ご相談の内容
会社員の方が、住んでいたマンションを売却して売却益が出たケースです。給与以外の所得はこの売却益だけで、確定申告で3,000万円特別控除を使うと0円になる見込みです。勤務先の年末調整の書類にある「給与所得以外の所得の合計額」の欄には、いくらと書けばよいのかを知りたいというご相談でした。
- 売却益が3,000万円特別控除で0円になり、給与以外の所得がほかになければ、記入額は0円
- 前提は、特例の要件を満たし、確定申告でこの特例を受けること。申告しなければ控除は適用されない
- 控除を受けられない場合は、売却益の金額を記入して基礎控除の額などを判定する
回答
記入するのは「合計所得金額」の見積額
年末調整の書類に記入する「給与所得以外の所得の合計額」は、基礎控除や配偶者控除などを判定するための合計所得金額の見積額です。
マンションなど土地建物の売却による譲渡所得は、給与とは別に税額を計算する分離課税(他の所得と合算しない課税方式)の対象です。別に計算するものの、合計所得金額には含まれます。「分離課税だから書かなくてよい」わけではありません。
特別控除を差し引いた後の金額で判定する
その際の金額は、特別控除を差し引いた後の金額で判定します。租税特別措置法第35条の3,000万円特別控除は譲渡所得の金額から差し引くものとされ、合計所得金額にはその控除後の金額が含まれると整理されています(租税特別措置法第31条・第35条、国税庁タックスアンサーNo.3302)。
たとえば売却益(売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いた額)が1,000万円の場合は、次のようになります。
給与以外の所得がこれだけであれば、記入額は0円です。
前提が変わるときの記入額
| 状況 | 記入額(売却益1,000万円の例) |
|---|---|
| 特別控除を受ける | 0円 |
| 特別控除を受けられない | 1,000万円 |
特別控除を受けられないのは、たとえば次のような場合です。
- 居住期間や売却先の要件(例:親族への売却ではないこと)を満たさない
- 前年・前々年に同様の特例を使っている
この場合は売却益の金額を記入し、給与所得と合わせた金額で基礎控除の額などを判定します(国税庁タックスアンサーNo.1199)。
注意したいポイント
- 確定申告が必要:特別控除は確定申告をしなければ適用されません。売却した年の翌年の申告期限までに、忘れずに確定申告を行いましょう。年末調整で0円と書いても、確定申告が不要になるわけではありません。
- 年末調整と結果が違っても精算できる:年末調整の記入内容と最終的な所得金額が異なっても、確定申告で精算されます。
- 住宅ローン控除との併用に制限がある:新居で住宅ローン控除を受ける、または受けている場合は、3,000万円特別控除との併用に制限があります。入居年やその前後の年に特例を使うと、住宅ローン控除が受けられません。どちらを使うかは事前に確認しておきましょう。
3,000万円特別控除の考え方は自宅兼貸家を取り壊して土地を売却した場合のQ&A、不動産の売却と税率の全体像は不動産売却の税金でも解説しています。
代表の相亰と髙橋が、自らの不動産投資と資金調達支援の経験から構築した独自の財務設計の手法「クレフティメソッド」で、決算書・法人化・次の融資まで設計します。初回のご相談は無料です。
不動産投資家向け税務・融資支援を見るまとめ
- 「給与所得以外の所得の合計額」は合計所得金額の見積額で、売却益も含まれる
- 3,000万円特別控除で0円になり、ほかに所得がなければ記入額は0円。控除を受けられなければ売却益の金額を書く
- 控除には確定申告が必須。住宅ローン控除との併用制限も事前に確認する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
