ご相談の内容
現在お仕事をされていない方が、引越しに向けた整理のため、親が数十年前に買った古いおもちゃのコレクション(プラモデル・ミニカー・ソフビ人形など)や、自分のDVD・本・グッズをフリマアプリで売っている、というご相談です。古いおもちゃは購入額が分からず、相場を見て値付けしたところ、当時より高く売れているものもあります。1点30万円を超える物はなく、今年の売上は30万円ほど。継続的な出品や購入額より高い取引は所得とされることがあると知り、住民税の申告が必要か不安になったという内容でした。
- 手持ちの物を引越しの整理として売却しているなら、所得税・住民税の申告は不要と考えられる
- 取引件数が多くても、転売目的で仕入れた物でなければ、事業所得や雑所得とされる可能性は低い
- 古いおもちゃが生活用動産に当たらないとしても、取得費5%と特別控除50万円で所得はゼロになる
回答
生活用動産の売却は非課税
家具や衣服など、生活に通常必要な動産(生活用動産)を売って得た所得は非課税です(所得税法第9条第1項第9号、所得税法施行令第25条)。課税対象となる例外は、貴金属・書画・骨とうなどで1個または1組の価額が30万円を超えるものに限られます。DVDや本、グッズなどはこれに当たります。
件数より「転売目的で仕入れたか」
営利目的かどうかは、取引件数よりも「転売するために仕入れたか」で判断されるのが一般的です。もともと持っていた物を処分しているだけであれば、月5〜20件程度の取引でも、事業所得や雑所得(転売などによる所得)とされる可能性は低いと考えます。購入時より高く売れたことだけで課税対象になるわけでもありません。
古いおもちゃが生活用動産に当たらない場合
一方、古いおもちゃのコレクションが「生活に通常必要な動産」に当たるかは、見解が分かれ得るところです。仮に当たらないとしても、5年を超えて保有した資産を売った長期譲渡所得となり、次の扱いが適用されます。
- 取得費(購入額)が不明な場合は、売却額の5%を取得費とできる(所得税基本通達38-16)
- 譲渡所得の特別控除が最高50万円(所得税法第33条第4項)
| 項目 | 金額(例) |
|---|---|
| 売上(すべておもちゃ類とした場合) | 30万円 |
| 取得費(売却額の5%) | 1万5,000円 |
| 差引 | 28万5,000円 |
| 特別控除(最高50万円) | 28万5,000円 |
| 課税される所得 | 0円 |
どちらの考え方でも課税される所得は生じないため、所得税の申告は不要です。住民税も同じ計算になります。
注意したいポイント
- セット(1組)で売る場合は、セット全体の価額で30万円を判定します。
- 残りの出品で、生活用動産に当たらない物の譲渡益が50万円を超えると、申告が必要になり得ます。
- 今後、販売目的で新たに仕入れて売る場合は、雑所得などとして扱われます。
- 他に所得がない方でも、国民健康保険料の算定などのため、市区町村から「所得なし」の住民税申告を求められることがあります。
- 市区町村の窓口では、売却した物の内容と、引越しに伴う処分であることを伝えて確認すると安心です。売却の記録は保存しておきましょう。
フリマアプリで不用品を売ったときの考え方は、フリマアプリで子ども服やおもちゃを売って20万円超、確定申告は必要?や昔集めたトレカを買取に出して30万円、会社員は確定申告が必要?でも解説しています。
まとめ
- 手持ちの物を整理のために売っているだけなら、高く売れても原則として申告は不要
- 判断のポイントは件数ではなく、転売目的で仕入れたかどうか
- 生活用動産に当たらない物でも、取得費5%と特別控除50万円で所得がゼロになることが多い。売却の記録は残しておく
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
