ご相談の内容
自分の名義の家をリフォームするにあたり、配偶者からまとまった資金を借りて、利息を付けて数年かけて返す予定です、というご相談です。たとえば約1,500万円を借り、利息は年数万円、毎年約190万円を8年で返済するといった計画の場合、借用書や金銭消費貸借契約書は必ず必要なのか、どちらの書面でもよいのかを知りたいという内容でした。
- 法律上は書面がなくても貸し借りは成立するが、税務上は贈与と見られないよう書面の作成を強くおすすめ
- 借用書と金銭消費貸借契約書はどちらでも問題ない。名称で税務上の扱いは変わらない
- 書面があっても返済の実態がなければ贈与と判断される可能性がある
回答
法律上と税務上で考え方が違う
民法第587条では、金銭の消費貸借(お金を借りて同額を返す契約)は口頭の約束でも成立するとされています。
一方、夫婦や親子の間のお金の移動は、借入れであることを客観的に示せないと、贈与(あげたもの)とみなされ贈与税の対象となるおそれがあります。国税庁タックスアンサーNo.4420「親から金銭を借りた場合」でも、実際に貸し借りとして返済されることを前提に、返済期間・返済方法等を明らかにしておくことが求められています。この考え方は夫婦間でも同様です。
書面の違い
書面の名称で税務上の扱いが変わることはありません。
| 書面 | 形式 |
|---|---|
| 借用書 | 借りる側が署名し、貸す側に差し入れる |
| 金銭消費貸借契約書 | 双方が署名する |
書面に記載する内容
どちらの書面でも、次の内容を記載しておくことが大切です。冒頭の例で示します。
- 貸付日と金額(例:1,500万円)
- 利息(例:年数万円)
- 返済方法(例:年約190万円×8年)
- 返済期日
- 双方の署名
実態のほうが重要
書面を作っただけでは十分ではありません。次の点に注意しましょう。
- 返済は銀行振込とし、記録を残す
- 借りる側の収入から無理なく返済できる計画にする
- 計画どおりに返済を続ける
書面があっても返済の実態がなければ、贈与と判断される可能性があります。また、返済を途中で免除した場合は、免除した額が贈与とみなされます(相続税法第8条)。
注意したいポイント
- 収入印紙が必要:どちらの書面も印紙税の課税文書(第1号文書)に当たります。契約金額が1,500万円の場合は、2万円の収入印紙が必要と考えられます。
- 利息は貸す側の雑所得:貸す側が受け取る利息は雑所得に当たります。貸す側が給与所得者で、給与以外の所得が年20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要となる場合があります。
- 住民税の申告は別:所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は必要となる点に注意しましょう。
親族間の借入れについては親から無利息で住宅資金を借りるQ&A、親族との資金のやり取りの説明の仕方は通帳の動きと税務調査でも解説しています。
M&A仲介役員・FAS出身の公認会計士の経験をもとに、株主構成の整理、株価算定、親族内承継、外部への売却とデューデリジェンスまで支援します。初回のご相談は無料です。
事業承継・M&A支援を見るまとめ
- 夫婦間の貸し借りは口約束でも成立するが、税務上は書面で借入れであることを示しておく
- 借用書でも金銭消費貸借契約書でもよい。金額、利息、返済方法、期日を明記し、印紙も確認する
- 銀行振込で計画どおり返済を続けることが重要。途中で免除すると贈与とみなされる
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
