査察・税務調査

税務調査で最悪どうなる?加算税・延滞税・重加算税をわかりやすく

「税務調査で誤りが見つかったら、いくら払うことになるのか」「最悪の場合、どうなるのか」。調査の連絡を受けた方が、いちばん気になるところだと思います。

結論から言うと、税務調査の結果としてかかるのは、不足していた本税と、加算税・延滞税です。単純な誤りなら過少申告加算税は10%(一定額を超える部分は15%)ですが、事実を隠したり偽ったりしていた場合は重加算税35%になり、さかのぼる期間も延びます。この記事では、負担の仕組みと目安を、表と計算例で解説します。

この記事の結論
  • 誤りが見つかると、本税+加算税+延滞税を納める。住民税や事業税も連動して増える
  • 調査で指摘されてからの修正なら、過少申告加算税は10%(一定額を超える部分は15%)。申告していなかった場合は無申告加算税15〜30%
  • 事実を隠したり偽ったりしていた場合は重加算税35%(無申告なら40%)。過去5年以内に重加算税などを受けているとさらに10%加算
  • 延滞税は令和8年で年2.8%(納期限から2か月以内)、それを過ぎると年9.1%
  • さかのぼる期間は原則5年、不正があれば7年

税務調査の結果、何を払うのか

税務調査で誤りが見つかったときに納めるものは、次の3つです。

種類内容
本税本来納めるべきだった税金との差額
加算税申告が正しくなかったことへの行政上のペナルティ。過少申告加算税、無申告加算税、重加算税など
延滞税納付が遅れたことへの利息にあたるもの

所得税や法人税が増えれば、住民税や事業税も連動して増えます。消費税の誤りがあれば、消費税と地方消費税も追加になります。

国税庁の「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、所得税の実地調査は4万7千件で、1件あたりの追徴税額は241万円でした。ただし、これは件数全体の平均で、誤りのない調査もあれば、多額の不正が見つかった調査もあります。

加算税の割合

加算税の割合は、いつ修正したかと、誤りの性質で変わります(国税庁タックスアンサーNo.2024・No.2026、令和8年4月1日現在)。

区分調査通知の前調査通知後・更正の予知前調査で指摘されたあと(予知後)
過少申告加算税0%5%(超える部分は10%)10%(超える部分は15%)
無申告加算税5%10%・15%・25%15%・20%・30%
重加算税(過少申告の場合)かからないかからない35%
重加算税(無申告の場合)かからないかからない40%
  • 過少申告加算税の「超える部分」は、追加で納める税額のうち、もとの期限内申告の税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分です
  • 無申告加算税は、納める税額が50万円以下の部分、50万円超300万円以下の部分、300万円超の部分で割合が段階的に上がります
  • 調査で帳簿を提示しない、または帳簿の売上の記載が大きく不足している場合は、過少申告加算税・無申告加算税が5%または10%加重されます
  • 過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合は、さらに10%加算されます(国税通則法第66条・第68条)

調査の前に自分で誤りを直した場合の扱いは、実地調査の前に修正申告したら?で詳しく解説しています。

重加算税:「隠す・偽る」と負担が大きく変わる

重加算税は、税額の計算の基礎となる事実を隠したり、偽ったりして申告していた場合に、過少申告加算税や無申告加算税に代えてかかります(国税通則法第68条)。

典型的なのは、次のようなケースです。

  • 売上を意図的に帳簿から外す、別の口座に入金させる
  • 架空の外注費や仕入れを計上する
  • 請求書や領収書を書き換える、作る
  • 調査の前に書類を捨てる、隠す

一方で、計算の誤り、計上の時期のずれ、経費になるかどうかの判断の誤りは、通常は過少申告加算税です。誤りがあること自体ではなく、「隠した・偽った」かどうかが分かれ目です。

さらに、偽りその他不正の行為で税を免れていた場合は、更正できる期間が原則の5年から7年に延びます(国税通則法第70条)。重加算税の割合だけでなく、さかのぼる年数も増えるため、負担は大きく膨らみます。

