ご相談の内容
給与のほかに投資の利益があり、一般口座の利益は確定申告する予定の方からのご相談です。さらに源泉徴収ありの特定口座の利益を加えると、合計所得が大きく増えます。申告すればふるさと納税の上限は上がりますが、配偶者控除を受けられなくなるおそれがあります。保育料や手当なども含めて、あえて申告すべきかをどう判断すればよいのか、どこに相談すればよいのかを知りたいという内容です。
- 源泉徴収ありの特定口座の利益は申告不要を選べる
- 配偶者控除や保育料などへの影響を考えると、申告しない方が有利になるケースが多い
- ふるさと納税の上限が上がっても、自己負担2,000円は変わらず、増えるのは受け取れる返礼品の分だけ
回答
申告しない方が有利になりやすい理由
源泉徴収ありの特定口座の利益は「申告不要」を選べます(租税特別措置法第37条の11の5)。今回のご相談で申告するメリットとして挙がっているのはふるさと納税の上限ですが、上限が上がっても自己負担2,000円は変わらず、増えるのは受け取れる返礼品の分だけです。これに対し、申告すると次のように幅広く影響します。
| 項目 | 申告しない場合 | 申告した場合 |
|---|---|---|
| 配偶者控除 | 特定口座の利益は判定に入らない | 合計所得金額に入り、控除が減る、なくなることがある |
| 住民税の所得 | 含まれない | 含まれる |
| 保育料・就学支援・医療費助成など | 判定の所得に含まれない | 判定に影響しうる |
| ふるさと納税の上限 | 利益は計算に入らない | 上がることがある |
| 会社の健康保険料 | 影響しない | 影響しない |
配偶者控除は「所得」で判定する
配偶者控除の判定は、給与の「収入」ではなく、給与所得控除を差し引いた後の「給与所得」などを合計した合計所得金額で行います(所得税法第83条、タックスアンサーNo.1191)。控除額は合計所得金額が900万円を超えると段階的に減り、1,000万円を超えるとゼロになります。まず、この基準で実際に超えるかを確認してください。
住民税と保育料などへの影響
2024年度分以後の住民税は所得税と同じ課税方式に統一されており、所得税で申告すると住民税の所得にも含まれます。
0〜2歳児の保育料は、住民税所得割額(所得に応じてかかる部分の住民税)で決まることが多く、高等学校等就学支援金や医療費助成などの所得判定にも影響しえます。一方、会社の健康保険料は標準報酬月額(給与をもとにした等級)で決まるため、影響しません。
トータルの判断のしかたと相談先
- 申告する場合としない場合のそれぞれで、住民税所得割額を試算する
- ご家庭で利用中または利用予定の制度ごとに、基準額を確認する
相談先は、税額については税務署や税理士、保育料や手当についてはお住まいの市区町村の保育課・子育て支援担当課が適しています。
注意したいポイント
- ふるさと納税の試算サイトの結果:給与収入のみを前提とし、分離課税の所得を反映しないサイトがあります。そのため、結果に差が出ることがあります。特例分の控除は住民税所得割額の2割が上限で(地方税法第37条の2)、分離課税の所得がある場合は計算方法が異なります。
- 市の無料税理士相談:確認を依頼すること自体は問題ありません。ただし、申告書作成の支援が中心で相談時間も限られることが多いため、試算の検証まで対応できるかは事前に市へ確認すると安心です。
- 控除額の基準は「収入」ではない:給与収入と利益を足した金額で判断せず、合計所得金額で確認します。
ふるさと納税の上限との関係は株の売却益を源泉徴収ありの特定口座で受けた年、ふるさと納税の上限はどうなる?でも解説しています。
まとめ
- 源泉徴収ありの特定口座の利益は申告不要を選べ、申告しない方が有利になるケースが多い
- 申告すると配偶者控除、住民税、保育料、就学支援金、医療費助成などに影響しうる。会社の健康保険料には影響しない
- 判断は、申告する場合としない場合の住民税所得割額を試算し、制度ごとの基準額を確認して行う
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
