「〇月〇日に、事業所に伺って税務調査をしたいのですが」。税務署からこう連絡が来たら、何から手をつければよいのでしょうか。
結論から言うと、最初にやることは「通知の内容を正確にメモする」「税理士に相談する」「日程を決める」の3つです。そのうえで、通知された期間の帳簿と証憑をそろえ、申告内容を見直します。この記事では、事前通知を受けてから調査当日までにやることを、順番に解説します。
- 実地調査の事前通知は、原則として電話で、相当の時間的余裕を置いて行われる
- 通知では、開始日時・場所、目的、税目、対象期間、対象の帳簿書類などが伝えられる。すべてメモする
- 都合が悪ければ日程の変更を協議してもらえる。申し出は口頭でよい
- 通知された期間の帳簿・証憑・通帳をそろえ、申告内容を見直す。誤りがあれば、調査前の修正申告も選択肢
- 書類を捨てる・書き換える・口裏を合わせるのは絶対にしない
事前通知で伝えられること
実地の調査(事業所や自宅に来る調査)では、原則として、調査の前に次のことが通知されます(国税通則法第74条の9、同法施行令第30条の4)。
| 通知される事項 | メモのポイント |
|---|---|
| 実地の調査を行うこと | 来署ではなく、事業所・自宅に来る調査か |
| 調査を始める日時・場所 | 何時から、どこで(事業所か自宅か) |
| 調査の目的 | 例:提出された申告書の内容を確認するため |
| 調査の対象となる税目 | 所得税、消費税、法人税、源泉所得税など |
| 調査の対象となる期間 | 何年分、何期分か |
| 調査の対象となる帳簿書類その他の物件 | 帳簿、請求書、領収書、通帳など |
| 調査担当者の氏名・所属 | 複数人で来る場合は、代表者と人数 |
| 日時・場所の変更を協議できること | 都合が悪ければ申し出られる |
| 通知した以外の事項も調査の対象になりうること | 誤りが疑われれば、期間や税目が広がることがある |
通知は原則として電話で口頭により行われ、要望しても書面はもらえません(FAQ問12)。電話を受けながら、上の表の項目をすべて書き取るのがおすすめです。
何日前に通知されるかは法令に決まりがなく、一律ではありませんが、準備ができるよう相当の時間的余裕を置いて行うとされています(FAQ問13)。
なお、申告内容や過去の調査の結果などから、事前に通知すると調査に支障が出るおそれがあると判断された場合は、事前通知なしで調査が行われることもあります(FAQ問20)。
ステップ1:税理士に相談する
申告を税理士に頼んでいる場合は、すぐに連絡しましょう。税務代理権限証書に同意が書かれていれば、事前通知は税理士あてに行われ、本人に直接連絡が来ないこともあります(FAQ問14)。
税理士がいない場合も、調査の前に依頼することができます。税理士は、税務代理人として調査に立ち会い、納税者に代わって説明や主張をすることができます。ご家族や記帳を手伝っている人は、税務代理人ではないため、立ち会えるのは調査担当者が必要と認めた範囲に限られます(FAQ問33)。
ステップ2:日程を決める
事前通知の際には、あらかじめ都合を聞かれます。決算や申告の繁忙期など、都合の悪い時期は遠慮なく伝えましょう(FAQ問16)。
通知を受けたあとでも、一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情などがあれば、申し出れば日程の変更を協議してもらえます。それ以外でも、理由が合理的なら協議の対象です。申し出は口頭でかまいません(FAQ問16・問17)。
調査に何日かかるかは、事前には教えてもらえません。調査が始まってからの状況で変わるためです。臨場が複数回になるときは、調査が始まってから次回の日程を調整します(FAQ問19)。当日の流れは税務調査は初日から何をする?で解説しています。
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オンライン記帳・申告サポートを見るステップ3:書類をそろえる
通知された期間について、次のものを手元にそろえます。
- 帳簿:総勘定元帳、現金出納帳、売上帳など(会計ソフトのデータでもよい)
- 申告書の控え:所得税・消費税・法人税の申告書と決算書
- 売上の資料:請求書、納品書、契約書、売上の入金が分かる通帳
- 経費の資料:領収書、レシート、請求書、クレジットカードの明細
- 通帳:事業用の口座。個人事業主は、事業に使っている個人口座も
- その他:固定資産の購入時の書類、借入の契約書、給与台帳、源泉所得税の資料
帳簿が電子データの場合は、画面で見せる、印刷して渡す、データで渡すといった方法で提示・提出します(FAQ問5)。データの提出については税務調査の前に「帳簿データを出してください」と言われたら?で解説しています。
ステップ4:申告内容を見直す
書類をそろえたら、申告内容をざっと見直します。特に確認したいのは次の点です。
- 年末・期末の売上が、正しい年(期)に入っているか
- 現金売上や、個人口座への入金が漏れていないか
- 私的な支出が経費に混ざっていないか
- 家事按分の割合に根拠があるか
誤りが見つかった場合、調査の前に修正申告をすることも選択肢です。事前通知のあとでも、税務署が更正を予知する前の修正申告なら、過少申告加算税は5%(一定額を超える部分は10%)で、調査で指摘されてからの10%(同15%)より低くなります。予知前の自主的な修正申告には重加算税もかかりません(国税庁タックスアンサーNo.2024、国税通則法第68条)。詳しくは実地調査の前に修正申告したら?をご覧ください。
絶対にやってはいけないこと
| やってはいけないこと | なぜダメか |
|---|---|
| 書類やデータを捨てる・隠す | 事実の隠ぺいとみられ、重加算税(35%・40%)の対象になりうる |
| 帳簿や領収書を書き換える・作り直す | 偽りの帳簿の提出には罰則がある(国税通則法第128条) |
| 取引先や家族と口裏を合わせる | 取引先への反面調査で食い違いが分かる。隠ぺいとみられるおそれ |
| 連絡を無視する | 調査はなくならず、心証も悪くなる |
見直しの途中で、記録が足りない取引に気づくこともあるでしょう。そのときに後から書類を作るのではなく、「この取引は記録が残っていない」と正直に説明できるよう、事実関係を整理しておくことが大切です。
まとめ
- 事前通知を受けたら、日時・場所、目的、税目、期間、対象の書類をすべてメモする
- すぐに税理士に相談し、都合が悪ければ日程の変更を協議してもらう
- 通知された期間の帳簿・証憑・通帳をそろえ、申告内容を見直す
- 誤りがあれば、調査前の修正申告で加算税を抑えられることがある
- 書類を捨てる・書き換える・口裏を合わせるのは絶対にしない
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