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延滞税:納めるのが遅れた期間にかかる

延滞税は、本来の納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかります。令和8年の割合は次のとおりです(国税庁タックスアンサーNo.9205)。

期間令和8年の割合
納期限の翌日から2か月を経過する日まで年2.8%
納期限の翌日から2か月を経過した日以後年9.1%

修正申告をした場合は、修正申告書を出した日が納期限になります。修正申告と同時に納めれば低いほうの割合で済みますが、納付が2か月を超えて遅れると9.1%になります。修正申告をしたら、できるだけ早く納めることが負担を抑えるコツです。

計算例:誤りの性質でこれだけ違う

もとの期限内申告の所得税が200万円で、調査の結果、所得税が100万円不足していた場合の加算税を比べてみます(延滞税、住民税・事業税は除く)。

ケース加算税本税と合わせて
調査通知の前に、自主的に修正0円100万円
調査通知後・予知前に修正5万円(100万円×5%)105万円
調査で指摘されて修正(単純な誤り)10万円(100万円×10%)110万円
調査で指摘されて修正(隠ぺい・仮装あり)35万円(100万円×35%)135万円

この例では、不足額の100万円が、期限内申告の税額200万円と50万円のいずれか多い金額(200万円)を超えないので、「超える部分」の割合は使いません。隠ぺい・仮装があった場合は、さかのぼる年数が増える分、実際の負担はさらに大きくなることがあります。

「最悪」を避けるためにできること

本当の意味での最悪は、多額で悪質な脱税として査察の対象となり、告発されて刑事裁判になることです。ただ、査察の着手は令和7年度で131件にとどまり、普通に記帳して申告している事業者が心配する必要はありません。違いは査察(マルサ)と税務調査の違いで解説しています。

ふつうの税務調査で負担を小さくするために大切なのは、次の3つです。

  1. 隠さない・偽らない:誤りがあっても、正直に説明すれば重加算税にはならない
  2. 帳簿を整え、提示できるようにしておく:帳簿の不提示による加重を避けられる
  3. 誤りに気づいたら早めに直す:調査の前の修正申告なら、加算税はゼロか低い割合で済む

調査での答え方は税務調査で言ってよいこと・言ってはいけないこと、不動産賃貸業の場合の加算税は過少申告加算税・重加算税・延滞税とはでも解説しています。

まとめ

  • 税務調査で誤りが見つかると、本税+加算税+延滞税を納める
  • 指摘後の過少申告加算税は10%(超える部分15%)、無申告加算税は15〜30%
  • 事実を隠したり偽ったりしていれば重加算税35%・40%、さかのぼる期間も7年に延びる
  • 延滞税は令和8年で年2.8%・9.1%。修正申告をしたら早く納める
  • 隠さない、帳簿を整える、早めに直すことで、負担は小さくできる

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よくある質問

重加算税はどんなときにかかりますか?
税額の計算の基礎となる事実を隠したり偽ったりして、その隠ぺい・仮装にもとづいて申告していた(または申告しなかった)場合です。架空の経費を計上する、売上を意図的に除外する、帳簿や書類を改ざんするといったケースが典型です。単純な計算ミスや判断の誤りは、通常は過少申告加算税です。
税務調査では何年前までさかのぼられますか?
更正は、原則として法定申告期限から5年までできます。偽りその他不正の行為で税を免れていた場合は7年に延びます(国税通則法第70条)。実際に何年分を調べるかは調査によって異なり、事前通知で対象期間が伝えられます。
税務調査で刑事罰を受けることはありますか?
ふつうの税務調査の結果は、修正申告や更正と加算税・延滞税で、刑事罰ではありません。刑事責任が問われるのは、多額で悪質な脱税として査察の対象になり、告発された場合です。ただし、調査でうその答弁をしたり、帳簿の検査を拒んだりすると、それ自体に罰則があります(国税通則法第128条)。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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