年末調整・給与・社会保険

個人事業主の妻でも夫の配偶者控除は受けられる?いくらまでなら対象?

ご相談の内容

個人事業主として仕事をしている方からのご相談です。自分が個人事業主でも、夫の税金上の扶養に入って控除を受けることはできるのか、できるとしたらいくらまでなら対象になるのか、という内容です。

結論
  • 個人事業主でも、夫の控除の対象になれる。配偶者の場合は「扶養控除」ではなく配偶者控除・配偶者特別控除
  • 判定は売上ではなく、経費や青色申告特別控除を差し引いた所得で行う
  • 令和8年分は、所得62万円以下で配偶者控除、62万円超133万円以下で配偶者特別控除の対象

回答

配偶者は「扶養控除」ではなく「配偶者控除」

配偶者控除は所得税法第83条、配偶者特別控除は同法第83条の2に定められています(タックスアンサーNo.1191、No.1195)。扶養控除(同法第84条)は、親族のうち配偶者以外の人が対象です。そのため、妻の場合はこの二つの控除で判定します。

判定は「売上」ではなく「所得」

判定に使うのは妻の合計所得金額(各種所得の合計額)です。個人事業の場合は、次の順に差し引いた後の金額が基準になります。

  1. 売上
  2. 必要経費を差し引く
  3. 青色申告であれば、青色申告特別控除を差し引く

青色申告特別控除は最大65万円ですが、電子申告などの要件があります。売上の金額そのものではない点に注意しましょう。

たとえば、売上が300万円でも、必要経費が200万円、青色申告特別控除が65万円であれば、所得は次のようになります。

300万円(売上)− 200万円(必要経費)− 65万円(青色申告特別控除)= 35万円(所得)

この場合、売上は大きくても所得は上限を下回るため、配偶者控除の対象になり得ます(給与など他の所得がない場合)。

所得の上限

年分配偶者控除配偶者特別控除
令和7年分所得58万円以下58万円超133万円以下
令和8年分所得62万円以下62万円超133万円以下

令和8年分は、税制改正により配偶者控除の所得要件が引き上げられています。

配偶者特別控除は、妻の所得が増えるにつれて控除額が段階的に小さくなります。また、いずれの控除も夫の合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です。

注意したいポイント

  • 妻が夫の事業の青色事業専従者(家族従業員として給与を受ける人)や事業専従者に該当する場合は、所得にかかわらず、配偶者控除・配偶者特別控除は受けられません。
  • 健康保険などの社会保険上の扶養は、税金上の扶養とは別の基準で判定されます。個人事業の場合の収入の考え方は加入先の健康保険によって異なるため、夫の勤務先の健康保険組合などに別途確認しましょう。

個人事業を始めたときの青色申告の基本は、作家デビューが決まったら、税金は何から始める?でも解説しています。収入の種類ごとの扶養の判定は大学生の家庭教師(個人契約)と塾バイト、親の扶養は外れる?もご覧ください。

まとめ

  • 個人事業主の妻も、夫の配偶者控除・配偶者特別控除の対象になれる
  • 判定は売上ではなく所得。経費と青色申告特別控除を差し引いた後の金額で見る
  • 夫の所得1,000万円以下が要件。青色事業専従者は対象外で、社会保険の扶養は別に確認する

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

個人事業主の妻の場合、配偶者控除は売上で判定しますか?
売上(収入)ではなく、売上から必要経費を差し引き、青色申告であれば青色申告特別控除も差し引いた後の「所得」で判定します。売上が多くても、経費を差し引いた所得が上限以下なら配偶者控除や配偶者特別控除の対象になり得ます。
夫の事業を手伝って専従者給与をもらっている場合も、配偶者控除は受けられますか?
夫の事業の青色事業専従者(家族従業員として給与を受ける人)や事業専従者に該当する場合は、所得の金額にかかわらず、配偶者控除・配偶者特別控除は受けられません。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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