ご相談の内容
個人事業主の配偶者が、パート勤務を続けながら事業を手伝う場合のご相談です。たとえばパートが週15時間、事業に従事する時間が週30時間で、事業に必要な事務や作業を年間を通じて担当する予定です。この働き方で青色事業専従者として認められるのか、パート勤務があることを理由に専従者給与が否認されることはないのかを知りたい、という内容でした。
- パート勤務があることだけを理由に、直ちに否認されるものではない
- 「短い」かどうかに明確な時間基準はなく、実態で判断される。事業の時間がパートの2倍なら、事業が主と説明しやすい
- 事業に専ら従事している実態を示せることが前提で、作業記録や給与の支払いの記録を整える
回答
青色事業専従者の要件
青色事業専従者とは、次の要件をすべて満たす人をいいます(所得税法第57条第1項、所得税法施行令第165条第1項)。
- 青色申告者と生計を一にする配偶者等であること
- 15歳以上であること
- その年を通じて6か月を超える期間、その事業に専ら従事すること
パート勤務がある場合の考え方
他に職業を有する人である期間は、原則として従事期間に含まれません。ただし、「その職業に従事する時間が短い者その他の当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者」は除かれます(同令第165条第2項第2号)。
この「短い」に明確な時間基準はなく、勤務時間の比重、業務内容、継続性などから実態で判断されます。ご相談の例を当てはめると、次のように整理できます。
| 判断の要素 | 例の場合 |
|---|---|
| 勤務時間の比重 | 事業が週30時間、パートが週15時間で、事業がパートの2倍 |
| 業務内容 | 事業に必要な事務や作業を担当 |
| 継続性 | 年間を通じて従事する予定 |
このような形であれば、事業が主であると説明しやすく、青色事業専従者として認められる可能性は十分にあると考えます。
実態を示す記録を残す
税務調査では実態が確認されます。次のような記録を整えておくと安心です。
- 業務日誌などの作業記録を残す
- 給与を口座振込で実際に支払う
- 源泉徴収を行う
注意したいポイント
- 届出の期限:事業主は「青色申告承認申請書」と「青色事業専従者給与に関する届出書」を、原則としてその年の3月15日までに提出し、届け出た金額の範囲内で支給する必要があります(所得税法第57条第2項、国税庁タックスアンサーNo.2070)。
- 給与の金額:従事時間や業務内容に照らして、労務の対価として相当な額であることが必要です。過大な部分は必要経費になりません(同令第164条第1項)。
- 配偶者控除:配偶者が専従者となった年は、事業主は配偶者控除・配偶者特別控除を受けられません。
- 2か所からの給与:パート先と事業主の2か所から給与を受けることになります。年末調整は「扶養控除等申告書」を提出した一方でのみ行われるため、もう一方の給与の額によっては、本人の確定申告が必要になる場合があります(国税庁タックスアンサーNo.1900)。
配偶者控除との関係は、個人事業主の妻でも夫の配偶者控除は受けられる?いくらまでなら対象?もあわせてご覧ください。家族への給与が問題になった例は、家族への給与が否認された裁決事例と認められる条件|青色事業専従者給与と法人の親族役員報酬で解説しています。
まとめ
- パート勤務があることだけで、青色事業専従者が直ちに否認されるわけではない
- 明確な時間基準はなく、勤務の比重・業務内容・継続性などの実態で判断される
- 作業記録や給与の支払いの記録を整え、届出の期限と給与の金額の妥当性にも注意する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
