万円未満なら支払った年に一括で経費にできる。返還される保証金は資産
  • 1年分の前払いは原則として期間で分けるが、1年以内のサービスの前払いを継続して支払った年の経費にしている場合は、一括で経費にする取扱い(短期前払費用)がある
  • 消費税の仕入税額控除には、運営会社のインボイスの保存が必要。住所利用・登記と納税地は、契約と実態を確認する

月額利用料は経費になる:勘定科目の選び方

コワーキングスペースやシェアオフィスの月額利用料は、事業のために使っている場所の費用なので、必要経費(法人なら損金)になります。勘定科目に決まりはありませんが、内容に合わせて次のように選ぶのが一般的です。

契約の内容勘定科目の例
専用の個室・固定席を借りる(シェアオフィス)地代家賃
共用席の月額会員(フリーアドレス)地代家賃・賃借料
時間単位・1日単位のドロップイン利用賃借料・会議費(打ち合わせのための利用)
住所利用・郵便物の受取り・電話代行(バーチャルオフィス)支払手数料・地代家賃
会議室の追加利用料会議費・賃借料
ロッカー・駐輪場などのオプション賃借料

どの科目にしても税額は変わりません。大切なのは、毎年同じ科目で処理することと、何の費用かが後から分かるように摘要に「○○コワーキング 11月分 月額会員」などと書いておくことです。

私用でも使っているなら、その分は除く

コワーキングスペースで、仕事とは関係のない資格の勉強や趣味の作業をすることもあるかもしれません。私用の利用が相当あるなら、その分は経費から除きます(個人事業主なら家事按分)。ほとんど仕事のためだけに使っているなら、全額を経費にして問題ありません。家事按分の考え方は自宅の電気代・水道代・ネット代・スマホ代の按分の仕方が参考になります。

カフェでの作業代は?

コワーキングスペースではなく、カフェで仕事をすることもあります。カフェの飲食代を「作業場所の代金」として経費にできるかは、事業との関係を説明できるかどうかによって判断が分かれます。打ち合わせなら会議費として、相手・目的を記録しておきます。1人で作業したときの飲食代は、私的な飲食と区別しにくいので、日常的に経費にするのは慎重に考えましょう。食事の記録の残し方は食事の記録はGoogleカレンダーに残せばいい?をご覧ください。

入会金・保証金・初期費用の処理

契約のときにかかる初期費用は、性質によって処理が分かれます。

支出処理
返還される保証金・デポジット資産(差入保証金・敷金)。経費にはならない
返還されない入会金・事務手数料内容によっては繰延資産。20万円未満なら支払った年に一括で経費
最初の月の利用料その月の経費
専用の机・椅子などを自分で買った消耗品費、または金額によって減価償却資産

返還されない入会金は「20万円未満」が目安

支出の効果が1年以上に及ぶ費用は「繰延資産」として、何年かに分けて経費にするのが原則です。たとえば建物を借りるときの返還されない権利金は、国税庁のタックスアンサー(No.5460 建物を賃借するための権利金等)で、原則5年で償却するとされています。

コワーキングスペースの入会金が繰延資産に当たるかどうかは、契約の内容によって判断が分かれますが、仮に当たる場合でも、支出の金額が20万円未満なら、支払った年に全額を経費にできます(所得税法施行令139条の2、法人税法施行令134条)。多くのコワーキングスペースの入会金はこの範囲に収まるので、実務上は支払った年の経費として処理することが多いでしょう。20万円以上の入会金・権利金を払う場合は、契約書を確認したうえで、償却の期間を検討します。

専用の机や椅子など、備品を自分で買った場合の処理は少額減価償却資産の特例をご覧ください。

1年分を前払いしたときの扱い(短期前払費用)

年払いにすると割安になるプランもあります。経費は本来、利用した期間に対応する年の分だけにするのが原則です。たとえば10月に向こう1年分を払った場合、その年の経費は10〜12月の3か月分で、残りの9か月分は前払費用として翌年の経費にします。

ただし、国税庁は、次の要件を満たす前払いについて、支払った年(法人は事業年度)に全額を経費にする取扱いを認めています(所得税基本通達37-30の2、法人税基本通達2-2-14、タックスアンサー No.5380)。

  • 一定の契約に基づいて、継続的にサービスの提供を受けるための前払いであること
  • 支払った日から1年以内に提供を受けるサービスの分であること
  • 実際に支払っていること(未払いのものは対象外)
  • その処理を毎年継続していること

国税庁の照会事例では、サービスの提供が始まる前に1年を超える期間の対価を払うような場合などには、この取扱いが認められないことが示されています。また、この取扱いを使った年は、翌年以降も同じ処理を続ける必要があり、利益が多い年だけ前払いで経費を増やす、という使い方はできません。消費税の課税仕入れも、この取扱いを受けている場合は支払った日の課税期間で扱われます(消費税法基本通達11-3-8)。

