年末調整・給与・社会保険

夫が海外赴任中の年末調整、扶養控除申告書の家族欄は空欄で大丈夫?

ご相談の内容

夫が海外赴任中の会社員の方からのご相談です。夫を税金上扶養しているわけではなく、学生の子ども2人は夫の会社の扶養家族に入っています。そのため、年末調整の書類の家族欄はいつも空欄で提出してきました。扶養する家族がいなくても家族欄は書く必要があったのか、税金に影響はないのか、というご相談です。

結論
  • 扶養控除などを受けないなら、家族欄は空欄でも問題なし。税金を少なく納めたことにはならず、追徴の心配もない
  • ただし夫が1年以上の海外赴任で非居住者になっている場合、子どもの扶養控除を妻側で受けられた可能性がある
  • 受けられたのに受けていなかった年分は、5年以内の還付申告で取り戻せる

回答

家族欄は「自分が控除を受けたい家族」を書く欄

年末調整で出す扶養控除等申告書の家族欄は、自分が控除を受けたい家族を書く欄です。空欄で出すと控除なしで税額が計算されるため、税金を少なく納めていたことにはなりません。

また、夫の会社の「扶養家族」は通常、健康保険や家族手当の話で、税金上の扶養とは別に判断します。会社の扶養に入っていることと、税金でだれが扶養控除を受けるかは一致しないことがあります。

夫が非居住者なら、子どもの扶養控除は妻側へ

海外赴任の期間が1年以上の予定であれば、夫は原則として非居住者(日本に住所がない人)と推定されます(所得税法施行令第15条)。非居住者は日本の所得税で扶養控除を受けられません(所得税法第165条)。

そのため、次の要件を満たす子どもは、妻の扶養控除の対象になり得ます(タックスアンサーNo.1180)。

  • その年の12月31日時点で16歳以上であること
  • 妻と生計を一にしていること(仕送りを受けている学生も含む)
  • 子どもの合計所得金額が62万円以下であること(2025年分は58万円以下)

19歳以上23歳未満の子どもは特定扶養親族となり、控除額が大きくなります。

夫が居住者のままなら空欄で正しい

夫の状況子どもの扶養控除
1年以上の赴任予定で非居住者夫は受けられないため、妻の扶養控除の対象になり得る
1年未満の赴任予定で居住者のまま、夫側で控除を受けている二重に控除はできないため、妻は空欄で正しい

注意したいポイント

  • 過去の年分で扶養控除を受けられたのに受けていなかった場合は、確定申告(還付申告)で取り戻せます。期限は対象年の翌年1月1日から5年間です(タックスアンサーNo.2030)。
  • 所得税の申告をすると、住民税にも反映されます。
  • まずは夫の赴任期間と、夫が日本で子どもの扶養控除を受けているかどうかを確認しましょう。

夫婦どちらの年末調整で控除を受けるかという考え方は、育休中の年末調整、自分名義の生命保険料控除は夫婦どちらで申告する?でも解説しています。海外赴任と税金の基本は海外移住と税金(非居住者になる前に確認すること)をご覧ください。

まとめ

  • 扶養控除を受けないなら家族欄は空欄で問題なく、追徴の心配はない
  • 夫が1年以上の海外赴任で非居住者なら、子どもの扶養控除を妻が受けられる可能性がある
  • 受け漏れがあれば、5年以内の還付申告で取り戻せる。まず夫の赴任期間と控除の状況を確認する

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

扶養控除等申告書の家族欄を空欄で出していました。追徴されますか?
扶養控除などを受けない場合は、家族欄を空欄で提出しても問題ありません。空欄だと控除なしで税額が計算されるため、税金を少なく納めていたことにはならず、追徴の心配もありません。
夫が海外赴任中なら、子どもの扶養控除を妻が受けられますか?
赴任期間が1年以上の予定であれば、夫は原則として非居住者と推定され(所得税法施行令第15条)、日本の所得税で扶養控除を受けられません。妻と生計を一にし、所得要件などを満たす16歳以上の子どもは、妻の扶養控除の対象になり得ます(タックスアンサーNo.1180)。

※本記事は2026年10月25日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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