「会社を作ったら消費税は2年間免除」という話を聞いたことがあるかもしれません。半分は正しく、半分は条件つきです。資本金の額、1期目の最初の半年の売上と給与、インボイス登録の有無によって、免除される期間は変わります。
この記事では、ひとり会社・小さな会社を作る方に向けて、国税庁タックスアンサーNo.6501・6503などをもとに、法人の消費税がいつから始まるかを整理します。個人事業主の場合は消費税はいつから納める?(個人事業主)をご覧ください。
- 原則:基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下なら免税。設立1期目・2期目は基準期間がないので、原則として免税
- 例外1:期首の資本金1,000万円以上(新設法人)なら、その期は課税
- 例外2:2期目は、1期目の最初の6か月(特定期間)の課税売上高と給与等の支払額がどちらも1,000万円超なら課税
- 例外3:インボイス登録をすれば、登録日から課税事業者
判定の基本:前々事業年度の売上
法人は、その事業年度の基準期間(原則として前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として消費税の納税義務が免除されます(タックスアンサーNo.6501)。
新しく設立した会社の1期目と2期目には、前々事業年度がありません。そのため、次の例外に当たらなければ、1期目・2期目は免税事業者になります(タックスアンサーNo.6503)。3期目からは、1期目の課税売上高で判定します(1期目が1年未満の場合は、1年分に換算して判定します)。
| 事業年度 | 基準期間 | 特定期間 | 原則の扱い |
|---|---|---|---|
| 1期目 | なし | なし | 免税(例外あり) |
| 2期目 | なし | 1期目の最初の6か月 | 免税(例外あり) |
| 3期目 | 1期目 | 2期目の最初の6か月 | 1期目の課税売上高で判定 |
| 4期目 | 2期目 | 3期目の最初の6か月 | 2期目の課税売上高で判定 |
免税にならない3つの例外
例外1:期首の資本金が1,000万円以上(新設法人)
基準期間がない事業年度の開始の日に、資本金が1,000万円以上の法人は「新設法人」として、その期の納税義務が免除されません(タックスアンサーNo.6503)。1期目・2期目それぞれの期首の資本金で判定するため、1期目の途中で増資して1,000万円以上になると、2期目は課税事業者になります。
このほか、売上の大きい会社や個人に支配される新しい会社(特定新規設立法人)も免税になりませんが、ひとり会社の設立で問題になることは多くありません。
例外2:特定期間の売上と給与がどちらも1,000万円超
2期目は、1期目の開始の日から6か月間(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります。ただし、課税売上高のかわりに給与等の支払額で判定することもでき、どちらで判定するかは選べます(タックスアンサーNo.6501)。結果として、両方が1,000万円を超えたときに2期目が課税になります。
ひとり会社で社長の役員報酬だけなら、6か月の給与等の支払額が1,000万円を超えることは多くありません。
1期目が短い場合の特定期間
国税庁のパンフレット(平成23年9月「消費税法改正のお知らせ」)によると、設立1期目が7か月以下の場合、その1期目は特定期間に当たらず、2期目の特定期間による判定は不要とされています。1期目が8か月以上ある場合は、1期目の最初の6か月(月の途中で設立した場合は調整あり)が特定期間になります。
例外3:インボイス登録・課税事業者の選択
インボイス(適格請求書発行事業者)の登録を受けた法人は、基準期間の課税売上高や新設法人の規定の有無にかかわらず、納税義務が免除されません(タックスアンサーNo.6503)。取引先の多くが会社で、インボイスを求められる事業なら、設立と同時に登録を検討することになります。この場合、免税のメリットはなくなります(インボイス登録はするべき?)。
具体例:3つのひとり会社
| ケース | 設立時の資本金 | 1期目の最初の6か月 | インボイス | 1期目 | 2期目 |
|---|---|---|---|---|---|
| A社(コンサル・役員1人) | 300万円 | 売上800万円・給与300万円 | 登録しない | 免税 | 免税 |
| B社(物販) | 300万円 | 売上1,500万円・給与1,200万円 | 登録しない | 免税 | 課税 |
| C社(BtoBの受託開発) | 300万円 | 売上900万円・給与300万円 | 設立時に登録 | 課税 | 課税 |
| D社(資本金を大きく) | 1,000万円 | ― | 登録しない | 課税 | 課税 |
(いずれも1期目は12か月とします。)
A社は2期目まで免税、3期目は1期目の売上で判定します。B社は特定期間の売上・給与がどちらも1,000万円を超えたため2期目が課税です。C社はインボイス登録により1期目から課税、D社は資本金1,000万円以上のため1期目から課税です。
C社のように設立時からインボイス登録をした会社でも、2割特例(令和8年9月30日を含む課税期間まで)や簡易課税を使えば、納税額を抑えられる場合があります(インボイスの2割特例はいつまで?)。
設立前に決めておきたいこと
- 資本金の額:1,000万円以上にすると、設立直後から課税事業者になる。消費税の観点では1,000万円未満が基本
- 事業年度(決算期):1期目を短くすると免税の期間も短くなる一方、特定期間の判定が不要になることもある。売上の見込み、繁忙期、資金繰りとあわせて決める(法人の決算期は変更できる?)
- インボイス登録の要否:主な取引先が会社か一般消費者か
- 簡易課税の届出:課税事業者になる期から簡易課税を使うなら、届出のタイミングを確認(簡易課税は選ぶべき?)
消費税は「預かったお金」です。課税事業者になる期は、売上の入金のたびに消費税分を別の口座に移しておくと、納付の時期に慌てずに済みます。設立前の消費税の考え方は法人設立前に知るべき消費税でも詳しく扱っています。
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オンライン記帳・申告サポートを見るまとめ
- 法人の消費税は前々事業年度の課税売上高で判定し、設立1期目・2期目は原則として免税
- 期首の資本金1,000万円以上なら、その期は課税
- 2期目は、1期目の最初の6か月の売上と給与がどちらも1,000万円を超えると課税
- インボイス登録をすれば、登録日から課税事業者
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