ご相談の内容
国内で下宿しているお子さんがいる会社員の方からのご相談です。扶養控除等申告書の「生計を一にする事実」欄は海外に住む人向けの欄だと思い、毎年空欄で出していたが、国内の下宿でも書く必要があるのか。また、前年の年末調整では、同居している扶養親族の所得を誤ってこの欄に書いてしまったが、会社から何も言われていない。問題はないのか、を知りたいという内容でした。
- 国内で下宿しているお子さんなら、「生計を一にする事実」欄は空欄で差し支えない
- この欄は国外に住む親族(非居住者である親族)を扶養に入れる場合に、送金額などを書くための欄
- 所得を誤ってこの欄に書いても、所得が扶養控除の要件内なら年末調整の結果に問題はない
回答
「生計を一にする事実」欄は国外の親族向け
扶養控除等申告書の「生計を一にする事実」欄は、国外に住んでいる親族を扶養に入れる場合に、送金額などを書くための欄です。国内で下宿しているお子さんについては空欄で差し支えなく、これまでの書き方に問題はありません。
国内の親族は「実態」で判断する
国内に住む親族の場合、生計を一にする(同じ財布で生活している)かどうかは、申告書の記載ではなく実態で判断します。所得税基本通達2-47では、次のような場合は、別居していても生計を一にするものとして扱われます。
- 修学などの都合で別居していても、休暇には帰省して一緒に暮らすことを常としている
- 生活費・学資金を常に送金している
下宿中のお子さんに仕送りをしているのであれば、扶養控除の対象になり得ます(国税庁タックスアンサーNo.1180)。なお、別居している親族は、住所欄にその親族の住所を書く扱いとなっているため、様式の記載要領もあわせて確認しましょう。
所得を別の欄に書いてしまった場合
同居の扶養親族の所得は、本来は「所得の見積額」欄に書くものです。ただ、記入欄の誤り自体が問題になることはありません。大切なのは、その親族の所得が扶養控除の要件を満たしていたかどうかです。
| 親族の所得 | 年末調整の結果 |
|---|---|
| 要件内(令和8年分なら合計所得金額62万円以下) | 控除は正しく適用されており、問題なし |
| 要件を超えていた | 控除が過大で、税額が不足している |
要件を超えていた場合は、会社に年末調整のやり直しを依頼するか、ご自身で確定申告などにより修正する必要があります。所得の要件は年分ごとに改正されることがあるため、その年分の要件で確認しましょう。
注意したいポイント
- 令和7年分から扶養親族の所得要件が引き上げられ、19歳以上23歳未満の親族を対象とする特定親族特別控除も新設されています。下宿中のお子さんがこの年齢でアルバイト収入がある場合は、今年分の記載にあたって所得の見積額を改めて確認しましょう。
- 扶養控除等申告書は会社が保管する書類で、通常は税務署に提出されません。そのため、会社から指摘がなかったとしても、内容に誤りがないことまで確認されたとは限りません。気になる点があれば、会社の担当者に申し出て訂正してもらうと安心です。
年末調整の申告書の書き方については、育休中の年末調整、自分名義の生命保険料控除は夫婦どちらで申告する?もご覧ください。
まとめ
- 「生計を一にする事実」欄は国外の親族向け。国内で下宿しているお子さんなら空欄でよい
- 国内の親族が生計を一にするかは実態(帰省・仕送り)で判断する
- 記入欄の誤りより、親族の所得が要件内かが大切。超えていれば年末調整のやり直しか確定申告で修正する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
