ご相談の内容
本業で年末調整を受けながら、以前は掛け持ちで年10万円以下の少額の副業をしていた方からのご相談です。確定申告が必要だとは知らず、気になって税務署に相談すると、申告できるのは5年分までと言われました。それより前の年の分はどうなるのか、自分が亡くなった後に税務調査が入ることはあるのか、という不安です。
- 5年より前の年分は、今から申告する必要はなく、追加の課税を受けることも通常はない
- 年末調整を受けていて副業の所得が年20万円以下なら、もともと確定申告の義務はなかった可能性が高い
- 亡くなった後に、この副業が理由で税務調査が入る可能性は低い。住民税は別に確認する
回答
年20万円以下なら、もともと申告は不要
年末調整を受けている給与所得者は、給与以外の所得(収入から経費を引いた額)が年20万円以下であれば、所得税の確定申告をしなくてよいとされています(所得税法第121条、国税庁タックスアンサーNo.1900)。
副業が2か所目の給与であった場合も、年末調整されていない給与と他の所得の合計が20万円以下なら同様に申告不要です。年10万円以下の少額であれば、どちらの場合でも申告義務はなかった可能性が高いといえます。
「5年」の意味
税務署から「5年」と言われたのは、税務署が税額を決めたり、納税者が申告したりできる期間が原則5年とされているためと思われます(国税通則法第70条、第74条など)。この期間を過ぎた年分は、偽りや不正な行為がある場合を除き、税務署も課税できません。
それより前の年の副業についても、年末調整を受けていて副業の所得が20万円以下であれば、もともと申告は不要でした。
住民税には「20万円以下」の仕組みがない
注意が必要なのは住民税です。住民税(市区町村の税金)には「20万円以下なら申告不要」という仕組みがありません。そのため、本来は市区町村への申告が必要だった可能性があります。
ただし住民税にも課税できる期間の制限があり(地方税法第17条の5)、少額であれば実際に問題となることは多くありません。気になる場合は、お住まいの市区町村の住民税担当課に確認してください。
亡くなった後の税務調査
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 税務調査の主な対象 | 相続税の申告が必要な方(遺産が基礎控除額を超える方) |
| 相続税の基礎控除額 | 3,000万円+600万円×法定相続人の数(相続税法第15条、タックスアンサーNo.4152) |
| 亡くなった年の所得 | ご家族が4か月以内に準確定申告(亡くなった方に代わって行う確定申告)をする場合がある(所得税法第125条) |
| 過去の年分 | 課税できる期間の制限は同じ |
こうした仕組みから、年10万円以下の少額の副業が原因で、ご家族に大きな負担が生じることは考えにくいです。
注意したいポイント
- 結論の前提を確認する:ここでの結論は、本業で年末調整を受けていて、副業の所得が年20万円以下という前提です。前提が異なる場合は、結論が変わることがあります。
- 判定は「所得」で行う:20万円は収入ではなく、収入から経費を引いた金額で判定します。副業が2か所目の給与の場合は、前述のとおり年末調整されていない給与と他の所得の合計で判定します。
- 今後の手続き:現在は副業をやめて給与1か所で年末調整を受けているのであれば、今後は特に手続きは不要です。
20万円の判定と住民税の申告の関係はアルバイトのほかに雑所得や一時所得があると、いくらから所得税・住民税の申告が必要?でも解説しています。
まとめ
- 5年より前の年分を今から申告する必要はなく、偽りや不正な行為がない限り課税もされない
- 年末調整を受けていて副業の所得が年20万円以下なら、もともと所得税の確定申告は不要。住民税は別に確認する
- 亡くなった後の税務調査は主に相続税の申告が必要な方が対象で、少額の副業が理由で調査が入る可能性は低い
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
