「収入印紙を買ったけど、勘定科目は租税公課?通信費?」「切手と一緒に郵便局で買ったから、まとめて通信費にしていいの?」。収入印紙は、個人事業主やひとり会社の記帳でよく質問をいただく項目です。
結論から言うと、契約書や領収書に貼る収入印紙は印紙税という税金の納付なので、租税公課で処理します。この記事では、収入印紙の仕訳、消費税の扱い、期末に残った印紙や貼り間違いの処理までを整理します。
- 契約書・領収書に貼る収入印紙は印紙税の納付なので租税公課。登記や国への手数料に使う場合は、その支払いの内容に応じて処理する
- 郵便局などで買う収入印紙は消費税が非課税、印紙税そのものも消費税の対象外。切手と違い、仕入税額控除はできない
- 期末に使っていない印紙がまとまって残っている場合は、貯蔵品として資産に計上するのが原則
- 印紙を貼らなかった場合の過怠税は最大3倍で、経費にならない。電子データで送る領収書には印紙税がかからない
収入印紙の勘定科目:使い道で決まる
収入印紙は、印紙税の納付だけでなく、登録免許税や国への手数料の納付にも使われます(国税庁タックスアンサーNo.7130)。勘定科目は「何のために使ったか」で決めます。
| 使い道 | 主な勘定科目 | 消費税の区分 |
|---|---|---|
| 契約書・領収書などの印紙税 | 租税公課 | 対象外(不課税) |
| 商業登記などの登録免許税 | 租税公課(資産の取得に関するものは取得価額に含める場合がある) | 対象外(不課税) |
| 国への手数料(パスポート、特許など) | 支払手数料など | 対象外(不課税) |
「通信費」は郵便や電話などのサービスの費用なので、収入印紙には合いません。郵便局で切手と一緒に買った場合も、レシートを見て切手分(通信費)と印紙分(租税公課)に分けて入力します。切手の処理は切手を買ったときの処理をご覧ください。
なお、印紙税は法人税の損金、所得税の必要経費になります。税額の計算上は、通信費で処理しても租税公課で処理しても経費の総額は変わりませんが、決算書の見やすさと、次に説明する消費税の区分のために、租税公課に分けておくのがおすすめです。
収入印紙と消費税:仕入税額控除はできない
郵便局で買う印紙は非課税
印紙の売りさばき所(郵便局など)での印紙の譲渡は、消費税が非課税です(国税庁タックスアンサーNo.6201)。非課税になるのは一定の場所での譲渡に限られ、それ以外の場所での譲渡には非課税の規定が適用されません(消費税法基本通達6-4-1)。金券ショップで買った印紙は扱いが異なる可能性があるため、まとまった量を買う場合は確認してください。
印紙税は「税金の納付」なので消費税の対象外
切手は、使ったときに郵便サービスの対価として課税仕入れになります。一方、収入印紙を契約書に貼るのは印紙税という税金の納付であり、何かのサービスを受ける取引ではありません。そのため、買ったときも使ったときも課税仕入れにはならず、仕入税額控除はできません。
会計ソフトで「通信費」を選ぶと、消費税区分が自動で「課税仕入れ」になることがあります。この状態のままだと、本来できない仕入税額控除をしてしまうので注意が必要です。勘定科目と消費税区分をセットで確認するのが、記帳のポイントです。
期末に残った収入印紙
収入印紙は、買った時点ではまだ税金を納めたことになっていません。会計の考え方では、使っていない印紙は「貯蔵品」という資産で、貼って使ったときに租税公課になります。
| ケース | 処理の考え方 |
|---|---|
| 必要な都度、必要な枚数だけ買って貼る | 購入時に租税公課で処理 |
| 期末に少額の印紙が残っている | 毎期同程度なら、実務上は購入時の処理を続けることも多い |
| 期末にまとまった額の印紙が残っている | 未使用分を貯蔵品に計上し、使った期に租税公課にする |
どこまでを少額とみるかは、金額や購入の実績によって判断が分かれます。決算前にまとめて買った印紙を全額その期の経費にするのは避けましょう。
貼り間違い・不要になった印紙
課税文書でない文書に印紙を貼ってしまった場合や、必要な額より多く貼った場合は、税務署に「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」を出して還付を受けられることがあります。文書の現物の提示が必要で、作成日から5年を過ぎると対象外です。また、汚れていない収入印紙は、郵便局で1枚5円の手数料で他の額面の印紙と交換できます(現金には換えられません)。いずれもタックスアンサーNo.7130に案内があります。
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オンライン記帳・申告サポートを見る領収書に印紙が必要になる金額
個人事業主やひとり会社が自分で印紙を貼る場面で多いのは、領収書(第17号文書)です。売上代金の受取書の税額は次のとおりです(国税庁タックスアンサーNo.7105)。
| 受取金額(記載金額) | 印紙税額 |
|---|---|
| 5万円未満 | 非課税 |
| 5万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円超200万円以下 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 600円 |
| 300万円超500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 2,000円 |
知っておきたいポイントは次の4つです。
- 消費税を分けて書くと、税抜の金額で判定できる:消費税の課税事業者が、消費税額を区分して記載した場合などは、その消費税額は記載金額に含めません(タックスアンサーNo.7124)。免税事業者は税込の金額で判定します
- 営業に関しない受取書は非課税:個人の場合、商人としての行為は営業になりますが、医師、歯科医師、弁護士、公認会計士などの行為は一般に営業に当たらないとされています(タックスアンサーNo.7125)
- PDF・メールで送る領収書には印紙税がかからない:ファクシミリや電子メールで送った場合は、実際に文書が交付されないため課税原因が発生しないとする国税庁の回答があります(国税庁:文書回答事例)。ただし、送ったあとに紙の正本を渡せば課税文書になります
- 貼り忘れると過怠税:印紙を貼らなかった場合は、本来の印紙税の3倍の過怠税がかかります。税務調査の前に自分から申し出れば1.1倍に軽減されます。消印を忘れた場合も、消印していない印紙の額面と同額の過怠税です。過怠税は法人税の損金にも所得税の必要経費にもなりません(タックスアンサーNo.7131)
契約書の印紙税と電子契約については、不動産の契約書と印紙税と電子契約と印紙税でも詳しく扱っています。
まとめ
- 契約書・領収書に貼る収入印紙は租税公課。登記や国の手数料に使う場合は内容に応じた科目にする
- 収入印紙は購入時は非課税、印紙税の納付は消費税の対象外。仕入税額控除はできないので、会計ソフトの消費税区分に注意する
- 期末にまとまって残った印紙は貯蔵品。貼り間違いは還付や交換の制度がある
- 領収書は売上代金5万円以上で印紙が必要。電子データで送れば印紙税はかからない。貼り忘れの過怠税は経費にならない
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