査察・税務調査

実地調査の前に修正申告したら?加算税の扱いをタイミング別に解説

税務調査の連絡を受けて申告書を見直したら、誤りが見つかった。調査の前に自分から修正申告をしたほうがいいのか、それとも調査を待つべきか。迷う方は多いと思います。

結論から言うと、誤りが確かなら、調査の前に修正申告をするほうが、加算税は軽くなります。調査の通知を受ける前なら過少申告加算税はかからず、通知を受けたあとでも、税務署が更正を予知する前なら割合が下がり、重加算税もかかりません。この記事では、修正申告のタイミングによる加算税の違いと、手順・注意点を解説します。

この記事の結論
  • 調査通知の前に自主的に修正申告:過少申告加算税0%
  • 調査通知後・更正の予知前:5%(一定額を超える部分は10%)
  • 調査で指摘されたあと(予知後):10%(一定額を超える部分は15%)
  • 予知前の自主的な修正申告には、重加算税はかからない
  • 延滞税はどのタイミングでも別途かかる。修正申告をしたら早めに納める

タイミング別の加算税

修正申告をしたときの加算税は、「調査通知」の前か後か、「更正の予知」の前か後かで変わります(国税庁タックスアンサーNo.2024・No.2026、令和8年4月1日現在)。

タイミング過少申告加算税無申告加算税(期限後申告の場合)重加算税
①調査通知の前0%5%かからない
②調査通知後・更正の予知前5%(超える部分は10%)10%・15%・25%かからない
③更正の予知後(調査で指摘されたあと)10%(超える部分は15%)15%・20%・30%隠ぺい・仮装があれば35%・40%
  • 過少申告加算税の「超える部分」は、追加で納める税額のうち、もとの期限内申告の税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分です
  • 無申告加算税は、納める税額が50万円以下・50万円超300万円以下・300万円超の部分で割合が上がります

「調査通知」とは

調査通知とは、調査の事前通知のうち、調査をすること、対象の税目、対象の期間などの通知のことです(国税通則法第65条)。実地調査の事前通知を受けた時点で、②の段階に入ります。税理士に事前通知の同意をしている場合は、税理士への通知も調査通知に含まれます(FAQ問14)。

「更正の予知」とは

更正の予知とは、税務署が調査で誤りを把握し、このままでは更正されることが分かった状態のことです。調査の場で誤りを指摘されたあとの修正申告は、通常、予知後とみられます。どの時点で予知があったかは、事実関係によって判断が分かれます。

電話で見直しを頼まれた場合

調査ではなく、行政指導として申告書の見直しを頼まれ、自主的に修正申告をした場合は、過少申告加算税はかかりません。延滞税は納める場合があり、もとの申告が期限後申告なら無申告加算税が原則5%かかります(FAQ問2)。電話の用件の見分け方は税務署から電話があったらどうすればいい?で解説しています。

重加算税がかからないことの意味

重加算税は、事実を隠したり偽ったりして申告していた場合に、過少申告加算税(無申告加算税)に代えて、35%(40%)の割合でかかります。ただし、調査があったことで更正を予知して出したものでない修正申告、つまり予知前の自主的な修正申告には、重加算税はかかりません(国税通則法第68条)。

意図的に売上を外していた、といったケースでも、指摘される前に自分から正しい申告に直せば、35%の重加算税は避けられます。ためらう理由があっても、早く直すほど負担は小さくなります。

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計算例

もとの期限内申告の所得税が80万円で、所得税が120万円不足していた場合の過少申告加算税を比べます(延滞税は除く)。

「超える部分」の基準は、期限内申告の税額80万円と50万円のいずれか多いほうの80万円です。不足額120万円のうち、80万円までの部分と、80万円を超える40万円の部分に分けて計算します。

タイミング80万円までの部分80万円を超える40万円加算税の合計
①調査通知の前0%0%0円
②調査通知後・予知前5%=4万円10%=4万円8万円
③予知後(単純な誤り)10%=8万円15%=6万円14万円
③予知後(隠ぺい・仮装あり)35%35%42万円

同じ誤りでも、直すタイミングと誤りの性質で、加算税は0円から42万円まで変わります。

延滞税は別にかかる

加算税が0%でも、延滞税はかかります。延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じた利息のようなものです。令和8年の割合は、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、それを過ぎると年9.1%です(国税庁タックスアンサーNo.9205)。修正申告の場合は、修正申告書を出した日が納期限なので、出した日にすぐ納めれば低いほうの割合で済みます。

調査の前に修正申告するときの注意点

  1. 誤りが確かなものだけを直す:判断に迷うものまで修正する必要はありません。迷う論点は税理士と整理しましょう
  2. 根拠の資料を残す:何をどう直したか、帳簿と証憑で説明できるようにしておきます
  3. 調査は予定どおり行われる:修正申告をしても、事前通知を受けた調査がなくなるわけではありません。修正した内容も含めて確認されます
  4. 書類を作り直さない:修正申告は「正しい数字にする」手続きです。帳簿や領収書を後から書き換えるのは、偽りの書類の作成になり、絶対にしてはいけません

調査のあとで「直しすぎた」と思ったら

調査の結果、修正申告を勧められても、応じるかどうかは任意です。修正申告をすると不服申立てはできませんが、更正の請求はできます(FAQ問25・問26)。修正申告をしたあとで、その内容に誤りがあったと考える場合は、根拠となる資料をそろえて更正の請求をします。期限や手続きは修正申告と更正の請求で詳しく解説しています。

まとめ

  • 誤りが確かなら、調査の前に修正申告をするほど加算税は軽い
  • 調査通知前は0%、通知後・予知前は5%(超える部分10%)、予知後は10%(超える部分15%)
  • 予知前の自主的な修正申告には、重加算税はかからない
  • 延滞税は別途かかる。修正申告をしたらその日に納めるのが負担を抑えるコツ
  • 修正申告をしても調査は行われる。書類の作り直しは絶対にしない

事前通知を受けたあとの準備全体は税務調査と言われたら、まず何をすればいい?、加算税の全体像は税務調査で最悪どうなる?をご覧ください。

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よくある質問

事前通知を受けてから修正申告しても、意味はありますか?
あります。調査の通知を受けたあとでも、税務署が更正を予知する前に修正申告をすれば、過少申告加算税は5%(一定額を超える部分は10%)で、調査で指摘されてからの10%(同15%)より低くなります。予知前の自主的な修正申告には、重加算税もかかりません。
「更正の予知」とは、いつのことですか?
税務署が調査で申告の誤りを把握し、このままでは更正されると納税者が分かった時点が目安です。調査の場で誤りを指摘されたあとの修正申告は、通常、予知後とみられます。具体的な線引きは事実関係によって判断が分かれるため、迷う場合は税理士に確認してください。
修正申告で税金が減ることはありますか?
修正申告は税額を増やすための手続きです。払いすぎていた場合は、更正の請求をします。原則として法定申告期限から5年以内であれば、更正の請求ができます。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
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