ある日、事務所やスマホに「〇〇税務署の△△です」と電話がかかってきたら、多くの人はドキッとすると思います。でも、税務署からの電話=すぐに税務調査、というわけではありません。用件によって、対応の仕方も、修正したときの加算税の扱いも変わります。
この記事では、税務署から電話があったときに、用件をどう見分けるか、何を答えて何を保留にすればよいかを、国税庁の「税務調査手続に関するFAQ」にそって解説します。
- 税務署からの電話は、主に①申告書の見直しのお願い(行政指導)②税務署に来てもらう調査 ③実地調査の事前通知の3つ
- まず担当者の名前・所属・電話番号と用件を確かめる。「これは調査ですか」と聞いてかまわない
- その場で答えにくいことは「確認して折り返します」でよい。推測で答えない
- ①の行政指導で自主的に修正申告すれば、過少申告加算税はかからない。調査として連絡を受けたあとの修正は、加算税がかかることがある
税務署からの電話は、主に3種類
| 用件 | 内容の例 | その後の流れ |
|---|---|---|
| ①申告書の見直しのお願い(行政指導) | 計算誤り、転記誤り、記載漏れ、控除の適用誤りなどがあるのではないか | 自分で見直し、必要なら自主的に修正申告 |
| ②実地の調査以外の調査 | 税務署に来て申告内容を説明してほしい、資料を送ってほしい | 税目・期間・目的の説明を受け、資料を出して説明する |
| ③実地調査の事前通知 | 〇月〇日に事業所に伺いたい | 日時の調整、書類の準備、税理士への相談 |
国税庁のFAQによると、税務署は調査のほかに、行政指導の一環として、申告書に誤りがありそうな場合に自発的な見直しを求め、必要に応じて修正申告書の提出を求めることがあります(FAQ問2)。
また、税務署に来てもらうなど、事業所に行かない形の調査もあります。この場合も、運用として、来署を頼む連絡の際などに、税目・課税期間・目的が説明されます(FAQ問22)。
実地調査の事前通知も、原則として電話により口頭で行われます(FAQ問12)。書面で通知してほしいと頼んでも、要望に応じた書面の交付はされません。
電話を受けたら、まず確かめること
用件によって対応が変わるので、最初に次のことを確かめ、メモに残しましょう。
- 担当者の名前、所属(税務署名・部門)、電話番号
- 用件:申告書の見直しのお願いなのか、調査なのか。はっきりしなければ「これは調査ですか」と聞いてかまいません
- 対象:どの税目(所得税、消費税、法人税など)の、どの年分・事業年度の話か
- こちらがすること:見直して修正申告をするのか、資料を送るのか、来署するのか、日程を調整するのか
- 期限:いつまでに返事や提出が必要か
税理士に申告を頼んでいる場合は、「税理士に確認してから連絡します」と伝えて、すぐに税理士へ共有しましょう。税務代理権限証書に同意が書かれていれば、実地調査の事前通知は税理士あてに行えば足りることになっています(FAQ問14)。
なお、税務署を名乗る不審な電話もあります。心配なときは、名前と所属を聞いていったん切り、自分で調べた税務署の代表番号にかけ直して確認すると安心です。電話口で口座番号やカード番号を聞かれる、ATMでの操作を求められるといった依頼には応じないでください。
電話で答えてよいこと、保留にすべきこと
電話の段階で、細かい取引の中身まで答える必要はありません。
| 答えてよいこと | 保留にしてよいこと |
|---|---|
| 名前、事業の内容、連絡先などの基本情報 | 手元に資料がない取引の金額や中身 |
| 都合のよい日・悪い日 | 記憶があいまいな事実 |
| 税理士に依頼しているかどうか | 「この経費は事業用か」など判断が必要なこと |
分からないことを推測で答えないことが一番大切です。「たぶん〇〇だったと思います」と答えて、あとで資料と違っていると、説明がぶれていると受け取られかねません。「確認して折り返します」「資料を見てからお答えします」で十分です。
一方で、うその説明をしたり、連絡を無視し続けたりするのはやめましょう。調査の場面で、正当な理由なく質問に答えない、うその答弁をするといった行為には、罰則(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)があります(国税通則法第128条)。調査で何を言うべきかは税務調査で言ってよいこと・言ってはいけないことで詳しく解説しています。
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オンライン記帳・申告サポートを見る用件別の対応と、加算税の違い
①申告書の見直しを頼まれた場合
指摘された点を申告書と帳簿で確認します。本当に誤りがあれば、修正申告書を出します。行政指導にもとづいて自主的に修正申告をした場合は、過少申告加算税はかかりません。延滞税は納める場合があります。もとの申告が期限後申告だったときは、無申告加算税が原則5%かかります(FAQ問2)。
確認しても誤りがないと考える場合は、その根拠を担当者に説明します。納得できないまま修正申告をする必要はありません。
②税務署に来てほしい、資料を出してほしいと言われた場合
これは調査です。税目・期間・目的を確認し、求められた資料をそろえます。調査として連絡を受けたあとに修正申告をすると、時期によっては過少申告加算税がかかることがあります。加算税の割合は、調査の通知の前か後か、税務署が更正を予知する前か後かで変わります(国税庁タックスアンサーNo.2024)。どの時点にあたるかは連絡の内容によるので、税理士に確認しましょう。詳しくは実地調査の前に修正申告したら?をご覧ください。
③実地調査の日程を聞かれた場合
事前通知では、調査の開始日時・場所、目的、税目、期間、対象となる帳簿書類などが伝えられます(国税通則法第74条の9)。都合が悪い日があれば、この段階で伝えましょう。通知を受けたあとの準備は税務調査と言われたら、まず何をすればいい?で順番に解説しています。
日頃の準備が、電話の不安を小さくする
電話を受けて慌てるのは、「何を聞かれても答えられる状態にない」と感じるからです。売上と経費が帳簿に記録され、領収書や請求書がすぐ出せる状態であれば、電話で何を聞かれても「確認します」と落ち着いて対応できます。
税務調査がどのように選ばれるかは税務調査が来る会社・来ない会社、調査と査察の違いは査察(マルサ)と税務調査の違いでも解説しています。
まとめ
- 税務署からの電話は、申告書の見直しのお願い(行政指導)・来署などの調査・実地調査の事前通知のどれかであることが多い
- まず担当者の名前・所属・電話番号、用件、税目と期間、期限をメモする。「これは調査ですか」と聞いてよい
- 分からないことは推測で答えず、確認して折り返す。うそや無視はしない
- 行政指導で自主的に修正申告すれば過少申告加算税はかからない。調査の連絡を受けたあとは加算税がかかることがある
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