自宅・家賃・光熱費

自宅の電気代・水道代・ネット代・スマホ代は経費にできる?按分の仕方と根拠の残し方

「自宅で仕事をしているから、電気代やネット代も経費にしたい」「スマホ代は全部経費でいいの?」。個人事業主・フリーランスの方から、確定申告の時期によく聞かれる疑問です。

結論からいうと、自宅の電気代・ネット代・スマホ代などは、仕事に使った部分を按分(あんぶん)すれば経費にできます。ただし「何割まで」という決まった割合はなく、なぜその割合なのかを説明できることが条件になります。この記事では、費目ごとの按分の基準と、根拠の残し方をまとめます。

この記事の結論
  • 自宅の光熱費・通信費は、生活と仕事の両方にかかわる「家事関連費」。仕事に使った部分を区分できれば、その部分が経費になる
  • 割合の上限はない。使用時間・使う機器・通話明細など、費目に合った基準で按分し、根拠を残す
  • ネット代・スマホ代は仕事との関係が説明しやすい。水道代・ガス代は、業務で使わない限り経費にしにくい
  • 毎年、同じ考え方で按分する。根拠のメモを帳簿と一緒に保存する

光熱費や通信費は「家事関連費」として按分する

自宅の電気代やネット代は、生活のためにも仕事のためにも使います。このような支出を、所得税では「家事関連費」と呼びます。

国税庁のタックスアンサー(No.2210「やさしい必要経費の知識」)では、家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務の遂行上直接必要だったことが明らかに区分できる部分に限られると説明されています(所得税法施行令96条)。例として、店舗併用住宅の家賃や水道光熱費が挙げられています。

さらに所得税基本通達45-2では、業務に必要な部分が50%を超えるかどうかで判定するとしたうえで、50%以下でも、必要な部分を明らかに区分できれば、その部分を必要経費にしてよいとしています。

つまり、「電気代は3割まで」「ネット代は半分まで」といった決まりはありません。大事なのは、割合そのものよりも、その割合にした理由を説明できるかです。

費目ごとの按分の基準

費目によって、按分の基準として使いやすいものが違います。代表的なものを表にまとめます。

費目按分の基準の例経費にしやすさ
電気代仕事をする時間の割合、仕事部屋の床面積、仕事で使う機器(パソコン・照明・エアコン)の割合説明しやすい
インターネット代仕事で使う時間の割合、仕事に使う端末の数説明しやすい(仕事専用の回線なら全額も検討できる)
スマホ代通話明細での仕事の通話の割合、仕事で使う時間説明しやすい(仕事専用の2台目なら全額も検討できる)
固定電話仕事の通話の割合説明しやすい
水道代業務で水を使う量の見積もりデスクワークでは経費にしにくい
ガス代業務でガスを使う量の見積もりデスクワークでは経費にしにくい

電気代:時間か面積か

電気代は、メーターが1つで仕事と生活を分けられないため、見積もりで按分します。よく使われるのは次の2つです。

  • 時間で按分する:1日のうち自宅で仕事をする時間が8時間、起きている時間が16時間なら、時間の割合は2分の1。さらに週の稼働日数も考える
  • 面積で按分する:仕事部屋の床面積が住まい全体の何割かで按分する。家賃の按分と同じ割合を使うと、説明がそろう

どちらを使っても構いませんが、パソコンを長時間使う、エアコンを仕事部屋で使うといった実態に合っているかを考えます。家族が日中に在宅しているかどうかでも、実態は変わります。

インターネット代:仕事専用かどうか

インターネットは、仕事で使う時間が長い職種では、按分の割合を大きくしても説明しやすい費用です。

仕事専用に別の回線(またはモバイルルーター)を契約していれば、その回線の料金は全額を経費にすることも検討できます。生活と共用の回線は、使用時間などで按分します。

スマホ代:通話明細を使う

スマホは、仕事と私用の両方で使う人がほとんどです。通話明細が取れる契約なら、仕事の電話の割合を数えて按分の根拠にできます。

スマホ本体を分割で買っている場合は、通信料と本体代が同じ請求書に載っています。本体代は通信費ではなく、購入した資産の支払いです。処理の仕方はスマホ本体の購入と分割払いの処理で説明します。