年末の前払いの注意点は年末の駆け込み節税の落とし穴もご覧ください。

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自宅の家賃との併用:個人事業主とひとり会社の違い

自宅でも仕事をしながら、週の何日かはコワーキングスペースを使う、という方も多いと思います。どちらも、仕事に使っている実態があれば、両方を経費にできます。ただし、次の点に注意が必要です。

項目個人事業主ひとり会社
コワーキングの利用料事業に使う分は必要経費会社の契約なら損金。社長個人の契約で会社が払うなら、会社の業務での利用であることを説明できるようにする
自宅の家賃仕事に使う部分を按分して必要経費会社が借り上げて社宅にする方法がある(社長から一定の家賃を受け取る)
注意点コワーキングで働く時間が増えたら、自宅の按分割合も見直す社長個人の私用の利用分を会社の経費にしない

コワーキングスペースで仕事をする時間が増えたのに、自宅の家賃の按分割合をそのままにしていると、実態と合わなくなります。按分割合は、仕事に使う面積や時間などの合理的な基準で、毎年見直しましょう。自宅の家賃の経費化は、個人事業主は賃貸の自宅で仕事:家賃はいくら経費にできる?、ひとり会社はひとり会社は自宅を社宅にで詳しく解説しています。

住所利用・登記と納税地

自宅の住所を出したくないという理由で、コワーキングスペースやバーチャルオフィスの住所を使う方もいます。

  • 法人(ひとり会社):運営会社との契約で登記が認められていれば、その住所を本店所在地として登記することは一般に可能です。その場合、法人税の申告書の提出先は本店所在地の税務署になります
  • 個人事業主:所得税の納税地は、原則として住所地です。住所地のほかに事業所等がある場合は、その事業所等の所在地を納税地にすることもできます(所得税法16条)。国税庁の案内では、令和5年1月1日以後は、変更のための届出書の提出は不要で、変更後の納税地を書いた申告書を提出すれば足りるとされています

ただし、住所を借りているだけで、実際にはそこで仕事をしていない場合に、事業所等に当たるかどうかは実態によって判断が分かれます。納税地を変えたときの手続きや、移転したときの申告書の提出先は個人事業主が事業所を移転したら、確定申告はいつから新しい税務署に出す?をご覧ください。

消費税とインボイス

事業用のスペースの利用料は、住宅の貸付けではないので、消費税の課税仕入れになります。消費税の課税事業者が一般課税で仕入税額控除を受けるには、運営会社が発行するインボイス(適格請求書)の保存が必要です。月額の利用料は、請求書や領収書のPDFがメールやマイページで届くことが多いので、登録番号が載っているかを確認し、保存しておきましょう。運営会社がインボイス発行事業者でない場合の扱いはインボイスを受け取る側の注意点で解説しています。

まとめ

  • 仕事のために使うコワーキングスペース・シェアオフィスの月額利用料は経費。勘定科目は内容に合わせ、毎年同じ科目を使う
  • 私用の利用が相当あるなら、その分を除く。カフェの作業代は、事業との関係を説明できるかで判断が分かれる
  • 返還される保証金は資産。返還されない入会金は、20万円未満なら支払った年に一括で経費
  • 年払いは原則として期間で分ける。1年以内のサービスの前払いを継続して支払った年の経費にしている場合は、短期前払費用として一括で経費にできる
  • 自宅の家賃と併用するときは、自宅の按分割合を実態に合わせて見直す
  • 住所利用・登記は契約を確認。個人事業主は事業所等の所在地を納税地にすることもできる(申告書に書けば足りる)。インボイスの登録番号も確認する

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よくある質問

自宅でも仕事をしていて、コワーキングスペースも契約しています。両方とも経費にできますか?
コワーキングスペースの利用料は、仕事のために使っているなら経費にできます。自宅の家賃も、仕事に使っている部分を合理的な基準で按分すれば経費にできます。ただし、コワーキングスペースで仕事をする時間が増えれば、自宅で仕事に使う割合は下がるのが自然なので、按分の割合は実態に合わせて見直しましょう。
1年分の利用料をまとめて払いました。全額を支払った年の経費にできますか?
原則は、利用した期間に応じて年ごとに分けて経費にします。ただし、支払った日から1年以内に提供を受けるサービスの前払いで、毎年継続して支払った年の経費にしているなどの要件を満たせば、支払った年に全額を経費にする取扱い(短期前払費用)があります。年末に節税目的で前払いだけするような使い方は認められないことがあるので注意が必要です。
バーチャルオフィスやシェアオフィスの住所で、開業届や法人登記をしてもいいですか?
サービスの契約で住所利用や登記が認められていれば、法人の本店所在地として登記することは一般に可能です。個人事業主の所得税の納税地は原則として住所地ですが、事業所等がある場合はその所在地を納税地にすることもできます。住所を借りているだけで実際に業務をしていない場所が事業所等に当たるかは、実態によって判断が分かれます。

※本記事は2026年10月28日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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