消費税・インボイス

消費税の中間申告はいつ・いくら?48万円の基準と回数、仮決算の選び方

消費税を納めるようになって2年目、3年目。「8月に消費税の納付書が来たけれど、これは何?」というご相談をよく受けます。これが消費税の中間申告(中間納付)です。

消費税の中間申告は、前年(法人は前期)の消費税額が48万円を超えると必要になり、金額が大きいほど回数が増えます。この記事では、国税庁タックスアンサーNo.6609をもとに、個人事業主とひとり会社が知っておきたい基準、納める額、期限、仮決算の使い方を整理します。

この記事の結論
  • 前年(前期)の確定消費税額(地方消費税を除く)が48万円超で年1回、400万円超で年3回、4,800万円超で年11回
  • 納める額は、前年の税額の6/12(年1回)、3/12(年3回)、1/12(年11回)に、地方消費税(78分の22)を足した額
  • 期限は、原則として対象期間の末日の翌日から2か月以内。個人の年1回なら8月末
  • 売上が落ちた年は、仮決算で実際の税額にできる。ただしマイナスでも還付はなく、期限後は出せない
  • 出し忘れても申告があったものとみなされる。納付が遅れると延滞税

中間申告が必要になる基準と回数

判定に使うのは、直前の課税期間の確定消費税額です。個人は前年、法人は前事業年度の、地方消費税を除いた年税額(申告書の「差引税額」)で判定します(消費税法42条、No.6609)。

前年(前期)の確定消費税額(国税分)中間申告の回数1回に納める消費税(国税分)
48万円以下原則不要(任意の制度あり)-
48万円超〜400万円以下年1回前年の税額 × 6/12
400万円超〜4,800万円以下年3回前年の税額 × 3/12
4,800万円超年11回前年の税額 × 1/12

基準の48万円は、地方消費税を含まない金額です。地方消費税(国税分の78分の22)を合わせた納付額で見ると、おおむね61万円を超えると中間申告の対象になります。

判定は「前年にいくら納めたか」だけで決まります。2割特例や簡易課税で計算した年でも、その税額が48万円を超えていれば、翌年は中間申告が必要です。一方、設立1期目の法人のように直前の課税期間がない場合や、前期まで免税事業者で確定消費税額がない場合は、中間申告はありません。消費税をいつから納めるかは、個人事業主の場合と法人の場合で解説しています。

納める額の計算例

中間納付では、国の消費税に加えて地方消費税(国税分の78分の22)もあわせて納めます(No.6609)。数字は説明のための仮のものです。

前年の確定消費税額(国税分)回数1回の国税分1回の地方消費税1回の合計
100万円年1回50万円約14.1万円約64.1万円
600万円年3回150万円約42.3万円約192.3万円

前年の税額が12か月に満たない課税期間のものだったときは、計算方法が異なります。

中間で納めた額は、確定申告で年間の税額から差し引きます。年間の税額より中間納付のほうが多ければ、差額は還付されます。つまり、中間申告は税金が増えるわけではなく、前払いです。ただし、前払いの時期に資金が足りないと困ります。

申告と納付の期限

期限は、原則として中間申告の対象期間の末日の翌日から2か月以内です(No.6609)。暦年が課税期間の個人事業主、3月決算の法人では、おおむね次のようになります。

回数個人事業主(1〜12月)3月決算の法人
年1回1〜6月分 → 8月末4〜9月分 → 11月末
年3回1〜3月分 → 5月末、4〜6月分 → 8月末、7〜9月分 → 11月末4〜6月分 → 8月末、7〜9月分 → 11月末、10〜12月分 → 2月末
年11回1〜3月分は5月末、4〜11月分はそれぞれ2か月後の末最初の1か月分は開始から2か月を経過した日から2か月以内、以後はそれぞれ2か月後の末

期限が土日祝日のときは、休日明けの日が期限です。消費税の確定申告期限の延長特例を受けている法人は、期限の扱いが変わります。また、課税期間の短縮の特例を受けている事業者は、中間申告はありません。

中間申告が必要な事業者には、通常、税務署から申告書と納付書が届きます。所得税の予定納税(7月・11月)や住民税と時期が重なることも多いので、年間の予定は税金の納付スケジュールで確認してください。法人税の中間申告は中間申告と予定納税の仕組みで解説しています。

仮決算で中間納付を減らせる場合

中間申告には、前年の実績で計算する方法(予定申告)のほかに、中間申告の対象期間について仮決算をして、実際の税額で申告・納付する方法があります(消費税法43条、No.6609)。

項目前年実績による申告仮決算による申告
納める額前年の税額 × 6/12など対象期間の実際の税額
向いている年売上が前年並みか、増えている売上が落ちた、大きな設備投資をした
手間届いた納付書で納めるだけ対象期間の帳簿を締めて計算する
簡易課税-簡易課税で計算できる
マイナスになったら-還付はされない
期限後の提出提出がなくても申告があったものとみなされる期限後は出せない(前年実績の額が確定)

