査察・税務調査

ネット販売・フリマの売上は税務署にばれる?税務調査で見られる点と申告の基本

「フリマアプリやネットショップの売上って、申告しなくても税務署にばれないのでは?」。副業でネット販売を始めた方や、小さなネットショップを営む個人事業主から、よくいただくご質問です。

結論からいうと、ネット販売やフリマの売上は、国税庁が重点的に調査している分野です。国税庁は、ネット通販やネットオークションなどの取引を行う個人に対し、資料情報を集めて積極的に調査していると公表しています。一方で、家の不用品を売っただけなら、原則として所得税はかかりません。

この記事では、国税庁の「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」とタックスアンサーをもとに、申告が必要な売上と、税務調査で見られる点を整理します。

この記事の結論
  • ネット通販・ネットオークション・フリマなどの取引を行う個人は、国税庁が資料情報を集めて積極的に調査している分野
  • 令和6事務年度は1,155件を実地調査し、1件当たりの申告漏れ所得は1,595万円
  • 生活用の不用品を売った所得は原則非課税。ただし1個30万円超の貴金属・書画・骨とうなどは課税
  • 仕入れて売る(転売)、手作り品を売る場合は、事業所得か雑所得として申告が必要
  • 調査で見られるのは、売上の計上漏れ、仕入れ・経費の根拠、入金口座、在庫

ネット販売は国税庁の重点分野

国税庁が毎年公表している「所得税及び消費税調査等の状況」では、インターネット取引を行っている個人への調査が、独立したトピックとして取り上げられています。

令和7年12月に公表された令和6事務年度(令和6年7月〜令和7年6月)の資料では、インターネット上のプラットフォームを介して行うシェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引を行っている個人に対し、資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施しているとしています。ここでいう取引には、ネット通販、ネットオークション、ドロップシッピング、アフィリエイト、アプリ配信、民泊などが含まれます。

項目令和6事務年度前事務年度
実地調査の件数1,155件1,226件
1件当たりの申告漏れ所得金額1,595万円1,432万円
申告漏れ所得金額の総額184億円176億円
1件当たりの追徴税額305万円319万円
追徴税額の総額35億円39億円

(出典:国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」)

1件当たりの申告漏れ所得が1,500万円を超えていることから分かるとおり、調査の対象になるのは、ある程度の規模で継続して販売している人が中心です。ただし「小さいから大丈夫」ということではなく、申告すべき所得があれば、規模にかかわらず申告が必要です。

税務署はどうやってネットの売上を知るのか

「ネットの取引なら税務署には分からない」と考える方がいますが、そうではありません。

取引の場を提供する事業者への報告の求め

国税通則法第74条の7の2により、国税局長は、一定の要件のもとで、取引の相手方となる事業者や、取引の場を提供する事業者などに対し、取引をした人の氏名・住所・マイナンバー(法人は法人番号)などの報告を求めることができます。この制度は令和2年1月から使われています。国税庁の通達や事務運営指針では、まずは事業者への協力要請で対応し、それに応じてもらえない場合などに使う補充的な手段と位置づけられていますが、いずれにしてもプラットフォームを通じて取引の情報が集まる仕組みがあるということです。

口座や取引先への確認

税務調査では、売上が入金される銀行口座や、決済サービスの履歴も確認されます。調査に必要があれば、金融機関や取引先に直接照会することもできます。口座の確認の範囲は、税務調査で銀行口座はどこまで見られる?で詳しく解説しています。

申告が必要な売上と、いらない売上

ネットで物を売っても、すべてに税金がかかるわけではありません。何を売ったのかで扱いが分かれます。

売ったもの・売り方所得税の扱い申告
自分の衣服・家具・家電など、生活用の不用品原則として非課税不要
貴金属・宝石・書画・骨とうなどで1個(1組)30万円超のもの譲渡所得として課税必要(他の所得とあわせて判定)
仕入れた商品を継続して売る(転売・せどり)事業所得または雑所得必要
自分で作った作品・手作り品を継続して売る事業所得または雑所得必要
ネットショップを本業として営む事業所得必要

生活用の不用品は原則非課税

国税庁のタックスアンサー「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」によると、家具、じゅう器、衣服など生活に通常必要な動産を売って得た所得には、所得税がかかりません。ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものは、譲渡所得として課税されます。

転売・手作り品は事業所得か雑所得

仕入れた商品を売る、自分で作った物を継続して売る、という場合は、不用品の処分ではありません。利益(売上から仕入れや送料、販売手数料などの必要経費を引いた額)が、事業所得または雑所得になります。どちらになるかは、社会通念上事業といえる規模かで判定し、帳簿書類を保存していない場合は原則として雑所得になります。考え方は副業は事業所得か雑所得かをご覧ください。

