ご相談の内容
個人事業主として、65万円控除の要件を満たして期限内に青色申告をしました。ただ、所得が少なかったため、青色申告特別控除は65万円に届かず、たとえば60万円程度にとどまりました。その後、売上の計上漏れが見つかり、直すと所得が増えます。手続きの際に、控除額を65万円まで増やせるのか、というご相談です。
- 売上の計上漏れを直す手続きは、更正の請求ではなく修正申告
- 当初の申告が65万円控除の要件を満たして期限内なら、増えた所得の範囲内で65万円まで増やせると考えられる
- 当初が期限後申告などで上限が55万円・10万円なら、65万円までは増やせない
回答
手続きは修正申告
更正の請求(国税通則法第23条)は、税額が多すぎた場合に減額を求める手続きです。売上の計上漏れのように税額が増える場合は、修正申告(同法第19条)を行います。
控除額が増える仕組み
青色申告特別控除は、65万円(55万円)と、控除前の不動産所得・事業所得の合計額のうち、いずれか低い金額です(租税特別措置法第25条の2、国税庁タックスアンサーNo.2072)。当初は控除前の所得が65万円に届かなかったため、控除額も所得と同じ額にとどまったと考えられます。
65万円控除の要件(期限内申告、e-Taxでの申告または優良な電子帳簿での保存など)は、当初の確定申告で判定されます。要件を満たして期限内に申告していれば、修正申告で控除前の所得が増えた分について、65万円に達するまで控除額を増やせるという取扱いと考えられます。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 当初の控除額 | 60万円(控除前の所得と同額) |
| 増やせる控除額 | 最大5万円(65万円まで) |
| 計上漏れで増えた所得 | 5万円までは控除の増加で相殺、超える部分が課税所得の増加 |
注意したいポイント
- 上限が65万円でない場合:当初の申告が期限後だった場合や、e-Tax等の要件を満たしていなかった場合は、控除の上限が55万円または10万円です。修正申告をしても65万円までは増やせません
- 決算書も直す:修正申告の際は、売上を修正した青色申告決算書(貸借対照表を含みます)もあわせて提出します
- 延滞税と加算税:追加で納める税額には延滞税(納付が遅れた分の利息に当たる税)がかかります。調査の通知を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税(申告不足へのペナルティ)は原則としてかかりません(国税通則法第65条第6項)
期限後申告だった場合は期限後申告の年分を修正申告、青色申告特別控除65万円は10万円に直す?、手続きの全体像は修正申告と更正の請求もご覧ください。
まとめ
- 所得が増える訂正は修正申告で行う
- 当初が期限内で65万円控除の要件を満たしていれば、増えた所得の範囲で65万円まで控除を増やせる
- 決算書もあわせて直し、早めに修正申告と納付を済ませる
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