仕事専用に2台目のスマホを持つと、按分を考えなくてよくなり、記録の手間も減ります。

水道代・ガス代:業務で使うかどうか

自宅で原稿を書く、プログラムを書く、といった仕事では、水道代やガス代は仕事との関係が薄く、経費にしにくい費用です。無理に按分すると、税務調査で説明に困ります。

一方、自宅で美容室・ネイルサロン・料理教室などを営んでいて、業務で水やガスを使う場合は、使用量を見積もって按分を検討できます。

按分の根拠はどう残すか

按分は、決めた割合そのものより「根拠のメモ」が大事です。次のような資料を、帳簿や申告書の控えと一緒に保存しておきます。

  1. 按分の計算メモ:「仕事部屋○㎡÷全体○㎡=○%」「1日の仕事時間○時間、週○日」など、計算の過程を書いたもの
  2. 間取り図:仕事部屋の位置と広さが分かるもの
  3. 通話明細や利用明細:スマホの通話の割合を数えた月の明細
  4. 請求書・利用明細:電気・ネット・スマホの毎月の請求額が分かるもの

毎月按分して記帳してもよいですし、1年分を家事費として記帳しておき、決算で按分割合をかけて経費に振り替える方法もあります。会計ソフトの家事按分の機能を使うと手間が減ります。

割合は毎年同じ考え方で決めることも大切です。年によって割合が大きく変わると、理由を聞かれやすくなります。働き方が変わった(事務所を借りた、在宅の時間が増えた)ときは、その事情をメモに残します。

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よくある間違い

按分でよく見かける間違いを挙げます。

  • 全額を経費にしている:生活と共用の電気代やネット代を、全額経費にしているケース。住んでいる以上、全額は説明が難しくなります
  • 根拠がない割合:「なんとなく5割」と決めて、計算メモがない。割合が妥当でも、説明できなければ否認されるおそれがあります
  • 家族名義の契約:配偶者名義の契約の電気代を、事業主の経費にしているケース。誰が負担しているか、生計を一にしているかを確認します
  • 事務所があるのに自宅も按分:外に事務所を借りているのに、自宅の光熱費も大きな割合で按分しているケース。自宅で実際に仕事をしている実態が必要です

家賃の按分とセットで考える

光熱費の按分は、家賃の按分とセットで考えると説明がそろいます。家賃の按分の仕方は賃貸の自宅で仕事:家賃はいくら経費にできる?(個人事業主)、持ち家の場合は持ち家で仕事をしている場合:減価償却・ローン利息・固定資産税の按分をご覧ください。

ひとり会社(法人)の場合は、考え方が変わります。社長個人の名義で契約している自宅の光熱費を会社が払うと、社長への給与(経済的利益)と見られるおそれがあります。社宅として会社が借りる場合の仕組みはひとり会社は自宅を社宅に:家賃を経費にする仕組みと賃料相当額、個人と法人の比較は自宅の家賃の経費化:個人事業主と法人の比較で説明しています。不動産賃貸業の方の自宅兼事務所の按分は自宅兼事務所の按分も参考にしてください。

まとめ

  • 自宅の電気代・ネット代・スマホ代は、仕事に使った部分を区分できれば経費になる。割合の上限はない
  • 電気代は時間か面積、ネット代は使用時間や回線の用途、スマホ代は通話明細など、費目に合った基準で按分する
  • 水道代・ガス代は、業務で使わない限り経費にしにくい
  • 計算メモ・間取り図・明細を残し、毎年同じ考え方で按分する

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よくある質問

電気代やネット代は何割まで経費にしてよいと決まっていますか?
法律で決まった割合はありません。所得税法施行令96条と所得税基本通達45-2により、仕事に使った部分を明らかに区分できれば、その部分が必要経費になります。使用時間や使用する機器などから割合を決め、なぜその割合なのかを説明できるようにしておくことが大切です。
水道代やガス代も按分して経費にできますか?
自宅でデスクワークをするだけなら、水道代やガス代は仕事との関係が薄く、経費にしにくい費用です。美容室や料理教室など、水やガスを業務で使うことがはっきりしている場合に、使用量の見積もりなど根拠をつけて按分を検討します。
ひとり会社の場合も同じように按分しますか?
法人の場合、契約名義が社長個人のままの自宅の光熱費を会社が払うと、社長への給与と見られるおそれがあります。社宅として会社が契約する、仕事用の回線を会社名義で契約するなど、支払いの形を整えたうえで考えます。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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