会社員の「20万円」の基準

給与を1か所から受けている会社員などは、給与以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は原則不要です(タックスアンサー No.1900)。ここでの20万円は売上ではなく所得(利益)です。また、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をするときは、20万円以下の所得も含めて申告します。住民税にはこの扱いがないため、市区町村への申告が必要になる場合があります。

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税務調査で見られるポイント

ネット販売の税務調査では、主に次のような点が確認されます。

見られる点確認されること
売上の計上漏れ複数のサイト・アプリの売上が、すべて帳簿に載っているか
売上の時期販売した年の売上として計上しているか(入金が翌年でも、原則は販売した年)
仕入れ・経費の根拠仕入れの領収書や購入履歴があるか。私用の買い物が混ざっていないか
年末の在庫売れ残った商品の仕入れを、全部その年の経費にしていないか
入金口座売上金を受け取る口座が個人用・家族名義になっていないか
消費税売上が1,000万円を超えた年の2年後などに、消費税の申告が必要になっていないか

売上の集計は「サイトの管理画面」から

ネット販売は、販売サイトやアプリの管理画面に、売上・手数料・送料の履歴が残ります。調査でもこの履歴と帳簿が突き合わされるので、年に一度、販売履歴をダウンロードして保存しておくと安心です。入金額(手数料が引かれたあとの金額)だけを売上にしていると、売上と手数料の両方が実際より小さく記帳されることになるため、売上は総額で、手数料は経費で分けて記帳します。

在庫の計上を忘れない

転売では、仕入れた商品が年末に売れ残っていることがよくあります。売れ残った分の仕入れは、その年の経費ではなく在庫(棚卸資産)として翌年に繰り越します。数え方は個人事業主の年末の棚卸しで解説しています。

消費税にも注意

売上(課税売上高)が増えてくると、消費税の納税義務が生じます。個人事業主の場合は、原則として2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は消費税の課税事業者になります。判定の仕方は消費税はいつから納める?(個人事業主)をご覧ください。

申告していなかったことに気づいたら

過去に申告すべき所得があったのに申告していなかった場合は、税務署から連絡が来る前に、自分から期限後申告や修正申告をするのがいちばん負担の小さい対応です。調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税は5%で済みます(タックスアンサー No.2024)。

仕組みと負担の違いは確定申告をしていなかったら?無申告加算税と期限後申告、すでに申告している年の売上の漏れに気づいた場合は実地調査の前に修正申告したら?をご覧ください。調査で誤りが見つかった場合の負担は税務調査で最悪どうなる?にまとめています。

まとめ

  • ネット通販・ネットオークション・フリマなどの取引は、国税庁が資料情報を集めて積極的に調査している分野。令和6事務年度は1,155件を調査し、1件当たりの申告漏れ所得は1,595万円
  • 生活用の不用品を売った所得は原則非課税。1個30万円超の貴金属・書画・骨とうなどは課税
  • 転売・手作り品の継続販売は、事業所得か雑所得として申告が必要。会社員は給与以外の所得20万円の基準も確認する
  • 調査では、売上の漏れ、仕入れの根拠、在庫、入金口座が見られる。販売履歴を保存し、売上は総額で記帳する
  • 申告漏れに気づいたら、税務署から連絡が来る前に自分から申告する

ネット販売は、サイトごとに売上や手数料の形式が違い、記帳が意外と手間のかかる分野です。クレフティの「オンライン記帳・申告サポート」では、月額5,000円程度から(取引量や申告の内容で変わります)、AIを活用した記帳から決算・申告までをオンラインでお引き受けしています。販売サイトの履歴の扱いに迷ったときも、チャットでいつでもご質問いただけます。

よくある質問

フリマアプリで家の不用品を売った場合も、申告が必要ですか?
衣服や家具など、生活に通常必要な動産を売って得た所得には、原則として所得税がかかりません。ただし、貴金属・宝石・書画・骨とうなどで1個または1組の価額が30万円を超えるものは課税の対象です。また、仕入れた商品を継続して売っている場合は、不用品の処分ではなく、事業所得や雑所得として申告が必要になります。
ネット販売の売上は、本当に税務署に分かるのですか?
国税庁は、ネット通販やネットオークションなどの取引を行う個人について、資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施していると公表しています。また、国税局長は一定の要件のもとで、取引の場を提供する事業者などに、取引をした人の氏名・住所・マイナンバーなどの報告を求めることができます(国税通則法第74条の7の2)。分からないだろう、という前提で考えるのは危険です。
会社員の副業で、ネット販売の利益が20万円以下なら何もしなくていいですか?
給与を1か所から受けている会社員などは、給与以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は原則不要です。ただし、医療費控除などで確定申告をする場合はその所得も含めて申告します。また、住民税には20万円以下の申告不要の扱いがないため、お住まいの市区町村への申告が必要になる場合があります。

※本記事は2026年11月8日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
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