交際費・接待

お中元・お歳暮・手土産・差し入れの経費処理|交際費・会議費・福利厚生費の分け方

お中元・お歳暮の季節や、取引先を訪問するときの手土産、現場への差し入れ。小さな会社や個人事業主でも、こうした「贈り物」の支出は意外と多いものです。

これらは事業のための贈り物であれば経費にできます。ただし法人では、交際費等になるのか、会議費や福利厚生費になるのかで扱いが変わります。この記事では、国税庁の通達と質疑応答事例をもとに、贈り物の種類ごとの処理と消費税の扱いを整理します。

この記事の結論
  • 取引先へのお中元・お歳暮・手土産は、法人では交際費等。中小法人は年800万円の枠の中で損金にできる
  • 飲食物の詰め合わせを贈る行為は、1人1万円以下の飲食費基準の対象外(措置法通達61の4(1)-15の2の注)
  • 相手先の業務や行事の際に、相手の従業員がすぐ食べることを想定した弁当などの差し入れは「飲食費」に含まれ、1人1万円以下なら交際費等から除ける
  • 贈答品の送料も交際費等(国税庁 質疑応答事例)
  • 社名入りのカレンダーや手帳などを多数に配る費用は広告宣伝費
  • 飲食料品の贈答品は軽減税率8%、ビールやお酒は10%。商品券は非課税

贈り物の種類ごとの処理

支出法人の科目1人1万円基準根拠
取引先へのお中元・お歳暮交際費等使えない措置法通達61の4(1)-15の2の注
取引先訪問時の手土産交際費等使えない(飲食物の詰め合わせも同じ)同上
相手先の会議・行事の際の弁当の差し入れ(すぐ食べるもの)1人1万円以下なら交際費等から除外使える措置法通達61の4(1)-15の2
会食の際に店に払う持ち帰りのお土産代会食の飲食費に含めてよい会食と合わせて判定措置法通達61の4(1)-15の2の注ただし書
贈答品の送料交際費等—国税庁 質疑応答事例「交際費等の範囲(贈答に係る送料)」
社名入りカレンダー・手帳・うちわ・手ぬぐいなど広告宣伝費—措置法施行令37条の5第2項1号
自社の会議で出すお茶・お菓子・弁当会議費—措置法通達61の4(1)-21

お中元・お歳暮・手土産は「贈答」

取引先との関係を円滑にするための贈り物は、交際費等の「贈答」に当たります。お菓子や飲み物など飲食物でも、詰め合わせを贈る行為は「飲食」ではなく「贈答」とされるため、1人1万円以下の飲食費を交際費等から除く基準は使えません。

とはいえ、資本金1億円以下の中小法人なら、交際費等は年800万円まで損金にできます(法人の交際費はいくらまで経費にできる?)。多くの小さな会社では、交際費等に入れても税額に影響は出ません。

弁当の差し入れは「飲食」

一方、取引先の業務や行事の際に、相手の従業員などが食べることを想定した弁当の差し入れは、飲食等に含まれるとされています(措置法通達61の4(1)-15の2)。国税庁の「接待飲食費に関するFAQ」では、差し入れ後、相応の時間内に食べられるようなものが想定されています。

1人あたり1万円以下で、日付・相手先・人数・金額・店名の記録を残せば、交際費等から除くことができます。

多数に配るノベルティは広告宣伝費

カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいなど、多数の人に配ることを目的とし、主に広告宣伝の効果をねらった少額の物品は、交際費等から除かれます(措置法施行令37条の5第2項1号、措置法通達61の4(1)-20)。社名やロゴを入れて配るものが典型です。特定の取引先だけに高価な品を贈る場合は、広告の名目でも交際費等になりやすい点に注意してください(交際費になるもの・ならないもの)。

社内への差し入れ

自社の従業員への差し入れは、取引先への贈り物とは別に考えます。

  • 会議で出すお茶やお菓子、弁当:通常の昼食程度を超えなければ会議費(措置法通達61の4(1)-21)
  • 従業員全員への通常の範囲の差し入れ:福利厚生費として扱えることが多い
  • 特定の役員・従業員だけへの贈り物:交際費等や給与となる場合がある

ひとり会社で社長が自分用に買ったお菓子や飲み物は、会議の実態がなければ経費になりません。

個人事業主の場合

個人事業主には交際費の上限がないため、取引先へのお中元・お歳暮・手土産は、事業のための贈り物であれば必要経費(接待交際費)になります。ただし、送り先や目的を説明できないと否認されることがあります。公表裁決でも、送り先が明らかでないお中元代が必要経費と認められなかった例があります(国税不服審判所 平成25年7月9日裁決)。贈答の記録(送り先の名簿や配送伝票)は必ず残しておきましょう(個人事業主の交際費に上限はある?)。

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消費税の扱い

贈答品消費税率
お菓子・果物・飲料(酒類を除く)などの飲食料品軽減税率8%
ビール・ワインなどのお酒10%
飲食料品と雑貨のセット(一体資産)一定の要件を満たせば8%、それ以外は10%
商品券・ギフトカード非課税(購入時の仕入税額控除なし)
送料10%

課税事業者が仕入税額控除を受けるには、原則としてインボイスの保存が必要です。百貨店やネット通販でまとめて手配した場合は、購入明細とインボイスを一緒に保存しておきましょう。

決算日をまたぐときの注意

交際費等は、贈答などの行為があったときに支出したものとされます(措置法通達61の4(1)-24)。年末にまとめ買いしたお歳暮のうち、決算日にまだ贈っていないものは、その期の交際費にせず、貯蔵品として資産に計上しておき、実際に贈った期に交際費とするのが原則的な考え方です。

まとめ

  • お中元・お歳暮・手土産は、法人では交際費等。飲食物の詰め合わせでも1人1万円基準は使えない
  • 相手先ですぐ食べる弁当の差し入れは飲食費に含まれ、1人1万円以下なら交際費等から除ける
  • 贈答品の送料も交際費等。多数に配るカレンダーや手帳は広告宣伝費
  • 個人事業主は送り先の記録が大切。送り先不明のお中元代が否認された裁決がある
  • 消費税は、飲食料品8%、酒類10%、商品券は非課税

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よくある質問

お歳暮のお菓子は飲食物なので、1人1万円以下なら交際費になりませんか?
なりません。中元・歳暮のように飲食物の詰め合わせを贈る行為は、1万円基準の対象となる「飲食その他これに類する行為」に含まれないとされています(措置法通達61の4(1)-15の2の注)。金額にかかわらず交際費等として扱います。
取引先に届けたお中元の送料も交際費ですか?
国税庁の質疑応答事例では、贈答のために支出する送料も、贈答品の購入費用と同様に交際費等に当たるとされています。運送費として別の科目にせず、贈答品と同じ交際費で処理するのが無難です。
年末にまとめ買いしたお歳暮が、決算日に一部残っています。どう処理しますか?
交際費等は、贈答などの行為があったときに支出したものとされます(措置法通達61の4(1)-24)。決算日にまだ贈っていない贈答品は、その期の交際費にせず、貯蔵品として資産に計上し、贈った期の交際費とするのが原則的な考え方です。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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