ご相談の内容
面貸し(サロンの席を借りて個人で営業する形)で働く美容師の方からのご相談です。自分のネイルの写真をSNSに載せていて、それをきっかけにアカウントを知ってもらい、予約につながることもあります。この場合、ネイル代は経費にできるのか、という内容です。
- ネイル代は身だしなみとしての性格が強く、原則として必要経費にするのは難しい
- 施術見本になっている、撮影専用ですぐにオフしているなど、業務に直接必要と客観的に説明できる部分は経費にできる余地がある
- 撮影用の小物・照明・モデル謝礼・SNS広告費などは経費にしやすい
回答
ネイル代が経費になりにくい理由
所得税法第45条第1項第1号では、家事費(私的な生活費)は必要経費に算入できないとされています。また、仕事とプライベートの両方に関わる支出(家事関連費)は、業務上必要であることが明らかに区分できる部分に限って経費にできます(所得税法施行令第96条、所得税基本通達45-1、45-2、タックスアンサーNo.2210)。
ポイントは、その支出が私生活でも同じように役立つかどうかです。ネイルは仕事以外の場面でもそのまま身だしなみとして役立つため、仕事で人目に触れるとしてもこの要件を満たしにくく、私服や化粧品と同じく否認されやすい項目です。
経費として説明しやすいケース
| ケース | 判断の目安 |
|---|---|
| サロンでネイルメニューも提供し、ネイルがお客さまへの施術見本になっている | 経費として説明しやすい |
| 宣伝写真の撮影のためだけに施し、撮影後すぐにオフしている | 業務専用であることが明らかで、説明しやすい |
| ヘアの写真を投稿する中で手元が写る程度 | 私的な身だしなみの延長と判断される可能性が高い |
経費にしやすい撮影・集客の支出
次のような支出は、業務との関連が明確なため、広告宣伝費などとして経費にしやすいものです。
- 撮影用の小物や照明
- ウィッグ
- モデルさんへの謝礼
- SNSの広告費
注意したいポイント
- 経費にする場合は、領収書に加えて、投稿日や投稿内容、予約につながった記録を残しておくと、業務との関連を説明する裏付けになります。
- ここでの説明は、面貸しの契約で個人事業主として事業所得を申告していることが前提です。サロンから給与として支払いを受けている場合は、自分で必要経費を差し引くことはできません。
- 「SNSに載せたから経費」と一律に考えるのではなく、私生活でも使えるかどうかを基準に考えると判断を誤りにくくなります。
仕事とプライベートの両方に使う支出の考え方は、絵を描く仕事の資料として車を買ったら、経費にできる?でも解説しています。業務委託で働く美容師を含む業界の動向は美容業(美容室・理容室)の動向と経営のポイントをご覧ください。
まとめ
- ネイル代は身だしなみとしての性格が強く、原則は経費にしにくい
- 施術見本や撮影専用など、業務に直接必要と説明できる部分は経費にできる余地がある
- 撮影関連の支出は経費にしやすい。領収書と投稿・予約の記録をセットで残す
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
