「切手を100枚まとめて買ったけど、全部今年の経費でいいの?」「切手には消費税がかからないと聞いたけど、仕入税額控除はどうなる?」。個人事業主やひとり会社の記帳で、意外と迷うのが切手です。
金額は小さくても、まとめ買い・期末に残った分・消費税の3つで扱いが分かれます。この記事では、切手を買ったときの仕訳と、気をつけたいポイントを整理します。
- 切手は通信費で処理するのが基本。はがき・レターパックなども同じ「郵便切手類」として扱う
- 毎年おおむね同じ量を買って日常的に使っているなら、継続して買ったときに経費にする処理が認められる
- 決算前の大量購入など、例年と比べて明らかに多い未使用分は貯蔵品として資産に計上するのが原則
- 消費税は、郵便局で買う切手は非課税。原則は使ったときに課税仕入れになるが、自分で使う切手は継続して購入時に処理してもよい
- ポストに投函する郵便は、インボイスがなくても帳簿の保存だけで仕入税額控除ができる
切手の基本の仕訳:勘定科目は「通信費」
切手は、郵便を送るための費用なので、勘定科目は通信費とするのが一般的です。はがき、郵便書簡、レターパックのような特定封筒も、消費税の上では「郵便切手類」に含まれます(消費税法基本通達6-4-2)。
たとえば、郵便局で1枚110円の切手を100枚、現金で買った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 11,000円 | 現金 | 11,000円 |
事業用とプライベート用の切手を一緒に買った場合は、プライベート分を経費にしないよう分けておきます。個人事業主なら、プライベート分は事業主貸として処理します。事業主貸の考え方は事業主貸・事業主借とはで解説しています。
まとめ買いと期末に残った切手
本来は「使ったときの経費」
切手は、買っただけではまだ使っていません。会計の考え方では、使った分だけがその年(事業年度)の費用で、残っている分は貯蔵品という資産になります。
毎年同じくらい買っているなら、購入時の経費でよい
ただし、毎月・毎年の消耗品の在庫を細かく数えるのは手間がかかります。そこで税務では、事務用消耗品などで、毎年おおむね一定数量を買い、経常的に消費するものについては、継続して購入時に経費にしている場合はそれを認めるという取扱いがあります(法人税基本通達2-2-15、所得税基本通達37-30の3)。
切手は通達に名前が挙がっている品目ではありませんが、事務用消耗品に準ずるものとして、この考え方で購入時に通信費にする処理が実務では広く行われています。
決算前の大量購入は貯蔵品に
注意したいのは、決算の直前に、例年よりはるかに多い切手を買うケースです。「毎年おおむね一定数量」という前提から外れるため、未使用分は貯蔵品として資産に計上し、使った年の経費にするのが原則です。
| ケース | 処理の考え方 |
|---|---|
| 毎月・毎年ほぼ同じ量を買って使っている | 継続して購入時に通信費でよい |
| 期末に少し残っている(通常の範囲) | 上の処理を続けていれば、通常は振り替えなくてよい |
| 決算直前に例年の何倍も買った | 未使用分は貯蔵品に計上し、使った期の通信費にする |
| ダイレクトメール用に一度に大量購入した | 発送が翌期なら、未使用分は貯蔵品に計上する |
期末に貯蔵品へ振り替える場合の仕訳は「(借方)貯蔵品/(貸方)通信費」、翌期に使ったら逆の仕訳で通信費に戻します。どこまでが通常の範囲かは、購入量・使用量の実績によって判断が分かれます。決算前の駆け込みの経費計上については年末の駆け込み節税の落とし穴も参考にしてください。
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郵便局で買う切手は非課税
日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡は、消費税が非課税です(消費税法別表第二第4号イ)。非課税になるのは、郵便局や郵便切手類販売所など一定の場所での譲渡に限られます(消費税法基本通達6-4-1)。金券ショップで割引価格で買った切手は扱いが異なることがあるため、量が多い場合は確認が必要です。
課税仕入れになるのは「使ったとき」が原則
切手を買った時点では課税仕入れにはならず、切手を使って郵便サービスを受けたときに課税仕入れになります。ただし、自分で使う切手については、継続して購入時に課税仕入れとして処理することも認められています(消費税法基本通達11-3-7)。会計で購入時に通信費にしているなら、消費税も購入時に課税仕入れとしておくと、処理がそろいます。
インボイス制度では「ポスト投函」なら帳簿の保存だけで控除できる
インボイス制度では、仕入税額控除には原則としてインボイス(適格請求書)の保存が必要です。しかし、切手だけを対価として郵便ポストに差し出した郵便は、郵便局がインボイスを交付する義務が免除されており、買手は一定の事項を書いた帳簿の保存だけで仕入税額控除ができます(消費税法施行令49条1項1号ニ、同施行規則15条の4第1号。国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問100)。
| 郵便の出し方 | 仕入税額控除に必要なもの |
|---|---|
| 切手を貼ってポストに投函 | 帳簿の保存のみ(帳簿のみ保存の特例に当たる旨などを記載) |
| 郵便局の窓口で料金を払って差し出す | 窓口で受け取るレシートなどのインボイスの保存 |
| 返信用封筒に自分の切手を貼って送る | 自分あてに返送されるものは帳簿のみで控除可(同Q&A問106-3)。返送されなかった分は調整が必要 |
帳簿に記載する事項は、国税庁のタックスアンサー(No.6496、No.6497)で確認できます。会計ソフトで「帳簿のみ保存」の区分を設定しておくと、記載漏れを防げます。
なお、免税事業者や、簡易課税・2割特例を選んでいる場合は、仕入れの消費税を個別に計算しないため、ここまでの消費税の論点は実務上の影響がほとんどありません。
切手を取引先に渡す・プレゼントする場合
取引先へのお礼として切手を渡したり、記念切手を贈ったりする場合は、通信費ではなく交際費などの性質になります。自分で郵便サービスを受けるものではないため、購入時に課税仕入れにする取扱い(11-3-7のただし書き)の対象にもなりません。交際費の範囲は交際費になるもの・ならないものをご覧ください。
収入印紙も同じく郵便局で買いますが、税金の納付に使うものなので、処理が切手とは異なります。収入印紙の処理と消費税で解説しています。
まとめ
- 切手は通信費。はがき・レターパックなども同じ扱い
- 毎年おおむね同じ量を買って使っているなら、継続して購入時に経費にしてよい。決算前の大量購入の未使用分は貯蔵品に計上する
- 郵便局で買う切手は非課税。課税仕入れは原則として使ったとき、自分で使う切手は継続して購入時でもよい
- ポスト投函の郵便は、インボイスがなくても帳簿の保存だけで仕入税額控除ができる。窓口で出すならレシートを保存する
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