ご相談の内容
家族が亡くなり、その年に複数の勤務先から給与を受けていたものの、年末調整はされていない状況です。この場合に準確定申告(亡くなった方の確定申告)は必要なのか。また、その年に売却した株の利益があり、特定口座(源泉徴収あり)で確定申告の必要がないものの場合、準確定申告をするならこの利益も含めるのか、というご相談です。
- 株の売却益は、特定口座(源泉徴収あり)であれば、準確定申告をする場合でも申告に含める必要はない
- 準確定申告そのものは、法律上の申告義務がない可能性がある
- ただし、還付(払い過ぎた税金の返還)を受けられる可能性が高いため、提出を検討する価値がある
回答
株の売却益は給与と分けて考える
特定口座(源泉徴収あり)の株の売却益は、申告不要を選べます(租税特別措置法第37条の11の5)。準確定申告をする場合でも、給与分だけを申告すれば足ります。そのため、利益の分かる書類がなくても差し支えありません。
申告義務の判定は生前と同じ基準
準確定申告では、その年1月1日から死亡日までの所得について、生前と同じ基準で申告義務を判定します(所得税法第125条)。
給与を2か所以上から受けている場合は、従たる給与(メイン以外の勤務先の給与)と給与以外の所得の合計が20万円を超えると申告が必要です(所得税法第121条、タックスアンサーNo.1900)。従たる給与が20万円未満であれば、税務署などで「必要ない」と案内されるのは、この基準によるものと考えられます。
ただし、どの勤務先でも年末調整がされていない場合は、この基準の当てはめが変わります。源泉徴収票を確認したうえで判断してください。
義務がなくても還付の可能性がある
年の途中で退職し年末調整を受けていない場合、毎月引かれた源泉徴収税額は、年間の正しい税額より多くなっていることがよくあります。準確定申告をすれば、その差額が還付される可能性があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必要な書類 | 各勤務先の源泉徴収票(年末調整が未済のものを含む) |
| 申告する人 | 相続人。複数いる場合は原則として連名で提出 |
| 通常の期限 | 相続開始を知った日の翌日から4か月以内 |
| 申告義務のない還付申告 | 通常の期限を過ぎても、一定期間(5年)内は提出できる |
| 還付金の扱い | 相続財産となる |
注意したいポイント
- 申告に含めたい場合の書類:損失との通算などのために株の売却益を申告に含めたい場合は、証券会社に「特定口座年間取引報告書」を相続人として請求してください。口座の解約後でも発行してもらえるのが一般的です。
- 源泉徴収票を揃えてから判断する:還付の有無や金額は、すべての勤務先の源泉徴収票(年末調整が未済のものを含む)を揃えて計算すると分かります。
- 期限を過ぎてもあきらめない:申告義務のない還付申告であれば、4か月を過ぎても提出できます。
準確定申告の期限や流れは賃貸物件を相続した年の確定申告と準確定申告でも、株の売却にかかる税金は個人株主が株式を売ったときの税金でも解説しています。
まとめ
- 特定口座(源泉徴収あり)の株の売却益は、準確定申告をする場合でも申告に含める必要はない
- 準確定申告の義務がなくても、年末調整を受けていなければ還付の可能性があるので提出を検討する
- 還付申告は4か月を過ぎても一定期間(5年)内は可能。申告は相続人が行い、還付金は相続財産となる
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
