ご相談の内容
数年前に住宅を購入した際、親から住宅取得資金の贈与を受け、非課税特例を使うための贈与税の申告は配偶者が済ませてくれたと聞いていた、というご相談です。ところが自分では申告書を確認しておらず、e-Taxで調べても見当たらない。確実に確認する方法はあるか、税務署に問い合わせたことがきっかけで調査や課税につながらないか、リスクを抑えて確認するにはどうすればよいかを知りたいという内容でした。
- 税務署の申告書等閲覧サービスか開示請求で、自分名義の申告書があるかを確実に確認できる。申し出ただけで調査につながるわけではない
- 未申告なら非課税特例は使えず暦年課税で計算する。ただし調査の通知前に自主申告すれば無申告加算税は5%に軽減
- まず家族への確認と書類探し、それで分からなければ閲覧サービス、の順で進めるのが現実的
回答
確認の方法
まずは、申告をしてくれた家族の手元に次のものが残っていないかを確認しましょう。
- 申告書の控え(税務署の収受日付印があるもの)
- e-Taxで提出した場合の受信通知
- 申告書に添付した登記事項証明書や売買契約書の写し
それでも分からない場合は、次のどちらかで確かめられます。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 申告書等閲覧サービス | 納税地の税務署に本人確認書類を持参し、自分の申告書を閲覧する手続き |
| 開示請求 | 個人情報保護法に基づき、自分に関する情報の開示を求める手続き |
問い合わせで調査につながるか
閲覧や開示の請求は、納税者の正当な手続きとして日常的に行われています。申し出たこと自体が直ちに税務調査につながるわけではありません。
一方で、税務署は登記情報などから住宅の取得を把握しているため、未申告であれば、問い合わせの有無にかかわらず「お尋ね」の文書などが届く可能性はあります。贈与税の決定ができる期間は原則6年(相続税法第36条)で、数年前の贈与であればまだその期間内です。
注意したいポイント
未申告だった場合は、次の点に注意が必要です。
- 非課税特例は使えない:住宅取得等資金の非課税特例(租税特別措置法第70条の2、タックスアンサーNo.4508)は期限内の申告が要件のため、期限後の申告では適用できません。暦年課税(基礎控除110万円)で計算することになります。
- 自主申告なら加算税が軽い:調査の通知を受ける前に自分から期限後申告をすれば、無申告加算税(申告しなかったことへの罰則的な税)は5%に軽減されます(国税通則法第66条)。別途、延滞税(利息にあたる税)がかかります。
- 先延ばしにしない:リスクを完全になくすことはできませんが、確認を先延ばしにするより、早めに事実を把握するほうが結果的に負担を抑えられます。
加算税や延滞税の仕組みは、過少申告加算税・重加算税・延滞税とはで詳しく解説しています。住宅購入時の親からの資金援助については、住宅購入で親から頭金に上乗せの「お祝い」、贈与税はかかる?もご覧ください。
M&A仲介役員・FAS出身の公認会計士の経験をもとに、株主構成の整理、株価算定、親族内承継、外部への売却とデューデリジェンスまで支援します。初回のご相談は無料です。
事業承継・M&A支援を見るまとめ
- 申告の有無は、家族への確認と書類探しのあと、申告書等閲覧サービスか開示請求で確かめる
- 申し出ただけで調査につながるわけではないが、未申告なら税務署から「お尋ね」が届く可能性はある
- 未申告なら非課税特例は使えないが、調査通知前の自主申告で無申告加算税は5%に軽減される
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
