相続・贈与

夫の給与を妻の口座で貯めてきた。住宅の頭金を夫の口座に戻して払うと贈与税?

ご相談の内容

長年専業主婦で、夫の給与やボーナスを自分名義の口座で貯めてきた方からのご相談です。家を買うことになり、住宅ローンは夫が組みます。手付金を銀行の窓口で振り込もうとした際に、銀行の担当者から「ご主人の名義で支払うと贈与税にならないか」と聞かれ、不安になりました。手付金と頭金を自分の口座から夫の口座に移して支払うこと、そしてこれまで夫の給与を自分の口座で貯めてきたことに、贈与税がかかるのかを知りたいという内容でした。

結論
  • 管理しやすいという理由で妻の口座に入れていただけなら、その預金は実質的に夫の財産(名義預金)
  • 妻の口座に入れた時点でも、夫の口座に戻して住宅代金に充てるときも、贈与税は原則かからない
  • ただし、住宅を共有名義にして妻の持分を設定する場合は、贈与と判断される可能性がある

回答

贈与は「あげる・もらう」の意思で成立する

贈与は、「あげます」「もらいます」という双方の意思が合って成立する契約です(民法549条)。管理しやすいという理由で妻の口座に入れていただけで、あげる・もらうの意思がなく、妻が自由に使えるお金として扱ってこなかったのであれば、その預金は名義が妻でも、実質は夫の財産と考えられます。

このような預金を「名義預金」(名義と実際の持ち主が異なる預金)といいます。

口座に入れた時点でも、戻すときも贈与にならない

そのため、妻の口座に預けた時点で贈与にはあたりません。また、今回夫の口座へ戻して住宅の代金に充てることも、夫が自分のお金で自分の家を買うことになるため、贈与税の問題は生じません(国税庁タックスアンサーNo.4402「贈与税がかかる場合」参照)。

場面贈与税
夫の給与を妻名義の口座で貯める(名義預金)かからない
妻の口座から夫の口座に戻し、夫名義の住宅代金に充てるかからない
住宅を共有にし、自己資金のない妻の持分を設定する持分相当額が贈与と判断される可能性
預金の一部で妻名義の保険や有価証券を買っていたその部分が贈与と判断される可能性

注意したいポイント

  • 住宅を共有名義にする場合:妻に自己資金がないのに妻の持分を設定すると、その持分に相当する金額が夫からの贈与と判断される可能性があります。夫の単独名義であれば問題ありません。共有を予定している場合は、持分の決め方を事前に確認しましょう。
  • 預金の一部を妻自身の財産に使っていた場合:妻名義の保険や有価証券などの購入に使っていた部分は、贈与と判断される可能性があります。
  • 将来の相続:名義預金は夫の財産ですので、将来夫に相続が発生した際には、夫の相続財産に含めて申告する必要があります。
  • 記録の保管:お金の流れを説明できるよう、通帳や売買契約書などは保管しておきましょう。

銀行の担当者の指摘は、名義をまたいでお金を動かす際の一般的な注意喚起と思われます。経緯を伺う限り、過度に心配する必要はないと考えます。

夫婦間の預金と住宅ローンの関係は、夫の給与を妻名義の口座に貯めて、連帯債務のローンを繰り上げ返済したら贈与税?、共有名義の持分の決め方は妻の資金で頭金を払ったマンション、共有名義の持分割合はどう決める?でも解説しています。

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まとめ

  • 管理のために妻の口座で貯めていた夫の給与は名義預金で、実質は夫の財産
  • 夫の口座に戻して夫名義の住宅代金に充てても、贈与税は原則かからない
  • 共有名義にする場合は持分に注意し、名義預金は将来の夫の相続財産に含まれることも押さえておく

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

夫の給与を妻名義の口座で貯めていたら、その時点で贈与になりますか?
あげる・もらうの意思がなく、妻が自由に使えるお金として扱ってこなかったのであれば、贈与にはあたりません。贈与は双方の意思が合って成立する契約です(民法549条)。このような預金は名義が妻でも実質は夫の財産で、「名義預金」と呼ばれます。
住宅を夫婦の共有名義にする場合は、何に注意すればよいですか?
妻に自己資金がないのに妻の持分を設定すると、その持分に相当する金額が夫からの贈与と判断される可能性があります。夫の単独名義であれば問題ありません。共有にする予定であれば、資金の出し方に合わせて持分を決めるよう、事前に確認しましょう。

※本記事は2026年10月26日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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