年末になると、市区町村から「償却資産申告書」が届くことがあります。「パソコンにも税金がかかるの?」「個人事業主でも申告しないといけないの?」と驚かれる方も少なくありません。
償却資産税は、正式には固定資産税(償却資産)といい、土地・家屋以外の事業用の資産にかかる市町村の税金です。この記事では、総務省・東京都主税局などの自治体の公表資料をもとに、申告期限、申告が必要な人と資産、免税点、申告しなかった場合のリスクを整理します。
- 1月1日時点で事業用の償却資産を持っている人は、個人事業主も法人も、1月31日までに資産の所在する市区町村(東京23区は都税事務所)に申告する(地方税法383条)
- パソコン、複合機、エアコン、応接セット、看板、テナントとして行った内装工事などが対象。ソフトウェア、自動車税の対象の車、10万円未満で全額経費にしたもの、20万円未満で一括償却したものは対象外
- 少額減価償却資産の特例で全額経費にした資産は申告の対象。ここがいちばん間違えやすい
- 市区町村ごとの課税標準額の合計が免税点未満なら課税されない。免税点は150万円、2027年度分(2027年1月の申告分)からは180万円。税率は標準1.4%
- 申告漏れは最大5年度分さかのぼって課税されることがある
償却資産税とは:1月1日に持っている資産を1月31日までに申告
固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)時点の土地・家屋・償却資産の所有者に、その所在する市町村が課税する税金です。東京23区では、特例で都が課税します。
土地と家屋は登記などをもとに市町村が把握しますが、償却資産は所有者が申告しないと分かりません。そのため、償却資産の所有者は、毎年1月1日現在の資産について、所在、種類、取得時期、取得価額、耐用年数などを1月31日までに申告することとされています(地方税法383条)。
なお、期限が土日・祝日に当たる場合は翌日(翌開庁日)が期限になります(地方税法20条の5第2項)。2027年は1月31日が日曜日のため、実際の期限は自治体の案内で確認してください。申告は郵送・窓口のほか、eLTAX(地方税ポータルシステム)による電子申告もできます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申告する人 | 1月1日時点で事業用の償却資産を持っている個人・法人 |
| 申告先 | 資産の所在する市区町村(東京23区は区ごとの都税事務所) |
| 申告期限 | 1月31日(土日祝日なら翌開庁日) |
| 税率 | 標準税率1.4%(東京23区も1.4%) |
| 免税点 | 課税標準額の合計150万円未満(2027年度分から180万円未満) |
| 納付 | 6月ごろに納税通知書が届き、通常は年4回に分けて納付 |
出典:総務省「固定資産税の概要」、東京都主税局「固定資産税(償却資産)」
申告が必要な資産・不要な資産
対象になる主な資産
東京都主税局の案内では、業種に共通する申告対象の例として、パソコン、コピー機、ルームエアコン、応接セット、テナントとして取り付けた内装・内部造作、看板、LAN設備などが挙げられています。使っていない資産でも、事業に使える状態であれば対象です。減価償却が終わって帳簿上1円になった資産も、使える状態なら対象になります。
自宅で仕事をしている個人事業主の場合も、事業用の資産であれば対象です。申告先は、資産の所在地、つまり自宅のある市区町村になります。
対象外になる主なもの
| 対象外になるもの | 例 |
|---|---|
| 自動車税・軽自動車税の対象になるもの | 営業車、軽トラック |
| 無形固定資産 | 会計ソフト・アプリなどのソフトウェア |
| 繰延資産 | 創立費、開業費 |
| 10万円未満(または耐用年数1年未満)で、全額をその年の経費にしたもの | 8万円のプリンター |
| 20万円未満で、3年間の一括償却にしたもの | 15万円のパソコンを一括償却 |
| 一定のリース資産で取得価額20万円未満のもの | ― |
いちばん間違えやすい「少額減価償却資産の特例」
青色申告者が使える中小企業者等の少額減価償却資産の特例(2026年4月1日以後の取得分は40万円未満)で全額を経費にした資産は、所得税・法人税ではその年の経費になっていても、償却資産の申告の対象です。東京都の案内でも、この特例は固定資産税では適用されないとされています。
同じ15万円のパソコンでも、一括償却なら対象外、特例で全額経費なら対象です。会計ソフトの固定資産台帳に、どの方法で処理したかを残しておくと、申告のときに迷いません。制度の違いは少額減価償却資産の特例(40万円未満)とパソコンを買ったら:10万円・20万円・40万円の違いで解説しています。
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オンライン記帳・申告サポートを見る免税点と税額の計算
免税点:市区町村ごとの合計で判定
同じ人が同じ市町村内に持っている償却資産の課税標準額の合計が150万円未満なら、固定資産税は課税されません(地方税法351条)。総務省の資料では、令和9年度(2027年度)以後の年度分は180万円に引き上げられることが示されています。2027年1月に申告する分が令和9年度分に当たります。
評価額は取得価額を上回らないので、たとえば取得価額の合計が180万円未満の資産しか持っていない個人事業主は、2027年度分は課税されないことになります。
課税されないのに申告は必要?
免税点未満の場合、課税されず、納税通知書も届きません。ただし、課税されるかどうかは申告の内容をもとに判断されるため、免税点未満と思われる場合でも申告が必要と案内している自治体があります(秋田市「よくある質問」)。申告書が届いたら、案内に従って提出しておくのが確実です。
評価額の計算
償却資産の評価額は、税務上の減価償却とは計算方法が違います。
| 項目 | 所得税・法人税の減価償却 | 償却資産の評価 |
|---|---|---|
| 計算の基準日 | 決算日(個人は12月31日) | 1月1日 |
| 取得した年の扱い | 月割り | 取得月にかかわらず半年分 |
| 最低限度 | 1円(備忘価額) | 取得価額の5% |
| 少額減価償却資産の特例 | 使える | 使えない |
前年中に取得した資産は「取得価額 ×(1 − 減価率 ÷ 2)」、それ以前に取得した資産は「前年度の評価額 ×(1 − 減価率)」で計算し、課税標準額(1,000円未満切り捨て)に税率1.4%をかけて税額を出します(東京都主税局の計算例による)。
申告しなかった場合のリスク
- 過年度への遡及:申告漏れなどによる課税は、最大5年度分さかのぼります。偽りその他不正の行為で税額を免れた場合は7年度分です(地方税法17条の5第5項・第7項)
- 過料:正当な理由なく申告しなかった場合、市町村は条例で10万円以下の過料を定めることができます(地方税法386条)
- 調査:都税事務所などは、所得税・法人税の申告書類を閲覧できます(地方税法354条の2)。確定申告の減価償却明細と償却資産の申告が合っていないと、問い合わせのきっかけになります
個人事業主なら確定申告の減価償却費の明細、法人なら固定資産台帳や法人税申告書の別表16をもとに申告すると、内容がそろいます。会計上、償却資産税は租税公課として経費になります。
まとめ
- 1月1日時点の事業用の償却資産は、個人事業主も法人も1月31日までに資産の所在する市区町村に申告する
- 10万円未満の即時経費・20万円未満の一括償却・ソフトウェア・車は対象外。少額減価償却資産の特例で経費にしたものは対象
- 免税点は150万円、2027年度分から180万円。免税点未満でも申告を求める自治体がある
- 申告漏れは最大5年度分の遡及課税と過料のリスクがある。確定申告の減価償却明細と内容をそろえておく
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