年末調整・給与・社会保険

役員が社有車で通勤、ガソリン代も会社負担。現物給与になる?

ご相談の内容

会社の所在地の関係で、社員はマイカー通勤が基本です。ところが役員の一人は、社有車で長距離を通勤しており、ガソリン代や車検費用も会社の経費で負担しています。この場合、役員に対する現物給与として課税されないのでしょうか。

結論
  • 社有車を通勤のためだけに使っているなら、通常は現物給与として課税されることはないと考えられる
  • 休日の私用など私的利用がある場合は、その部分が役員への経済的利益として給与課税の対象となる可能性がある
  • 運転日報や車両管理規程で、使用状況を説明できるようにしておく

回答

1. 基本の考え方

現物給与とは、給与として課税される、お金以外の経済的利益のことです。

所得税法上、会社が負担した費用のうち、役員・使用人の個人的な支出に充てられるものは、原則として経済的利益として給与に含まれます(所得税法第36条、所得税基本通達36-15)。一方で、通勤のための費用は一定額まで非課税とされています(所得税法第9条第1項第5号、所得税法施行令第20条の2)。

社有車の通勤利用について直接定めた規定は見当たりませんが、実務上は、通勤手当の非課税限度額の範囲内であれば課税しない扱いが一般的です。

2. 非課税限度額の確認

マイカー通勤者の非課税限度額は、片道の距離で区分されています。この限度額は令和7年の改正で引き上げられており、適用時期によって金額が異なります。最新の国税庁タックスアンサー(No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当)で確認してください。

ガソリン代などの会社負担が限度額を大きく超える場合は、その超えた部分の扱いを検討しておくと安心です。

3. 私的利用がある場合

私的利用がある場合、その経済的利益は役員給与となります。毎月おおむね一定の額で継続して供与されるものであれば、定期同額給与として損金(法人税の計算上の経費)に算入できる余地があります(法人税法第34条第1項第1号、法人税法施行令第69条第1項第2号)。

使い方取扱いの目安
通勤のみで、限度額の範囲内課税しない扱いが一般的
通勤のみで、会社負担が限度額を大きく超える超えた部分の扱いを検討
休日の私用など私的利用あり役員への経済的利益として給与課税の可能性

注意したいポイント

税務調査では、社有車の私的利用の有無がよく確認されます。次のような対応をしておくと、説明しやすくなります。

  • 運転日報などで、通勤・業務での使用状況を記録しておく
  • 車両管理規程で、私用での利用を禁止または制限しておく
  • ほかの社員のマイカー通勤手当との均衡に配慮しておく

会社の車両費の考え方は車両費・ガソリン代は経費になる?、役員の経済的利益の例として同族会社で社長や社員の昼食代は経費になる?もご覧ください。

まとめ

  • 通勤のためだけの社有車利用は、通常は現物給与として課税されないと考えられる
  • 私的利用がある場合は役員給与となる可能性があり、定期同額給与として損金に算入できる余地がある
  • 運転日報と車両管理規程を整え、非課税限度額は最新の金額を確認する

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

社有車の私的利用分が役員給与になると、法人税の経費にできませんか?
毎月おおむね一定の額で継続して供与されるものであれば、定期同額給与として損金に算入できる余地があります(法人税法第34条第1項第1号、法人税法施行令第69条第1項第2号)。
税務調査に備えて何をしておけばよいですか?
運転日報などで通勤・業務での使用状況を記録し、車両管理規程で私用での利用を禁止または制限しておくこと、ほかの社員のマイカー通勤手当との均衡に配慮しておくことが役立ちます。

※本記事は2026年10月31日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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