ご相談の内容
個人事業主で青色申告をしており、プライベート用の口座と事業用の口座を分けています。ときどき2つの口座の間でお金を移すのですが、それぞれの口座で仕訳を登録すると、預金残高が合わなくなってしまいます。片方の口座で仕訳をしたら、もう片方の登録は不要なのでしょうか。
- 1回の資金移動につき、仕訳は1本だけで足りる
- 両方の口座で逆向きに登録すると、2本の仕訳が打ち消し合い、残高が動かなくなる
- 個人口座がプライベート専用なら、事業主借・事業主貸で処理するのが一般的
回答
1. 残高が合わない原因
仕訳は、借方(左側)と貸方(右側)の両方を1本で同時に記録する仕組みです。「普通預金(事業用口座)/普通預金(個人口座)」と1本入力すれば、両方の口座の残高に一度に反映されます。
同じ移動をそれぞれの口座から逆向きに登録すると、2本の仕訳が打ち消し合い、残高が動かないことになります。これが、残高が合わなくなる原因と考えられます。
2. 個人口座の扱いで科目が変わる
個人口座をどう扱うかによって、使う勘定科目(仕訳で使う項目名)が変わります。
| 個人口座の状況 | 個人口座→事業用口座 | 事業用口座→個人口座 |
|---|---|---|
| プライベート専用で、事業の入出金がない | 普通預金(事業用)/事業主借 | 事業主貸/普通預金(事業用) |
| 売上の入金や経費の支払いもあり、帳簿で残高を管理している | 普通預金(事業用)/普通預金(個人) | 普通預金(個人)/普通預金(事業用) |
事業主借は「事業主個人から事業へ入れたお金」、事業主貸は「事業から事業主個人へ出したお金」を表す科目です。プライベート専用の口座であれば、帳簿の口座として管理する必要がなく、個人口座の残高を帳簿で合わせる手間もなくなります。
3. 明細を取り込んでいる場合
口座明細を取り込んで仕訳を作成していると、両方の口座の明細に同じ移動が表示されます。どちらか一方の明細からだけ登録し、もう一方は取り込み対象から外してください。
すでに二重に登録した分は、片方を削除または修正すれば、通帳の残高と一致するはずです。残高が合わなくなったときは、まず資金移動の日付で仕訳が2本ないかを確認するとよいでしょう。
注意したいポイント
- 年末の照合:年末に通帳残高と帳簿残高を照合しておくことをおすすめします
- 青色申告の記帳:青色申告では正規の簿記の原則(複式簿記)による記帳が求められています(所得税法施行規則第57条、国税庁タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」)
- 参考資料:事業主貸・事業主借の使い方は、国税庁の「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」も参考になります
帳簿の大切さについては税務調査の連絡が来たけれど、帳簿も領収書もない。どうすればいい?もご覧ください。
まとめ
- 資金移動の仕訳は1回につき1本で、両方の口座から登録しない
- プライベート専用の口座なら事業主借・事業主貸、帳簿で管理する口座なら普通預金同士の振替で処理する
- 明細の取り込みは片方だけにし、年末に通帳残高と帳簿残高を照合する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
