所得税・確定申告

付録目当てで雑誌を仕入れて転売、本誌を原価ゼロにする処理は認められる?

ご相談の内容

雑誌の付録を販売する目的で雑誌を仕入れている、青色申告の個人事業主の方からのご相談です。本誌は付録を手に入れるために付いてくるもので、売ることも捨てることもあります。購入代金の全額を付録の仕入原価とし、本誌は売れたときに売上だけを計上、捨てたときは廃棄の記録だけを残す、という運用は認められるのか。年末に本誌が残っている場合も含めて、合理的な処理を知りたいという内容です。

結論
  • 本誌が通常は値の付かない少額のものなら、全額を付録の原価、本誌は原価ゼロとする処理も、毎年継続する限り合理的と説明できる
  • 購入時点で本誌にも相応の販売価値が見込まれるものは、付録と本誌に按分する方が適切
  • どちらの方法でも仕入代金全体が経費になる点は同じで、差が出るのは年末在庫の評価(経費になる年)

回答

まとめて買った商品の原価は「合理的な基準で配分」が原則

購入した棚卸資産(販売用の在庫)の取得価額は、購入代価に付随費用を加えた額とされています(所得税法施行令第103条)。複数の商品をまとめて購入した場合は、販売見込額の比率など合理的な基準で代金を配分するのが原則です。

ただ、ほとんど価値のない部分に原価を割り当てない扱いも、副産物などの考え方に照らして実務上認められる余地があります。所得税基本通達47-20の2では、備忘価額(1円)で評価できると定めています。

年末在庫の扱い

全額を付録側に計上しても、仕入代金全体が必要経費になる点は変わりません。違いが出るのは、年末の在庫にいくら残すかです。

年末の状況処理
付録を販売し、本誌が年末に残った本誌は原価ゼロのため在庫に計上しない。翌年に売れば売上のみ計上、廃棄すれば仕訳は不要で廃棄記録のみ
本誌を先に売り、付録が年末に残った付録を購入代金の全額で在庫に計上する

注意したいポイント

  • 高値で売れる本誌までゼロとすると、年末在庫が少なすぎると指摘される可能性があります。「通常は少額で処分するものはゼロ、プレミア価格が見込まれるものは販売見込額で按分」といったルールを決めて継続して適用しましょう。
  • 年末在庫の評価方法は所得税法施行令第99条・第100条に定めがあり、届出をしていなければ最終仕入原価法となります。
  • 廃棄の記録(日付・品名・数量)を青色申告の帳簿書類とあわせて保存しておくと、税務調査の際に処理の妥当性を説明する資料になります。

青色申告を始めるときの帳簿の基本は、作家デビューが決まったら、税金は何から始める?でも解説しています。帳簿や証拠書類が不十分なまま調査を迎えた場合の対応は税務調査の連絡が来たけれど、帳簿も領収書もない。どうすればいい?をご覧ください。

まとめ

  • 本誌が少額で処分することが多いなら、全額を付録の原価・本誌は原価ゼロも、継続適用なら合理的
  • 本誌にも販売価値が見込まれるものは按分し、ルールを決めて毎年同じ方法で処理する
  • 経費の総額は同じで、差は年末在庫の評価。廃棄記録を帳簿とあわせて保存する

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

付録目当てで買った雑誌の代金を、全額付録の仕入原価にしてよいですか?
本誌が通常は値の付かない少額のもので、処分することが多いという前提であれば、全額を付録の原価とし本誌を原価ゼロとする処理も、毎年同じ方法で続ける限り合理的と説明できると考えられます。購入時点で本誌にも相応の販売価値が見込まれるものは、付録と本誌に按分する方が適切です。
全額を付録の原価にすると、経費の総額は変わりますか?
全額を付録側に計上しても、仕入代金全体が必要経費になる点は変わりません。差が出るのは年末の在庫評価、つまりどの年の経費になるかというタイミングです。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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