ご相談の内容
個人事業主として青色申告をしています。過去の確定申告について帳簿の誤りが見つかり、修正申告を出す予定です。あわせて調べると、国民年金と国民健康保険の保険料を払っていたのに、当時の申告で社会保険料控除を入れていなかったことも分かりました。控除を加えても納める税額は増える見込みですが、修正申告の中で一緒に直せるのか、当時の証明書が手元にない場合に何を用意すればよいのか、というご相談です。
- 修正申告の中で、入れ忘れた社会保険料控除も一緒に追加できる(差し引きで税額が増えるなら一通の修正申告でよい)
- 国民年金は控除証明書の添付または提示が必要。過去分は再交付を依頼でき、領収書でも代用できる
- 税務署の調査通知の前に自主的に修正すれば、過少申告加算税は原則かからない。ただし延滞税はかかる
回答
修正申告には、税額が減る項目も含められる
修正申告は、正しい所得と控除をもとに計算した税額が、当初の申告額を上回る場合に提出するものです(国税通則法第19条)。正しい税額を出すための手続きなので、税額が増える項目だけを直すのではなく、社会保険料控除のように税額が減る項目も含めて計算します。
帳簿の誤りを直すと税額が増え、控除を入れると税額が減る、という場合でも、差し引きで納める税額が増えるのであれば、控除を含めた一通の修正申告で問題ありません。
「事業主貸」の記帳はそのままでよい
国民年金や国民健康保険の保険料を事業主貸(事業の経費ではなく、事業主個人の支出を表す科目)として記帳していたのであれば、それは正しい処理です。帳簿を訂正する必要はなく、申告書の社会保険料控除の欄に記入すれば足ります(所得税法第74条、国税庁タックスアンサーNo.1130)。
控除できる金額は、その年中に実際に支払った金額です。生計を一にする家族の保険料を負担していた場合は、その分も含められます。
用意する書類
| 保険料 | 申告での扱い | 用意するもの |
|---|---|---|
| 国民年金保険料 | 控除証明書の添付または提示が必要(所得税法施行令第262条) | 控除証明書。過去の年分は日本年金機構(年金事務所やねんきんダイヤル)に再交付を依頼できる。領収書でも代用できる |
| 国民健康保険料(税) | 証明書の添付は不要 | 金額の根拠として、市区町村の納付証明書や納付済額のお知らせ、口座振替の記録などを保管 |
e-Taxで提出する場合は、証明書の内容を入力することで添付を省略できる取扱いがあります。
注意したいポイント
- 過少申告加算税は原則かからない:税務署から調査の通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税(申告額が少なかったことに対するペナルティ的な税)は原則としてかかりません(国税通則法第65条)。
- 延滞税はかかる:延滞税(納付が遅れたことに対する利息相当の税)は、納付する税額に応じてかかります。早めに提出し、納付まで済ませることをおすすめします。
- 住民税や国民健康保険料も変わる:修正申告の内容は市区町村に連絡され、住民税や国民健康保険料も再計算されます。所得税の分だけでなく、後から届く通知も見込んでおきましょう。
- 年分ごとに税額を確認する:複数の年分を直す場合は、年分ごとに控除を入れた後の税額を計算します。
- 過去の証明は早めに確認する:国民健康保険の証明をどこまでさかのぼって発行してもらえるかは、市区町村によって異なる場合があります。
修正申告の期限や、税額が減る場合の更正の請求との違いは修正申告と更正の請求、家族の国民健康保険料の扱いは年末調整で子どもの国民健康保険料を控除できるかもあわせてご覧ください。
まとめ
- 修正申告は正しい税額を計算する手続きなので、入れ忘れた社会保険料控除も一緒に反映できる
- 国民年金は控除証明書が必要で、過去分は再交付を依頼できる。国民健康保険料は添付不要だが、金額の根拠を保管する
- 調査通知の前の自主的な修正なら過少申告加算税は原則かからないが、延滞税はかかるため、早めに提出と納付を済ませる
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
