法人税・会社の経理

工事の請求書が届かず翌月に計上、税務調査で指摘される?決算前なら大丈夫?

ご相談の内容

法人の経理担当です。建物の外壁工事が月末に完了しましたが、発注先から請求書が届かず、その月の計上に間に合わないかもしれません。間に合わなければ翌月に計上しようと考えています。決算月はまだ先ですが、税務調査で指摘される可能性は高いでしょうか。

結論
  • 決算月より前の同じ事業年度内で計上月が1か月ずれる程度なら、調査で指摘される可能性は低いと考えられる
  • 調査で主に問題になるのは、費用や資産の計上が翌期にずれる「期ズレ」
  • 決算までに請求書が届かなければ、見積額で未払金を計上する

回答

1. 同じ事業年度内なら影響は小さい

法人税は事業年度単位で所得を計算します。同じ事業年度の中で計上月が前後しても、当期の所得が大きく変わることはありません。

2. 固定資産に計上する場合

資本的支出(建物の価値を高める支出)として固定資産に計上する場合、減価償却は事業に使い始めた日(事業供用日)から行います(法人税法施行令第55条、第59条等)。工事完了の月から使っていれば、本来の償却月数はその月からとなります。

1か月遅らせて計算しても償却費がわずかに少なくなるだけで、所得を少なく見せる方向には働きません。ただし、固定資産台帳には本来の事業供用日を記録しておくことをおすすめします。

3. 修繕費として処理できる場合

工事の内容処理
塗り替えなどの原状回復修繕費として一括で費用にできる場合がある(法人税基本通達7-8-2)
資本的支出か修繕費かはっきりしない支出のうち60万円未満修繕費とすることが認められている(同通達7-8-4)

修繕費として処理する場合は、計上月の問題はさらに小さくなります。

注意したいポイント

  • 決算をまたぐとき:期末までに請求書が届かない場合でも、工事が完了して支払義務が確定していれば、見積額で未払金を計上し、当期の費用または資産として処理する必要があります(同通達2-2-12参照)。請求額が見積額と違っていた場合は、確定した時点で差額を調整します
  • 消費税:仕入税額控除(支払った消費税を差し引く仕組み)は、原則として工事完了日の属する課税期間で行います。控除には適格請求書(インボイス)の保存が必要ですので、申告までに必ず入手してください
  • 課税期間の短縮を選んでいる場合:1か月ごとの申告などを選んでいるときは、工事完了月の課税期間で処理する必要があります

修繕費の判断は修繕費と資本的支出の違いと判定フロー、外壁工事の例は外壁塗装・屋上防水は修繕費か資本的支出か、使い始めの判定は「事業の用に供した日」と減価償却の開始もご覧ください。

まとめ

  • 同じ事業年度内の計上月のずれは所得への影響が小さく、調査で指摘される可能性は低い
  • 決算までに請求書が届かなければ見積額で未払金を計上し、翌期へのずれを防ぐ
  • 固定資産台帳には本来の事業供用日を記録し、インボイスは申告までに必ず入手する

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

決算までに請求書が届かない場合はどうしますか?
工事が完了して支払義務が確定していれば、見積額で未払金を計上し、当期の費用または資産として処理する必要があります(法人税基本通達2-2-12参照)。請求額が見積額と違っていた場合は、確定した時点で差額を調整します。
消費税の仕入税額控除はいつ行いますか?
原則として工事完了日の属する課税期間で行います。控除には適格請求書(インボイス)の保存が必要ですので、申告までに必ず入手してください。

※本記事は2026年10月31日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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