「去年の確定申告をしていなかった」「副業の所得を何年も申告していなかった」。そう気づいたとき、多くの方がまず心配するのは、どれくらいのペナルティがかかるのか、ということです。
結論からいうと、気づいた時点ですぐに期限後申告をするのが、いちばん負担の小さい対応です。税務署の調査の通知が来る前に自分から申告すれば、無申告加算税は5%で済み、期限から1か月以内などの要件を満たせばかかりません。逆に、放置して調査を受けると15〜30%になり、隠していたと判断されれば40%の重加算税です。
この記事では、国税庁のタックスアンサー「No.2024 確定申告を忘れたとき」をもとに、申告をしていなかった場合の負担と、期限後申告のやり方を整理します。
- 期限を過ぎても、期限後申告はいつでも出せる。出した日が納期限になる
- 調査の事前通知の前に自分から申告すれば、無申告加算税は5%
- 期限から1か月以内に自主的に申告し、税金を期限内に納めているなどの要件を満たせば、無申告加算税はかからない
- 調査を受けてからだと15〜30%、隠していたと判断されれば重加算税40%
- 延滞税(令和8年は年2.8%、2か月を過ぎると年9.1%)もかかる。青色申告の65万円控除は使えなくなる
申告をしていないと、何がかかるのか
申告期限(個人の所得税は原則として翌年3月15日)までに確定申告をしなかった場合、本来の税金に加えて、次のような負担がかかります。
| 負担 | 内容 |
|---|---|
| 本税 | 本来納めるべきだった所得税・消費税など |
| 無申告加算税 | 期限内に申告しなかったことへの行政上のペナルティ |
| 重加算税 | 所得を隠したり、偽ったりしていた場合に、無申告加算税に代えてかかる |
| 延滞税 | 納付が遅れたことへの利息にあたるもの |
| 住民税・事業税・国民健康保険料など | 所得税の申告にもとづいて計算されるため、あとから連動して増える |
| 青色申告の特典の縮小 | 65万円・55万円の青色申告特別控除が使えず、最高10万円になる |
国税庁は、無申告者への調査に力を入れています。「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、所得税の無申告者に対する実地調査は4,812件、1件当たりの追徴税額は524万円で、過去最高でした。国税庁は、無申告は自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすとして、的確かつ厳格に対応する方針を示しています。
無申告加算税:申告のタイミングで大きく変わる
無申告加算税の割合は、いつ申告したかで変わります。令和6年1月1日以後に法定申告期限が来るもの(個人の所得税なら令和5年分以降)は、次のとおりです(タックスアンサー No.2024)。
| 申告したタイミング | 50万円以下の部分 | 50万円超300万円以下の部分 | 300万円超の部分 |
|---|---|---|---|
| 調査の事前通知の前に、自主的に申告 | 5% | 5% | 5% |
| 事前通知の後、調査による決定を予知する前 | 10% | 15% | 25% |
| 調査を受けた後、または税務署の決定を受けた後 | 15% | 20% | 30% |
無申告加算税がかからない場合
次のすべてを満たす場合は、無申告加算税はかかりません。
- 法定申告期限から1か月以内に、自主的に期限後申告をしていること
- 期限内に申告する意思があったと認められること。具体的には、納める税金の全額を法定納期限までに納付していること(口座振替の場合は期限後申告書を出した日まで)、かつ、過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されておらず、この特例も受けていないこと
「申告書は出し忘れたが、納付は済ませていた」というようなケースを想定した制度です。
さらに加算される場合
次のような場合は、無申告加算税がさらに重くなります。
- 前年や前々年に無申告加算税などを課されている(または課されるべき)場合は、10%加算
- 調査で帳簿の提示を求められて応じなかった場合や、帳簿の売上の記載が本来の2分の1未満だった場合は10%加算、3分の2未満なら5%加算
何年も続けて申告していない場合や、帳簿をつけていない場合は、負担が大きく膨らむということです。帳簿がない場合の扱いは帳簿がないとどうなる?推計課税と青色申告の取消しで解説しています。
