交際費・接待

得意先から商品券をもらったら?(法人)受贈益の処理と、社長や従業員がもらった場合

取引先との関係が長くなると、「いつもありがとうございます」と得意先から商品券をいただくことがあります。会社宛てに届く場合もあれば、社長や担当の従業員が手渡しで受け取る場合もあります。

結論から言うと、会社が受け取った商品券は「受贈益」として会社の収益になります。一方、社長や従業員が個人として受け取った場合は、本人の所得の問題になります。この記事では、法人の処理と、誰が受け取ったかで何が変わるのかを整理します。個人事業主の場合は得意先から商品券をもらったら?(個人事業主)をご覧ください。

この記事の結論
  • 法人の益金には、無償による資産の譲受けによる収益も含まれる(法人税法22条2項)。会社が受け取った商品券は受贈益(雑収入)
  • 計上するのは受け取った日、金額は原則として額面
  • 消費税は、対価性のない贈り物なら不課税(消費税法基本通達5-2-14の考え方)
  • 役員・従業員が職務に関連して取引先から個人的に受け取った金品は、本人の雑所得(所得税基本通達35-1(11))
  • 会社への贈り物を社長が持ち帰ると、会社の計上漏れに加え、役員給与などの問題になりうる
  • 受け取った商品券を従業員に配ると、原則として給与扱い。受領のルールと台帳を作っておく

会社が受け取った場合:受贈益として計上

法人税法22条2項は、益金の額に算入すべき金額として、資産の販売や役務の提供だけでなく、無償による資産の譲受けその他の取引による収益を挙げています。得意先から無償で受け取った商品券は、この「無償による資産の譲受け」に当たり、会社の収益(受贈益)になります。

タイミング借方貸方ポイント
受け取ったとき貯蔵品(商品券)100,000円雑収入(受贈益)100,000円受け取った日に額面で計上。消費税は不課税
事務用品の購入に使った消耗品費 100,000円貯蔵品(商品券)100,000円買った物品は課税仕入れ(インボイス等の保存が必要)
取引先への贈答に使った交際費 100,000円貯蔵品(商品券)100,000円贈った相手・目的を記録
従業員に配った給与(賞与)100,000円貯蔵品(商品券)100,000円原則として給与課税。源泉徴収の対象
社長が私的に使った役員貸付金 100,000円(精算する場合)貯蔵品(商品券)100,000円精算しなければ役員給与の問題

決算日に使い残している商品券は、貯蔵品として資産に残します。商品券を受け取ったのに帳簿に載っていないと、決算書の資産と実際の手持ちが合わなくなります。

消費税の扱い

消費税法基本通達5-2-14は、寄附金、祝金、見舞金等は原則として資産の譲渡等の対価に該当しないとしています。お礼として贈られた商品券も、対価性のないものなら不課税です。

ただし、実質的に取引の対価(値引きの代わり、追加報酬など)と認められるものは対価に当たるとされています。「今回の受注の謝礼として」など、取引と結びついた金品は、名目ではなく実態で判断されます。

社長や従業員が個人として受け取った場合

取引先からの贈り物は、会社ではなく社長や従業員個人に手渡されることもあります。この場合、まず「それは会社が受け取ったものか、本人が受け取ったものか」を整理する必要があります。

状況考え方
会社宛てに届いた、会社の取引関係へのお礼として渡された会社の受贈益として計上するのが原則
役員・従業員が、自分の職務に関連して個人的に受け取った(会社の規程で本人が受け取ってよいとされている等)本人の雑所得(所得税基本通達35-1(11))
会社に渡すべきものを、社長が個人で持ち帰った会社の受贈益の計上漏れ+社長への経済的利益(役員給与)などの問題になりうる
従業員が会社の規程に反して受け取った本人の雑所得の問題に加え、社内規程違反として社内で対応

本人の雑所得になる場合

所得税基本通達35-1(11)は、「役員又は使用人が自己の職務に関連して使用者の取引先等からの贈与等により取得する金品」を雑所得の例として挙げています。会社が支払ったものではないため、給与所得にはなりません。

会社員(役員を含む)で給与を1か所から受けて年末調整を受けている人は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら所得税の確定申告が不要となる場合があります(所得税法121条1項)。ただし住民税の申告は別に必要になることがあり、ほかの所得との合計で判断するため、個別に確認しましょう。

