ご相談の内容
自分が契約者になっている賃貸住宅について、貸主側から退去を求められ、弁護士に依頼して立退料を受け取りました。実際に住んでいたのは親族です。弁護士費用や引越費用、新居の費用などがかかりましたが、立退料は一時所得でよいのでしょうか。また、年末調整にはどのように書けばよいでしょうか。
- 借家人が受け取る立退料は、原則として一時所得
- 弁護士費用や引越費用は差し引けるが、家具の購入費は差し引けない
- 一時所得は年末調整で精算されないため、別途確定申告が必要
回答
1. 所得の区分
借家人が受け取る立退料は、所得税基本通達34-1(7)により一時所得とされています(国税庁タックスアンサーNo.1490)。借家権が消える対価に当たる部分は譲渡所得(同通達33-6)とされますが、居住用のアパートでは通常、一時所得として扱われます。
賃貸借契約の契約者が自分であれば、実際に住んでいたのが親族でも、立退料は契約者の所得となります。
2. 差し引ける費用
一時所得から差し引ける支出は、その収入を得るため、または収入が生じた原因に伴って「直接要した金額」に限られます(所得税法34条2項)。
| 費用 | 扱い |
|---|---|
| 弁護士費用 | 立退料を得るための交渉費用として差し引けると考えられる |
| 大型家具の引取り・引越費用 | 退去に直接伴う費用として差し引く扱いが一般的 |
| 新居の契約費用 | 「直接要した」とまでは言いにくいとする見方もある。敷金・保証金のように退去時に返還されるものは差し引けない |
| 家具の購入費用 | 新たな資産の取得で、生活費(家事費)に当たるため差し引けない |
3. 計算の例
立退料400万円、弁護士費用100万円、引越費用20万円、新居の契約費用20万円の場合です。50万円は一時所得の特別控除です。
4. 年末調整と確定申告
年末調整では、基礎控除申告書の「給与所得以外の所得の合計額」欄に、2分の1をした後の見積額を記入します。ただし、これで一時所得の税金が精算されるわけではありません。給与以外の所得が20万円を超えるため、確定申告が必要です(所得税法121条)。
注意したいポイント
- 基礎控除への影響:合計所得金額によって基礎控除額が変わる仕組みがあり、年分によって扱いが異なります
- 親族への仕送り:受け取ったお金を、通常必要な生活費として扶養義務者から仕送りするものであれば、贈与税はかかりません(相続税法21条の3第1項2号)
- 新居の費用:差し引くかどうかで税額が変わるため、敷金・保証金の部分は分けて確認します
立退料の区分をさらに詳しく知りたい方は立退料を受け取った側の課税|借家人と貸主の所得区分もご覧ください。
まとめ
- 借家人の立退料は原則として一時所得で、契約者本人の所得になる
- 弁護士費用・引越費用は差し引けるが、家具の購入費は差し引けず、新居の費用は判断が分かれる
- 年末調整では2分の1後の見積額を書き、別途確定申告をする
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
