ご相談の内容
イラスト制作の仕事をしている個人事業主です。仕事と私用の両方に使うパソコンを買う予定で、事業用5割で按分しようと考えています。税務調査があった場合、按分の割合はどのように証明すればよいのでしょうか。仕事に使った時間が分かるよう、毎回履歴を残す必要があるのでしょうか。
- 毎回の使用履歴まで残すことは法令上求められていない
- ただし「なぜ5割か」を合理的に説明できる記録を残しておくのがおすすめ
- 10万円以上のパソコンは原則減価償却し、償却費に事業割合を掛けて経費にする
回答
家事関連費は「区分できる部分」が経費になる
事業と私用の両方に使う支出は「家事関連費」と呼ばれます。家事関連費は、業務に必要な部分を明らかに区分できる場合に限り、その部分を必要経費にできます(所得税法第45条第1項第1号、所得税法施行令第96条、所得税基本通達45-2、国税庁タックスアンサーNo.2210)。
按分割合の計算方法は法令で決まっていません。使用時間や使用頻度など、実態に合った合理的な基準で計算していれば、認められるのが一般的です。
根拠として役立つ資料
- 一定期間(たとえば1〜2週間程度)の作業時間と私用時間を記録したメモ
- 制作ソフトなど業務用ソフトの導入状況や、作業データの保存状況
- 私用に使う別のパソコンやスマートフォンの有無
- 按分割合を決めた理由をまとめたメモ(例:平日の日中は制作、夜間と休日は私用)
「なぜ5割なのか」を説明できる資料があれば安心です。
購入金額による処理の違い
| 取得価額・申告の種類 | 主な処理 |
|---|---|
| 10万円未満 | 購入した年に全額を経費(事業割合分) |
| 10万円以上(原則) | 減価償却(数年に分けて経費にする)。各年の償却費×事業割合が経費 |
| 青色申告で40万円未満 | 少額減価償却資産の特例で一括経費にできる場合あり(2026年3月31日までの取得は30万円未満) |
| 20万円未満 | 一括償却資産として3年間で均等に経費にする方法も選べる(白色申告でも可) |
注意したいポイント
- 割合は見直す:使用状況が大きく変わった場合は、按分割合の見直しも検討しましょう
- 記録は購入時から:調査で聞かれるのは数年後です。割合を決めたときに理由をメモしておくと説明しやすくなります
- 特例の金額基準:少額減価償却資産の特例の上限は取得時期で異なるため、購入日を確認しておきましょう
家事按分の考え方は自宅兼事務所の家事按分、少額の資産の扱いは少額減価償却資産の扱いもご覧ください。
まとめ
- パソコンの家事按分に、毎回の使用履歴は法令上必須ではない
- 一定期間の作業時間メモや割合を決めた理由など、説明できる記録を残しておく
- 10万円以上なら原則減価償却し、償却費に事業割合を掛けて経費にする
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
