ご相談の内容
夫婦がそれぞれ住宅ローンを組むペアローンで中古住宅を購入し、リフォームをしてから入居する予定です。購入費とリフォーム費の負担が夫婦で同額になるように、借入と預金を組み合わせました。この場合、登記の持分を50%ずつにしてよいのか、住宅ローン控除の対象となる借入金に持分による制限があるのか、というご相談です。
- 購入費とリフォーム費の負担割合が1対1なら、持分50%ずつで贈与税の問題は生じない
- 住宅ローン控除の対象となる年末残高は「取得対価の額×持分」が上限。借入がこの範囲なら持分による制限はない
- ただし中古住宅には別に借入限度額があり、借入の全額が控除の対象になるとは限らない
回答
以下では、次の例で考えます(諸費用は除きます)。
- 物件の購入費7,000万円、リフォーム費1,000万円、合計8,000万円
- 夫:住宅ローン3,500万円+預金500万円=4,000万円
- 妻:住宅ローン2,500万円+預金1,500万円=4,000万円
持分割合は負担割合で考える
合計8,000万円に対して、夫と妻の負担はそれぞれ4,000万円です。負担割合は1対1なので、持分を50%ずつとしても贈与税の問題は生じません。持分と負担が一致していれば、相続税法第9条のみなし贈与(お金を直接あげていなくても、実質的に財産を譲ったとみなされる取扱い)には当たらないためです。
リフォーム費用は登記に直接は反映されない
登記は購入時点の物件(この例では7,000万円の部分)について行い、リフォーム費用は登記に直接は反映されません。夫婦がリフォーム代も同じ割合(各500万円)で負担するのであれば、50%ずつで整合します。
一方、たとえば夫がリフォーム代を多く負担するなど偏りがある場合は、持分の調整が必要になることがあります。
住宅ローン控除の上限は2段階で確認する
1段階目:持分による上限
控除の対象となる年末残高は「取得対価の額×持分」が上限です(租税特別措置法施行令第26条)。この例では2人とも8,000万円×50%=4,000万円が上限で、借入(夫3,500万円、妻2,500万円)はこの範囲に収まるため、持分による制限はありません。
2段階目:中古住宅の借入限度額
中古住宅(既存住宅)には、住宅の性能に応じた借入限度額が別にあります。入居年によって異なり、令和8年から12年に入居する場合は次のとおりです(租税特別措置法第41条、国税庁タックスアンサーNo.1211-3)。
| 住宅の区分 | 借入限度額 | 控除期間 |
|---|---|---|
| 認定住宅・ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 13年 |
| その他の住宅 | 2,000万円 | 10年 |
控除率は0.7%です。この例で「その他の住宅」であれば、夫も妻もそれぞれ2,000万円までが計算の対象となり、1年あたりの控除額の上限は1人14万円です。子育て世帯などに当たる場合は、認定住宅等で4,500万円、省エネ基準適合住宅で3,000万円に上乗せされる取扱いがあります(一定の要件があります)。
注意したいポイント
- 預金は本人の資金であること:預金からの支払いは、それぞれ自分の名義で、自分の稼ぎから貯めた預金であることが前提です。
- リフォーム部分の借入にも要件がある:工事費が100万円を超えることなど、増改築等の要件を満たす必要があります。
- 入居の期限:取得日から6か月以内に入居する必要があります。リフォームの工期も見込んでおきましょう。
- そのほかの要件:床面積50㎡以上、合計所得金額2,000万円以下などの要件があります。
- 控除は入居した年から:購入した年ではなく、入居した年から控除が始まります。
持分の決め方は妻の資金で頭金を払ったマンション、共有名義の持分割合はどう決める?、ペアローンと持分のずれは夫婦の共有名義と借入、共有名義の税金全般は共有名義の不動産の税金と注意点もあわせてご覧ください。
代表の相亰と髙橋が、自らの不動産投資と資金調達支援の経験から構築した独自の財務設計の手法「クレフティメソッド」で、決算書・法人化・次の融資まで設計します。初回のご相談は無料です。
不動産投資家向け税務・融資支援を見るまとめ
- 購入費とリフォーム費を合わせた負担割合が持分と一致していれば、贈与税の問題は生じない
- 住宅ローン控除は「取得対価の額×持分」と中古住宅の借入限度額の2段階で上限を確認する
- リフォーム部分の工事要件、6か月以内の入居、床面積や所得の要件も、入居前に確認する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
