所得税・確定申告

個人事業主が事業所を移転したら、確定申告はいつから新しい税務署に出す?

ご相談の内容

自宅とは別の場所にある事業所を納税地にしている個人事業主の方から、事業所を別の県へ移転する際のご相談です。開業から1年たっておらず、確定申告は一度済ませています。変更の届出はいつまでに出せばよいのか、何年分の確定申告から新しい税務署宛てになるのか、初心者がミスしやすい点はあるか、を知りたいという内容でした。

結論
  • 確定申告書は提出する時点の納税地の税務署に出す。移転後に提出する申告から新しい税務署宛てになる
  • 変更の届出に「何月何日まで」という期限は特にない。税務署から受理の連絡も通常ない
  • 振替納税・個人事業税・e-Taxの登録情報など、移転に伴う手続きも忘れずに

回答

申告先は「提出時点の納税地」で決まる

所得税の確定申告書は、提出する時点の納税地を所轄する税務署長に提出します(所得税法第120条)。何年分の申告かで決まるわけではありません。

たとえば年の途中で事業所を移転し、翌年2〜3月に申告する場合は、移転後の事業所を所轄する税務署へ提出します。

納税地の特例を受けているかで手続きが変わる

状況申告先移転の手続き
事業所を納税地とする特例(所得税法第16条)を受けている移転後の事業所の税務署「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を提出
特例を受けておらず、納税地が住所地のまま住所地の税務署のまま変わらない「個人事業の開業・廃業等届出書」の移転欄で届け出る

受理の連絡と提出の記録

書面で届け出ても、税務署から受理の連絡は通常ありません。また、令和7年1月から、書面で提出した際の控えへの収受日付印(受付印)の押なつが行われなくなっています。e-Taxで提出すると受付記録が残るため安心です。

開業から1年未満であっても、移転の手続きに制限はありません。

初心者がミスしやすい点

  • 振替納税(口座引落し)は、移転後の税務署で改めて手続きが必要です
  • 県が変わる場合、個人事業税(県の税金)について、旧県・新県それぞれの県税事務所へ事業の廃止・開始などの申告が必要です
  • 住民税は1月1日の住所地で課税されるため、事業所の移転では変わりません
  • 青色申告の承認は、移転後もそのまま引き継がれます
  • e-Taxの利用者情報(住所・所轄税務署)も変更が必要です

注意したいポイント

  • まず、自分が事業所を納税地とする特例を受けているかを確認しましょう。特例を受けていなければ、事業所を移転しても申告先は住所地の税務署のままです。
  • 移転後に旧税務署宛てで申告書を出さないよう、提出前に所轄税務署を確認しましょう。
  • 個人事業税は県ごとの手続きです。所得税の届出だけで済んだと思い込まないよう注意が必要です。

開業後の手続きや青色申告については、法人成りで個人事業を年の途中で廃業、青色申告と専従者給与は今年も使える?、個人事業税の仕組みは大家の個人事業税でも解説しています。

まとめ

  • 確定申告は提出時点の納税地の税務署へ。移転後に出す申告から新しい税務署宛てになる
  • 特例を受けていれば申出書、住所地が納税地なら開業・廃業等届出書で移転を届け出る
  • 振替納税・個人事業税・e-Taxの登録情報の変更も忘れずに行う

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

年の途中で事業所を移転した場合、翌年の確定申告はどの税務署に出しますか?
確定申告書は、提出する時点の納税地を所轄する税務署長に提出します(所得税法第120条)。事業所を納税地としている場合、年の途中で移転して翌年に申告するなら、移転後の事業所を所轄する税務署へ提出します。
事業所を移転したら、どの届出が必要ですか?
住所地ではなく事業所を納税地とする特例(所得税法第16条)を受けている場合は「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を提出します。特例を受けておらず納税地が住所地のままなら申告先は変わらず、事業所の移転は「個人事業の開業・廃業等届出書」で届け出ます。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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