仮決算が役に立つのは、今年の売上が前年より大きく落ちている場合です。前年の実績で計算すると、売上が減った年に、売上が多かった年の税額の半分を前払いすることになります。仮決算で実際の税額にすれば、手元の資金を残せます。

ただし、仮決算をするには対象期間の帳簿がきちんと締まっている必要があります。半年分の記帳がたまっていると、期限までに計算が間に合いません。普段から毎月記帳しておくことが、ここでも効いてきます(記帳は毎月か年1回か)。

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48万円以下でも使える「任意の中間申告」

前年の確定消費税額が48万円以下で中間申告がない事業者でも、届出をすれば、年1回の中間申告ができます(No.6611)。

  • 届出書:「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を所轄税務署に出す
  • 適用時期:提出した日以後に末日が最初に来る6か月の中間申告対象期間から
  • 納める額:前年の税額の6/12(仮決算も選べる)
  • 注意:期限までに中間申告書を出さないと、制度をやめる届出を出したものとみなされる

確定申告のときに1年分をまとめて払うのが負担な方が、支払いを2回に分けるために使います。2割特例が終わり、納める消費税が増える個人事業主の方は、検討してもよいでしょう(2割特例はいつまで?)。

出し忘れ・払い忘れたとき

義務のある中間申告は、期限までに申告書を出さなくても、期限の日に申告があったものとみなされ、前年実績の税額が確定します(消費税法44条、No.6609)。申告書を出さなかったこと自体で加算税がかかるわけではありませんが、納付が遅れると、法定納期限の翌日から納付の日までの延滞税がかかります。

確定申告で差し引く「中間納付税額」は、実際に納めた額ではなく、中間申告で納めるべき額です。中間納付を払わないまま確定申告をすると、未納の中間納付は別に残るので注意してください。

どうしても資金が足りないときは、放置せず、早めに税務署に相談しましょう。納税の猶予などの制度は税金が払えないときの納税の猶予と分割で扱います。

資金繰りで困らないために

消費税は、売上と一緒にお客さまから預かったお金です。中間申告がある事業者は、次のことを習慣にしておくと安心です。

  • 売上が入るたびに、消費税分を別口座に取り分ける(年1回の中間納付でも、数十万円になることがある)
  • 8月末(年1回の個人)などの期限を、資金繰り表に入れる(資金繰り表の作り方)
  • 売上が落ちた年は、期限の前に仮決算をするか検討する
  • 前年の確定申告の時点で、翌年の中間納付額を把握しておく

中間納付の遅れや滞納は、金融機関に提出する納税証明書にも表れます。融資を受けるときにも、税金をきちんと期限内に納めていることは大切です。

なお、国税庁は、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの飲食料品の消費税率の引下げに伴い、中間申告の計算方法の特例が設けられると案内しています。飲食料品を扱う事業者の方は、飲食料品の消費税1%とインボイスもご覧ください。

まとめ

  • 前年(前期)の確定消費税額(地方消費税を除く)が48万円超で年1回、400万円超で年3回、4,800万円超で年11回
  • 1回の額は前年の税額の6/12・3/12・1/12に、地方消費税(78分の22)を足した額。税金が増えるのではなく前払い
  • 期限は対象期間の末日の翌日から2か月以内。個人の年1回なら8月末
  • 売上が落ちた年は仮決算で実際の税額にできる。マイナスでも還付はなく、期限後は出せない
  • 出し忘れても申告があったものとみなされるが、払い遅れると延滞税

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よくある質問

消費税の中間申告は、どんな場合に必要ですか?
個人は前年、法人は前事業年度の確定消費税額(地方消費税を除く年税額)が48万円を超える場合に必要です。48万円超400万円以下は年1回、400万円超4,800万円以下は年3回、4,800万円超は年11回です。48万円以下なら原則不要ですが、届出をして年1回の中間申告をする任意の制度もあります。
中間申告書を出し忘れたらどうなりますか?
義務のある中間申告は、期限までに申告書を出さなくても、提出があったものとみなされ、前年(前期)の実績で計算した税額が確定します。納付が遅れると、法定納期限の翌日から納付の日までの延滞税がかかります。なお、仮決算による中間申告は期限後には出せません。
今年は売上が落ちています。中間納付を減らせますか?
仮決算をして、中間申告の対象期間の実際の税額で申告・納付する方法があります。前年の実績で計算した額より少なくなれば、その分、手元の資金を残せます。ただし、仮決算で税額がマイナスになっても還付はされず、期限までに出さないと前年実績の税額が確定します。

※本記事は2026年11月3日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
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