ご相談の内容
健康保険料や介護保険料などの社会保険料が今年一気に上がり、手元に残るお金が少なくなった、何か対策はないか、というご相談です。保険料の負担が増えたと感じている会社員の方、自営業の方、年金暮らしの家族を支えている方に共通する悩みです。
- 社会保険料そのものを税金の手続きで下げるのは難しいが、社会保険料控除を漏れなく申告すれば所得税と翌年の住民税を軽くできる
- 家族の保険料を自分が払った分も控除の対象。支払者によって世帯全体の税負担が変わることがある
- 国民健康保険には所得が低い場合の軽減・減免制度がある。iDeCoの掛金も全額控除できる
回答
社会保険料控除は上限なく全額
社会保険料控除(所得税法第74条、国税庁タックスアンサーNo.1130)は、その年に支払った健康保険料・介護保険料・年金保険料などの全額を所得から差し引く制度で、上限はありません。住民税にも同様の控除があります(地方税法第34条・第314条の2)。
家族の保険料も対象になる
この控除は、生計を一にする(生活費を共にする)配偶者や親族の保険料を自分が支払った場合も対象です。たとえば、家族の国民年金保険料や国民健康保険料をあなたが支払っていれば、あなたの控除に含められます。
| 保険料の支払い方 | 控除を受ける人 |
|---|---|
| 自分の給与から天引き | 自分(年末調整で自動的に反映) |
| 家族の保険料を自分が支払う | 自分(保険料控除申告書か確定申告で申告) |
| 年金から天引き(特別徴収) | 年金を受け取る本人 |
後期高齢者医療保険料は、年金からの天引きを口座振替に変更すると、支払口座の名義人に応じて控除を受ける人が変わります。所得の高い家族が負担すれば、世帯全体の税負担が軽くなる場合があります。
会社員と自営業で手続きが違う
- 会社員:給与天引き分は年末調整で自動的に反映されます。家族分や別途支払った国民年金保険料などは、保険料控除申告書に記入するか、確定申告をする必要があります。
- 自営業・国民健康保険の加入者:保険料は前年の所得をもとに計算されます。所得が一定以下であれば、均等割などの7割・5割・2割軽減が受けられますが、所得の申告がないと判定されません。
注意したいポイント
- 収入が少ない年も申告を:国民健康保険の軽減は所得の申告をもとに判定されるため、収入が少ない年でも住民税の申告(または確定申告)をしておくことが大切です。失業や事業不振で所得が大きく減った場合は、市区町村の減免制度の対象となることもあります。
- 国保料の計算では所得控除は引かれない:国民健康保険料の計算では、社会保険料控除などの所得控除は差し引かれないのが一般的です。保険料を抑えるには、必要経費の計上漏れを防ぐことや青色申告特別控除の活用が有効です。
- iDeCoも検討:iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は小規模企業共済等掛金控除として全額控除でき、所得税・住民税の軽減につながります。
家族の国民健康保険料を払ったときの年末調整の書き方は、子どもの国民健康保険料を親が払ったら年末調整で控除できる?で解説しています。家族の保険料を負担するときの考え方は、子どもの医療保険の保険料を親が払うと贈与?もご覧ください。
まとめ
- 社会保険料は全額が社会保険料控除の対象。家族の分を自分が払った場合も含めて漏れなく申告する
- 後期高齢者医療保険料は口座振替にすると、支払った家族が控除を受けられる
- 国民健康保険の軽減は所得の申告が前提。iDeCoの掛金控除もあわせて点検する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
