配信者・クリエイター

配信者の食事代は経費になる?企画・撮影・打ち合わせで違う考え方

「食べている様子を配信しているから、食費は全部経費?」「撮影の日のお昼代は?」。食べ物を扱う配信者だけでなく、多くのクリエイターが迷うのが食事代です。

食事代は、自分が食べるかぎり、生活のための支出(家事費)の性格がつきまといます。そのため、「これは経費になる」と言い切れるものは多くありません。この記事では、食事代を場面ごとに分けて、経費として説明できる可能性がある部分と、否認されやすい部分を、公表裁決とともに整理します。

この記事の結論
  • 食事は誰でも毎日とるもので、原則は家事費。経費になり得るのは、事業との関係を具体的に説明できる部分に限られる
  • 企画の素材として撮影・公開した飲食は、動画との対応・同行者の分の除外を説明できるかが分かれ目。判断は個別の事情で分かれる
  • 取引先や外注先との打ち合わせの食事は、接待交際費や会議費として説明できる場合がある。ただし、食事がたまたま重なっただけの打ち合わせを否認した裁決もある
  • ライブ配信者が自宅で使った食品・調理器具を否認した裁決がある。自分だけの日常の食事は経費にしない

食事代が経費になりにくい理由

所得税法45条は、生活のための支出(家事費)と、生活と仕事の両方の性質をもつ支出(家事関連費)を、原則として必要経費にしないとしています。家事関連費のうち経費にできるのは、仕事に必要な部分を明らかに区分できる部分だけです(所得税法施行令96条)。

食事は、配信や撮影がなくても毎日とるものです。そのため、税務調査では「この食事は、仕事がなくてもとっていたのではないか」という目で見られます。食事代を経費にするには、その飲食が配信・制作のために行われ、生活のための食事とは別だったことを説明する必要があります。

場面ごとの考え方

場面考え方否認されやすいケース
企画の素材として撮影した飲食(グルメレビュー、料理動画の材料など)撮影・公開との対応を説明できれば、経費として検討の余地がある公開していない、日常の食事と区別がない、家族の分も含む
取引先・案件の担当者・外注先との打ち合わせの食事接待交際費・会議費として説明できる場合がある相手が友人、打ち合わせの中身がない、相手を記録していない
コラボ相手との食事具体的な企画の打ち合わせなら説明できる場合がある友人としての付き合い
撮影を手伝う外注スタッフへの弁当撮影に伴う費用として説明しやすい実際にはスタッフがいない
撮影の日の自分の昼食・夕食生活の食事と判断されやすいほぼ否認されやすい
配信中・編集中の飲み物やおやつ生活の飲食と判断されやすいほぼ否認されやすい

企画の素材としての飲食

グルメレビューや料理動画では、飲食そのものがコンテンツです。この場合でも、自分で食べる以上は生活費の面があり、どこまで経費にできるかは個別の事情によって判断が分かれます。少なくとも次の点を説明できるようにしておきましょう。

  • その飲食を撮影し、実際に動画として公開したこと(URLと公開日)
  • レシートの店名・日付・金額が、動画の内容と対応していること
  • 同行した家族や友人の分は除いていること
  • 撮影しなかった日の外食は入れていないこと

打ち合わせの食事

案件の担当者、編集を頼んでいる外注先、コラボ相手などとの食事は、接待交際費や会議費として説明できる場合があります。ただし、ここにも落とし穴があります。

クリニックを営む医師の公表裁決(国税不服審判所 平成25年7月9日裁決)では、勤務時間の都合で、税理士や建築士と食事をしながら打ち合わせをした費用について、食事を一緒にするという事態がたまたま生じたにすぎず、専ら業務の遂行上必要とまではいえないとして否認されました。同じ裁決で、業務上の取引がない知人との飲食代は、私的な交際として家事費とされています。

打ち合わせの食事を経費にするなら、相手、議題、その後の仕事との結びつきを記録しておくことが欠かせません。

食品が否認された裁決

ウェブカメラを使ったライブチャットの業務で報酬を得ていた人の公表裁決(国税不服審判所 平成26年5月22日裁決)では、各種食品やフライパン・電気ポットなどの調理器具の購入費用について、業務を自宅で行っていたことや業務の内容から、業務と直接の関係があり業務に必要なものとは認められないとして、必要経費への算入が否定されました。

この事例では、待機中の過ごし方についての本人の説明が途中で変わり(仮眠をとっていたと述べたのに、会員の興味を引くため料理をしていたと述べる、など)、説明全体の信用性も否定されています。後から理由をつけた説明は通りにくいことが分かります。

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法人で配信をしている場合

法人の場合は、取引先などとの飲食は交際費等になり、1人あたり1万円以下で記録を残せば交際費等から除くことができます(令和6年4月1日以後の支出。法人の交際費はいくらまで経費にできる?)。ただし、社長ひとりの食事や、家族との食事を会社の経費にすると、役員への給与とされるおそれがあります。

記録の残し方

  1. レシートに相手の名前・会社名・目的を書く(打ち合わせの場合)
  2. 企画の飲食は、会計ソフトのメモ欄に動画のタイトル・URL・公開日を書く
  3. 家族や友人が同席したら、その人の分を除いて計上する
  4. 撮影しなかった外食や、日常の自炊の食材は事業に入れない

記録の工夫は食事の記録はGoogleカレンダーに残せばいい?、配信者の経費の全体像は配信者・クリエイターの経費の考え方をご覧ください。撮影の小道具や機材の扱いは配信の機材・スタジオ・自宅の撮影スペースの経費処理で整理しています。

まとめ

  • 食事は原則として家事費。経費になり得るのは、事業との関係を具体的に説明できる部分だけ
  • 企画の素材としての飲食は、撮影・公開との対応と同行者の分の除外を説明できるかが分かれ目で、判断は個別の事情で分かれる
  • 打ち合わせの食事でも、食事がたまたま重なっただけなら否認された裁決がある
  • 自宅で使う食品・調理器具が否認された裁決がある。自分だけの日常の食事は事業に入れない

食事代のように判断が分かれやすい経費こそ、日頃の記帳と記録がものをいいます。オンライン記帳・申告サポートは月額5,000円程度から(取引量や申告の内容で変わります)、配信者の方の記帳と申告もオンラインでお引き受けしています。

よくある質問

グルメレビューの動画で食べた料理は経費になりますか?
経費として説明できる可能性はありますが、言い切ることはできません。自分で食べる以上、生活費の性格もあるからです。少なくとも、企画として撮影し実際に公開したこと、店名・日付・金額が動画と対応していること、同行した家族や友人の分を除いていることを説明できる必要があります。
撮影の日に自分が食べた昼食は経費になりますか?
撮影の日であっても、自分の昼食は通常の生活でもとる食事なので、生活費(家事費)と判断されやすい支出です。撮影を手伝ってくれた外注スタッフに出す弁当などは、扱いが別になります。
コラボ相手の配信者との食事は経費になりますか?
具体的な企画の打ち合わせであれば、接待交際費や会議費として説明できる場合があります。一方、友人としての付き合いの食事は私的な交際です。公表裁決でも、業務上の取引がない知人との飲食代は家事費とされました。打ち合わせの内容と、その後のコラボ動画などの記録を残してください。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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