記帳・帳簿

開業届と青色申告承認申請書はいつまでに出す?出し忘れたときの対処法

個人事業を始めるときに税務署に出す書類の代表が、「開業届」と「青色申告承認申請書」です。開業届は出したけれど青色申告の申請を忘れていた、開業届を出さないまま1年がたってしまった、というご相談はめずらしくありません。

ポイントは、開業届よりも青色申告承認申請書のほうが期限が早いことです。この記事では、それぞれの提出期限、出し忘れたときの影響と対処法、ひとり会社(法人)の場合の期限を整理します。

この記事の結論
  • 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は、事業を始めた年の確定申告期限まで(所得税法229条)
  • 青色申告承認申請書は、原則として青色申告をしたい年の3月15日まで。その年の1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内
  • 青色申告の申請を出し忘れると、その年は白色申告。55万円・65万円の控除、専従者給与、赤字の繰越しが使えない
  • 出し忘れに気づいたら、翌年の3月15日までに申請すれば翌年から青色申告にできる
  • 法人の青色申告は、設立の日以後3か月を経過した日と第1期の終了日のいずれか早い日の前日まで

開業時に出す主な書類と期限

個人事業主が開業するときに、税務署に出すことが多い書類と期限を国税庁のタックスアンサー(No.2090)などで確認すると、次のとおりです。

書類提出期限出すべき人
個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)事業を始めた年分の確定申告期限まで事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき事業を始めた人
所得税の青色申告承認申請書青色申告をしたい年の3月15日まで(1月16日以後の開業は開業日から2か月以内)青色申告をしたい人
青色事業専従者給与に関する届出書給与を経費にしたい年の3月15日まで(1月16日以後の開業や、新たに専従者ができた場合はその日から2か月以内)家族に給与を払う人
給与支払事務所等の開設届出書開設の日から1か月以内従業員や家族に給与を払う人
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書随時(原則として提出した日の翌月に支払う給与から適用)給与の支給人員が常時10人未満で、源泉所得税を年2回にまとめたい人

このほか、消費税の届出(課税事業者の選択、簡易課税の選択、インボイスの登録申請)や、都道府県税事務所への届出が必要になる場合もあります。

開業届の期限は「確定申告期限まで」

開業届について「開業から1か月以内」と書かれた解説を見かけることがあります。しかし、現在の所得税法229条では、届出書は事業の開始等の事実があった日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに提出するとされており、国税庁の手続案内(A1-5)も同じ書き方です。

とはいえ、開業届と同じタイミングで青色申告承認申請書を出すのが一般的です。青色申告の期限のほうが早いので、開業したらすぐに両方を出すのが安全です。e-Taxでも提出できます。

青色申告承認申請書を出し忘れたら

その年は白色申告になる

期限までに申請書を出さなかった年は、青色申告はできません。青色申告をすると次のような特典がありますが、白色申告ではこれらが使えません(国税庁「記帳のしかた(青色申告者)」による)。

  • 青色申告特別控除(最高65万円。2027年分以後は要件を満たすと最高75万円)
  • 青色事業専従者給与:生計を一にする家族に払う給与のうち、相当と認められる金額を経費にできる
  • 純損失の繰越し・繰戻し:赤字を翌年以後3年間繰り越して、黒字と相殺できる

開業した年は設備や準備の費用がかさみ、赤字になることも多いものです。青色申告でないと、その赤字を翌年に繰り越せません。開業初年こそ青色申告の申請が大切です。

翌年からの青色申告を申請する

出し忘れに気づいたら、翌年の3月15日までに青色申告承認申請書を出せば、翌年分から青色申告にできます。開業した年の申告は白色申告で行います。

白色申告でも、売上や経費の記帳と、帳簿書類の保存は必要です。翌年から青色申告に切り替えることを見すえて、最初から会計ソフトで複式簿記の記帳をしておくと、移行の手間がかかりません。65万円の控除の要件は青色申告特別控除65万円の要件で解説しています。

承認の通知がこない場合

青色申告の申請をしても、税務署から承認の通知が来ないことがあります。所得税法147条により、青色申告をしようとする年の12月31日(その年の11月1日以後に開業した場合は翌年2月15日)までに承認または却下の処分がなかったときは、その日に承認があったものとみなされます。提出した申請書の控え(e-Taxなら受信通知)は保管しておきましょう。

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開業届を出していなかったら

開業届を出さないまま事業を続けていた場合も、気づいた時点で提出してください。開業届を出していなくても、事業で所得があれば確定申告は必要です。開業届が出ていないこと自体で税額が変わるわけではありませんが、次のような場面で困ることがあります。

  • 青色申告の申請を同時に忘れていることが多い
  • 屋号の口座の開設や、融資の申込みで、開業届の控えを求められることがある
  • 開業日がいつなのか、記録があいまいになる

開業日は、実際に事業を始めた日(仕事の受注や販売を始めた日など)を書きます。

ひとり会社(法人)の場合の期限

法人を設立した場合は、期限の考え方が個人と違います。

書類提出期限根拠
法人設立届出書設立の日以後2か月以内法人税法148条
青色申告の承認申請書設立の日以後3か月を経過した日と、第1期の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日まで法人税法122条

第1期の事業年度が3か月より短い場合は、事業年度終了の日の前日が期限になります。期限を過ぎると第1期は青色申告にならず、第1期の赤字を翌期以後に繰り越すことができません。設立後に出す書類の全体は法人設立後の届出一覧にまとめています。

なお、年の途中で個人事業から法人に切り替える(法人成り)場合の青色申告や専従者給与の扱いは、法人成りで個人事業を年の途中で廃業、青色申告と専従者給与は今年も使える?をご覧ください。

まとめ

  • 開業届は事業を始めた年の確定申告期限まで。ただし青色申告の申請のほうが期限が早い
  • 青色申告承認申請書は原則3月15日まで、1月16日以後の開業は開業日から2か月以内
  • 出し忘れた年は白色申告。翌年3月15日までに申請すれば翌年から青色にできる
  • 12月31日(11月以後の開業は翌年2月15日)までに処分がなければ、承認があったものとみなされる
  • 法人は設立から3か月を経過した日と第1期末のいずれか早い日の前日まで

家族に給与を払う予定がある方は、青色事業専従者給与の要件もあわせてご確認ください。

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よくある質問

開業届は、開業してから1か月以内に出さないといけないのではありませんか?
現在の所得税法229条と国税庁の案内では、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の提出期限は、事業を開始した日の属する年分の確定申告期限までとされています。ただし、青色申告承認申請書や青色事業専従者給与に関する届出書は期限がもっと早いので、開業届と同時に出しておくのが安全です。
青色申告承認申請書を出し忘れました。今年から青色申告にできますか?
期限を過ぎてしまった年は、青色申告にはできず白色申告になります。翌年から青色申告にしたい場合は、翌年の3月15日までに申請書を提出してください。白色申告でも記帳と帳簿書類の保存は必要なので、今のうちから複式簿記で記帳しておくと、翌年の切替えがスムーズです。
青色申告の承認の通知が来ません。申請は通っていますか?
所得税法147条により、青色申告をしようとする年の12月31日(その年の11月1日以後に開業した場合は翌年2月15日)までに承認または却下の処分がなかったときは、その日に承認があったものとみなされます。通知がなくても、期限内に提出していれば多くの場合は承認されたものとして扱われます。提出した申請書の控えは保管しておきましょう。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
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