YouTubeやTwitch、海外のライブ配信アプリ、海外のファンサイトなど、海外のプラットフォームから収入を受け取る配信者が増えています。振込が外貨だったり、明細が英語だったりして、「日本で申告が必要なの?」「消費税はどうなるの?」と迷う方も多いでしょう。
この記事では、所得税・消費税・源泉税の3つに分けて、国税庁の資料で確認できる扱いを整理します。取引の内容によって結論が変わる論点が多いため、契約書(利用規約)で取引の中身を確認することが出発点です。
- 日本の居住者なら、海外のプラットフォームからの収入も所得税の申告対象。外貨は原則として取引日の為替レートで円に換算する
- 消費税は、インターネットを介した役務の提供(電気通信利用役務の提供)なら受ける側の住所等で判定し、国外の会社向けなら国外取引(不課税)。著作権の利用許諾として行う取引なら、国内取引のうえで輸出免税になる場合がある
- 海外の会社に払う広告費などのリバースチャージは、一般課税で課税売上割合95%未満の場合だけ申告が必要
- 外国で源泉徴収された税は、外国税額控除で調整できる。租税条約の限度税率を超えて取られた分は控除の対象外なので、相手国での軽減手続(日本の居住者証明書が必要)を検討する
所得税:海外からの収入も申告の対象
日本の居住者は、国内・国外どちらで得た所得にも所得税がかかります。海外のプラットフォームからの収入も、配信の活動が事業といえるかどうかで、事業所得か雑所得として申告します(区分の考え方は「配信収入は事業所得か雑所得か」)。
外貨で受け取った収入は、原則として取引日の電信売買相場の仲値(TTM)で円に換算します。どの日を取引日とするか(収益が確定した日か、振込日か)は、毎年同じ考え方で処理しましょう。
海外の運営会社からの報酬が問題になった公表裁決があります。平成26年5月22日裁決の事案では、請求人は海外の運営会社のサイトでライブチャット業務を行い、決済代行業者から外為送金で報酬を受け取っていましたが、申告していませんでした。税務署は国外からの送金について「お尋ね」を送り、その後の調査を経て、雑所得として決定処分と無申告加算税の賦課決定をしています。金融機関を通じた一定額を超える国外送金は、税務署に調書が提出される仕組みがあります。海外からの入金も、税務署は把握できると考えてください(「海外送金と税務調査」も参考になります)。
消費税:国外取引か、輸出免税か
消費税は、国内で行った取引(国内取引)にかかります。配信者が海外のプラットフォームから受け取る収入は、取引の中身によって判定の仕方が変わります。
| 取引の中身 | 国内か国外かの判定 | 海外の会社が相手の場合 |
|---|---|---|
| インターネットを介した役務の提供(電気通信利用役務の提供)。例:配信を通じたサービスの提供 | 役務の提供を受ける者の住所・本店所在地で判定(消費税法4条3項3号) | 国外取引(不課税) |
| 著作権の譲渡・貸付け(動画などの利用を許諾する取引)。受け渡しがネット経由でも、電気通信利用役務の提供には当たらない | 譲渡・貸付けを行う者の住所等で判定 | 日本の配信者が行えば国内取引。相手が非居住者なら輸出免税の対象になりうる |
根拠は、国税庁の「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A」(令和8年6月改訂)と、タックスアンサー「No.6551 輸出取引の免税」です。Q&Aでは、国内事業者が国外に住所がある者に電気通信利用役務の提供をした場合は国外取引で消費税は課されないこと、著作権の譲渡・貸付けは電気通信利用役務の提供に当たらないことが示されています。輸出免税の対象には、非居住者に対する著作権などの無体財産権の譲渡・貸付けや、非居住者に対する役務の提供(国内で直接便益を受けるものなどを除く)が含まれます。
「不課税」と「免税」の違いが効いてくる場面
どちらも消費税はかかりませんが、次の点で違いがあります。
- 免税事業者かどうかの判定:基準期間の課税売上高には、輸出免税の売上は含まれ、国外取引(不課税)の売上は含まれない
- 課税売上割合:一般課税で仕入税額控除を計算するとき、免税売上は課税売上に含まれる
