ご相談の内容
父から110万円を振り込んでもらい、贈与契約書も取り交わしていた方からのご相談です。同じ年に、金地金(インゴット)を買うための資金80万円も父に出してもらい、自分の名義で購入しました。110万円の贈与のことを忘れていて、基礎控除を超えた分の贈与税を申告・納付していなかったことに気づいたとのこと。金地金の分は契約書がないため確認書を作りたいが書き方が分からない、将来父が亡くなったときにどうなるのか、を知りたいという内容でした。
- 同じ年の贈与は合計で判定する。110万円+80万円=190万円で、基礎控除を超える80万円に贈与税がかかる
- 今からでも期限後申告と納付をする。自主的に早く申告するほど負担は小さくなる
- 確認書は作成した実際の日付で作る。申告すること自体も贈与の有力な裏付けになる
回答
贈与税は1年間の合計で計算する
贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額から、基礎控除110万円を差し引いて計算します(相続税法第21条の5、租税特別措置法第70条の2の4)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 110万円の贈与 | 110万円 |
| 金地金の購入資金 | 80万円 |
| 合計 | 190万円 |
| 基礎控除 | △110万円 |
| 課税価格 | 80万円 |
| 贈与税(10%) | 8万円 |
税率は、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上なら特例税率、そうでなければ一般税率が適用されますが、200万円以下の部分はどちらも10%です(国税庁タックスアンサーNo.4408)。
期限後申告でかかるもの
期限後申告(期限を過ぎてから行う申告、相続税法第30条)では、本税のほかに次のものがかかります。
- 無申告加算税(国税通則法第66条):税務署の調査の通知を受ける前に自主的に申告すれば、割合が軽減されます。税額が少額であれば、課されない可能性もあります
- 延滞税(国税通則法第60条):納付が遅れた日数に応じて増えるため、早めの申告・納付が有利です
金地金の購入資金の確認書
贈与は口頭でも成立します(民法第549条)。確認書には、次の事項を記載するとよいでしょう。
- 贈与日
- 贈与者と受贈者
- 贈与したのは「金地金の購入資金80万円」であること
- 受贈者名義で購入したこと
- 双方の署名・押印
日付は作成した実際の日付とし、贈与日にさかのぼって作成したように見せることは避けてください。贈与税の申告書に記載して申告すること自体も、贈与があったことの有力な裏付けになります。
注意したいポイント
- 将来、父の相続で財産を取得する場合、相続開始前の一定期間内の贈与は相続財産に加算されます(相続税法第19条)。加算の対象期間は、2023年までの贈与は3年以内、2024年以降の贈与は段階的に7年以内へ延長されます。加算された場合でも、納付済みの贈与税は相続税から控除されます。
- 申告をしないままだと、金地金が実質的に父の財産(名義財産)とみなされ、相続財産に含められるおそれがあります。申告で贈与の事実を明確にしておくことが大切です。
- 毎年の贈与は、契約書の有無にかかわらず同じ年の合計額で判定します。別の目的で出してもらったお金も合算を忘れないようにしましょう。
生前贈与と相続の加算ルールは生前贈与と相続の新ルール、名義財産の考え方は子ども名義で貯めた預金を成人した子に渡したら、贈与税はかかる?でも解説しています。
M&A仲介役員・FAS出身の公認会計士の経験をもとに、株主構成の整理、株価算定、親族内承継、外部への売却とデューデリジェンスまで支援します。初回のご相談は無料です。
事業承継・M&A支援を見るまとめ
- 同じ年の贈与は合計額から基礎控除110万円を引いて計算する
- 申告を忘れていたら、自主的に早めに期限後申告・納付する
- 申告で贈与の事実を明確にしておくと、将来の相続で名義財産とみなされるリスクを減らせる
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
