法人税・会社の経理

下請けの過失で払った損害賠償金を下請けに請求したら、消費税は課税?仕訳は?

ご相談の内容

元請けとして請け負った業務の最中に、下請けの過失で商品を壊してしまい、被害者から自社に損害賠償金を請求された、というご相談です。自社は同じ額を下請けに請求する予定で、その受け取りを「雑損失のマイナス」「雑収入(不課税)」「雑収入(課税)」のどれで処理すべきか、課税なら税率はどうなるのか、過失の割合が不明で半額だけ請求する場合は変わるのかを知りたいという内容でした。

結論
  • 下請けから受け取る損害賠償金は、法人税では益金、消費税では不課税
  • 「雑損失のマイナス」「雑収入(不課税)」のどちらで処理しても差し支えない。課税売上には通常当たらないため、税率の問題も生じない
  • 半額請求(折半負担)でも扱いは同じ。ただし外注費の値引きとして精算すると、消費税の扱いが変わり得る

回答

消費税:損害賠償金は原則として不課税

消費税は、資産の譲渡や役務の提供の対価(見返り)に対してかかります。損害賠償金は損害の埋め合わせであり、対価ではないため、原則として不課税です(消費税法基本通達5-2-5)。

同じ通達は、損害を受けた資産を加害者に引き渡す場合など、実質的に対価といえるものを課税としています。今回は商品が処分済みで、下請けに何も引き渡していないため、これには当たりません。請求額が全額でも半額でも、損害の埋め合わせという性質は変わりません。

法人税:表示方法で所得は変わらない

法人税では、受け取る賠償金は益金です。支払った賠償金と相殺して表示しても、収入と損失を両方計上(両建て)しても、所得金額は同じになります。

処理方法法人税消費税
雑損失のマイナス(相殺)所得は同じ不課税
雑収入(不課税)で両建て所得は同じ不課税
雑収入(課税)―通常は当たらない

計上する時期

受け取る側は、原則として支払を受けることが確定した事業年度に計上します。ただし、実際に受け取った日の事業年度に計上することも認められています(法人税基本通達2-1-43)。支払と受取が期をまたぐ場合は、両建てにしておくと計上漏れを防ぎやすいと考えます。

注意したいポイント

外注費からの差引きで精算する場合

賠償金としてではなく、外注費からの値引きとして精算する場合は、仕入れに係る対価の返還等(消費税法第32条)に当たる可能性があります。その場合は、外注費と同じ税率で仕入税額控除を減らす扱いになり得ます。精算方法と、合意書や請求書の文言をそろえておくことをおすすめします。

下請け側の処理

下請けから見ると、自らの過失による損害の賠償は事業上の通常の支出です。寄附金(見返りのない贈与)や交際費(取引先への接待・贈答等)に当たることは、通常ありません。

約款の責任限度額を超えて負担する場合も、過失の程度や取引関係の維持といった経済的な合理性を説明できれば、直ちに問題になるとはいえないと考えます。一方、過失がないことが明らかなのに負担する場合などは、寄附金(法人税法第37条)や交際費(租税特別措置法第61条の4)と認定されるおそれがあります。交渉の経緯や合意書を残しておくことが大切です。

賠償金や保険金の受け取りの考え方は、入居者の過失による損傷の修繕と保険金・損害賠償金の処理でも解説しています。下請けとの取引が多い業種の財務については専門工事業の動向と経営のポイントもご覧ください。

まとめ

  • 下請けから受け取る損害賠償金は法人税では益金、消費税では不課税。半額請求でも同じ
  • 相殺でも両建てでも所得は同じ。期をまたぐなら両建てで計上漏れを防ぐ
  • 外注費の値引きとして精算すると扱いが変わり得るため、精算方法と書面の文言をそろえる

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

下請けから受け取る損害賠償金に消費税はかかりますか?
原則としてかかりません。損害賠償金は資産の譲渡や役務の提供の対価ではないため不課税です(消費税法基本通達5-2-5)。損害を受けた資産を加害者に引き渡すなど、実質的に対価といえる場合は課税になりますが、商品を処分済みで何も引き渡していなければ当たりません。
損害賠償金はいつ収益に計上すればよいですか?
原則として支払を受けることが確定した事業年度に計上しますが、実際に受け取った日の事業年度に計上することも認められています(法人税基本通達2-1-43)。支払と受取が期をまたぐ場合は、損失と収入を両建てで計上しておくと計上漏れを防ぎやすくなります。

※本記事は2026年10月27日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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