重加算税と罰則:隠していた場合
売上を隠したり、帳簿をごまかしたりして申告しなかったと判断されると、無申告加算税に代えて重加算税40%がかかります(国税通則法第68条)。この場合、税務署がさかのぼって税額を決定できる期間も、原則の5年から7年に延びます(同法第70条)。
また、所得税法には、正当な理由なく申告書を提出しなかったことや、申告しないことで税を免れたことに対する罰則も定められています(所得税法第238条・第241条)。多額で悪質なものは、国税局査察部の強制調査(査察)の対象になることもあります。違いは査察(マルサ)と税務調査の違いをご覧ください。
加算税の全体像と計算例は、税務調査で最悪どうなる?加算税・延滞税・重加算税にまとめています。
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オンライン記帳・申告サポートを見る延滞税:早く納めるほど小さくなる
期限後申告で納める税金は、申告書を提出した日が納期限です。延滞税は、本来の法定納期限の翌日から納付した日までの日数に応じてかかります。
| 期間 | 令和8年1月1日〜12月31日の割合 |
|---|---|
| 納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年2.8% |
| 納期限の翌日から2か月を経過した日以後 | 年9.1% |
(出典:国税庁 タックスアンサー No.9205 延滞税について)
申告書を出したら、その日のうちに納付するのが基本です。すぐに全額を納められない場合は、納税の猶予や分割の相談ができます。考え方は税金が払えないときの納税の猶予と分割をご覧ください。
期限後申告のやり方
期限後申告といっても、特別な書類があるわけではありません。通常の確定申告書を作成して提出します。
- 申告していない年分を洗い出す:売上の入金口座、販売サイトの履歴、支払調書などから、年分ごとの売上と経費を集計する
- 年分ごとに申告書を作る:e-Taxや国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、過去の年分の申告書も作成できる
- 提出する:e-Taxで送信するか、所轄の税務署に提出する
- すぐに納付する:本税を納付する。無申告加算税と延滞税は、後日税務署から通知が来るので、それに従って納める
住民税・国民健康保険料も変わる
所得税の期限後申告をすると、その情報が市区町村に回り、住民税や国民健康保険料が計算し直されます。個人事業税の対象になる事業の場合は、都道府県から事業税の通知も来ます。所得税だけでなく、こうした負担もあとから来ることを見込んでおきましょう。
消費税の申告も確認する
売上が大きい場合は、所得税だけでなく消費税の申告が必要だった年がないかも確認します。個人事業主は、原則として2年前の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります。判定の仕方は消費税はいつから納める?(個人事業主)をご覧ください。
ひとり会社(法人)の場合
法人にも無申告加算税や延滞税の仕組みがあります。加えて、法人の場合は2事業年度続けて期限内に申告書を提出しないと、青色申告の承認が取り消される理由になります(法人税法第127条)。青色申告の承認が取り消されると、欠損金の繰越控除などの特典が使えなくなり、金融機関からの見られ方にも影響します。ひとり会社の決算・申告の期限は、法人税の申告期限で解説しています。
ネット販売やフリマの売上を申告していなかった、という方は、ネット販売・フリマの売上と税務調査もあわせてご覧ください。
まとめ
- 確定申告を忘れていたら、気づいた時点ですぐ期限後申告をする。出した日が納期限になる
- 調査の事前通知の前に自分から申告すれば、無申告加算税は5%。1か月以内で税金を期限内に納めているなどの要件を満たせば、かからない
- 調査を受けてからだと15〜30%、隠していたと判断されれば重加算税40%で、さかのぼる期間も7年になる
- 延滞税は令和8年で年2.8%、2か月を過ぎると年9.1%。早く納めるほど小さくなる
- 期限後申告では、青色申告の65万円控除が使えず最高10万円になる。住民税・国民健康保険料もあとから変わる
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