つまり、海外の収入が大きい配信者は、どちらに当たるかで消費税の納税義務の有無が変わることがあります。プラットフォームの収益分配が「役務の提供の対価」なのか「著作物の利用許諾の対価」なのかは、利用規約や契約の内容によるため、個別の事情によって判断が分かれます。申告の前に税理士と契約内容を確認してください。
海外の会社に払う費用とリバースチャージ
海外の会社に広告費やツールの利用料などを払う場合、それが国外事業者からの「事業者向け電気通信利用役務の提供」(例:インターネット上の広告の配信)に当たると、サービスを受けた側が消費税を申告・納税する「リバースチャージ方式」の対象になります。
ただし、国税庁の資料では、次のように整理されています。
| 申告の方式 | リバースチャージの申告 |
|---|---|
| 一般課税で、課税売上割合が95%未満 | 必要 |
| 一般課税で、課税売上割合が95%以上 | 当分の間、その取引はなかったものとされる |
| 簡易課税 | 当分の間、その取引はなかったものとされる |
一方、国外事業者から受ける「消費者向け電気通信利用役務の提供」(誰でも申し込めるアプリやクラウドサービスなど)は、リバースチャージではなく、サービスを提供した国外事業者が日本で納税します。一般課税で仕入税額控除を受けるには、原則としてその国外事業者が発行した適格請求書(インボイス)の保存が必要です。インボイスを受け取る側の注意点は「インボイスを受け取る側の注意点」で解説しています。
源泉税①:外国で源泉徴収された税
海外のプラットフォームが、その国の税法に基づいて収益から税金を差し引くことがあります。日本の居住者がこうした外国の所得税を負担した場合、一定の限度額の範囲で日本の所得税から差し引く「外国税額控除」を受けられます(国税庁タックスアンサーNo.1240)。
押さえておきたい点は次のとおりです。
- 控除を受けるには、確定申告書に「外国税額控除に関する明細書(居住者用)」や、外国で税金が課されたことを証明する書類などを添付する
- 租税条約で相手国が課税できる限度を超えて取られた税額は、外国税額控除の対象外
- 控除限度額を超えた分などは、一定の要件で3年間繰り越せる
相手国の源泉徴収を租税条約で軽減してもらうには、相手国の手続に従って書類を出す必要があり、その際に日本の居住者であることの証明を求められることがあります。日本の税務署では、租税条約の相手国に提出する居住者証明書の交付を請求できます(タックスアンサーNo.9210)。相手国側の手続や様式は国ごとに異なるため、プラットフォームの案内と相手国の制度を確認してください。
源泉税②:海外の人に払うときの源泉徴収と租税条約の届出
反対に、配信者が非居住者や外国法人に支払う側になることもあります。たとえば、海外のクリエイターに楽曲や素材の使用料を払う場合です。
- 非居住者等に支払う著作権などの使用料が国内源泉所得に当たる場合、支払う側が20.42%で源泉徴収する(タックスアンサーNo.2884)
- 租税条約で税率が軽減・免除される場合、受け取る側が「租税条約に関する届出書」を、最初の支払日の前日までに、支払者を経由して支払者の所轄税務署長に提出する(タックスアンサーNo.2888)
- 届出書が出ていない場合は、支払者は国内法の税率で源泉徴収する。後から届出書と還付請求書を出せば、差額の還付を請求できる
海外の編集者に動画編集を頼む場合のように、役務が国外で行われるときは、源泉徴収が必要かどうかの判断が変わります。支払いの種類と役務を行う場所を契約書で確認しましょう。
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オンライン記帳・申告サポートを見るまとめ
- 海外のプラットフォームからの収入も、日本の居住者なら所得税の申告対象。外貨は原則として取引日のレートで円に換算する
- 消費税は、電気通信利用役務の提供なら受ける側の住所等で判定し、海外の会社向けは国外取引。著作権の利用許諾なら輸出免税になりうる。どちらかで免税点の判定が変わることがある
- リバースチャージの申告は、一般課税で課税売上割合95%未満の場合だけ
- 外国で源泉徴収された税は外国税額控除で調整。条約の限度を超えた分は相手国での軽減手続を検討し、日本の居住者証明書を使う
- 海外に支払う側になったら、源泉徴収と租税条約の届出を確認する
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