ひとり会社の社長が受け取った場合

ひとり会社や家族経営の会社では、社長が受け取った商品券を「会社のもの」と「自分のもの」に分けて考える意識が薄くなりがちです。しかし、取引先が会社との取引関係を理由に贈ってきたのであれば、会社として受け取ったものと扱うのが自然です。

社長がそのまま私的に使えば、会社の収益の計上漏れに加え、会社から社長への経済的利益として役員給与とされる可能性があります。役員給与とされた場合、定期同額給与などに当たらないため損金にならず、源泉徴収の問題も生じえます。どちらに当たるかは贈られた趣旨や社内の扱いによって判断が分かれるため、迷ったら会社の収益として計上し、私的に使う分は社長が会社に精算するのが無難です(役員借入金・役員貸付金)。

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受け取った商品券の使い道と注意点

従業員に配ると原則として給与

国税庁の質疑応答事例「創業50周年を記念して従業員に支給した商品券」では、商品券は受け取った人が自由に物品を選べるため金銭に近い性格があり、記念品として非課税とする取扱いの対象にならず、給与として課税されるとされています。取引先からもらった商品券を従業員に配る場合も、原則として給与(現物給与)として扱い、源泉徴収が必要になると考えておきましょう。

取引先へのお返しは交際費等

得意先へのお返しの品や会食は、法人では交際費等になります。資本金1億円以下の中小法人であれば、年800万円までの定額控除限度額の中で損金にできます(法人の交際費はいくらまで経費にできる?)。贈った相手先と目的は記録しておきましょう。

会社としての管理の仕方

  • 受け取りのルールを決める:取引先から金品を受け取ったら、誰でも会社に報告する。受け取ってよいもの・断るものの基準を社内規程にしておく
  • 受領台帳をつくる:受け取った日、贈り主、品目、金額、受け取った人、その後の使い道を記録する
  • 商品券は現金と同じように保管:金庫などで保管し、使った分は台帳と帳簿に記録する
  • 決算日の残高を確認:使い残しは貯蔵品として資産に計上する
  • 現金での謝礼も同じ:取引先から現金を受け取った場合も、会社の雑収入として通帳に入金して記録する(現金で売上をもらったときの管理の仕方)

なお、こちらが取引先の担当者にお礼を渡す側になった場合の扱いは、取引先の仕入担当者にお礼のお金を渡したら?で説明しています。

まとめ

  • 会社が受け取った商品券は、無償による資産の譲受けとして受贈益(雑収入)(法人税法22条2項)
  • 受け取った日に額面で計上。消費税は、対価性のない贈り物なら不課税
  • 役員・従業員が職務に関連して取引先から個人的に受け取った金品は、本人の雑所得(所得税基本通達35-1(11))
  • 会社への贈り物を社長が私的に使うと、計上漏れと役員給与などの問題になりうる。迷ったら会社で計上し、私用分は精算
  • 従業員に配ると原則として給与。お返しは交際費等
  • 受け取りのルールと受領台帳で、会社の収益として管理する

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よくある質問

会社でもらった商品券を、社長が自宅で使ってしまいました。どうなりますか?
会社が受け取ったものであれば、まず会社の受贈益(雑収入)として計上が必要です。そのうえで社長が私的に使った分は、会社から社長への貸付金として精算するか、精算しなければ社長への経済的利益(役員給与)として扱われる可能性があります。役員給与とされると、定期同額給与などに当たらず損金にならないうえ、源泉徴収の問題も生じえます。早めに顧問税理士に相談しましょう。
従業員が取引先から個人的にもらった商品券は、会社の給与になりますか?
会社が支払ったものではないので、会社の給与にはなりません。所得税基本通達35-1(11)では、役員や使用人が職務に関連して使用者の取引先などから贈与などで受け取る金品は、本人の雑所得とされています。会社として受け取るべきものかどうかは、社内のルールと贈られた趣旨で判断します。
受け取った商品券を従業員に配ったら、福利厚生費になりますか?
国税庁の質疑応答事例では、創業記念で従業員に支給した商品券について、商品券は金銭に近い性格があるため記念品の扱いは受けられず、給与として課税されるとされています。会社が受け取った商品券を従業員に配る場合も、原則として給与(現物給与)として扱うことになると考えておくのが安全です。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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