ご相談の内容
個人事業主として、海外のプラットフォームからドル建てで報酬を受け取っています。報酬は海外送金サービスを通じて円に換えられ、日本の銀行口座に入金されます。その月の報酬を月末のTTMレートで売上に計上し、入金時のレートとの差額は為替差損益としていますが、この方法でよいでしょうか。
- 月末に報酬が確定する契約なら、月末TTMでの売上計上は原則どおり
- 売上計上時と入金時の差額を為替差損益とする処理は正しく、事業所得に含める
- レートの選び方を毎年変えないこと(継続適用)と、年末に残る売掛金・外貨残高の扱いに注意する
回答
1. 売上の換算レート
外貨建取引は、取引日の電信売買相場の仲値(TTM)で円換算するのが原則です(所得税法57条の3、所得税基本通達57の3-2)。
- その月の作業分が月末に確定する契約:月末が取引日となり、月末TTMでの計上は原則どおり
- 作業ごと・日ごとに確定する仕組み:取引日は各確定日。ただし同通達の注書きにより、継続適用を条件に、前月末・当月初日のTTMや月平均レートなど合理的なレートを使える
2. 入金時の仕訳
売上計上時と入金時の換算差は為替差損益とします。事業の売掛金から生じた差損益なので、事業所得に含めます。送金手数料は、送金日のレートで換算して支払手数料とする処理で差し支えありません。
たとえば800ドルの報酬を月末レート150円で計上し、入金時のレートが148円、送金手数料が3ドルだった場合は次のようになります。
| 時点 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 月末 | 売掛金 120,000円 | 売上 120,000円 |
| 入金時 | 普通預金 117,956円 | 売掛金 120,000円 |
| 支払手数料 444円 | ||
| 為替差損益 1,600円 |
3. 確認しておきたい点
- 普通預金は実際の入金額で:「ドル額×レート」の計算値ではなく、通帳に実際に入金された円額で記帳します。送金サービスの両替手数料(スプレッド)を含めた差額は、為替差損益に含まれます
- 2段階で記帳する方法:海外の支払元から送金サービスに入金された時点で売掛金は回収済みとなり、円に換えるまでは外貨を預けている状態です。より正確に記帳するなら、「外貨預金」の補助科目を設け、入金時と円転時の2段階で仕訳する方法があります
注意したいポイント
- 年末の残高:年末に残る外貨建の売掛金・預金を年末レートで換算し直すかどうかは、所得税法施行令167条の6等で定められています。届出をしていなければ、計上時のレートのまま据え置く方法(発生時換算法)になると考えられます
- 消費税:課税事業者であれば、海外法人へのサービス提供は輸出免税取引(消費税がかからない輸出扱いの取引)に該当する可能性があります
海外との取引と消費税については韓国での海外ロケの現地費用に付加価値税はかかる?、売上が増えてきたときの判断はフリーランスの売上が1,000万円を超えたらインボイス登録は必要?もご覧ください。
まとめ
- 月末確定の報酬は月末TTMで計上し、入金時との差額は為替差損益として事業所得に含める
- 普通預金は実際の入金額で記帳し、レートの選び方は継続して同じものを使う
- 年末の外貨建残高は、届出がなければ計上時のレートのまま据え置く方法になると考えられる
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
