ご相談の内容
ネットでの販売の売上が、売上の発生した年ではなく翌年以降に入金されることがある、というご相談です。この場合、入金した年に雑所得として「現金主義」で確定申告できるのか。また、そうした場合は、売上が発生した年の収入には数えなくてよいのか、を知りたいという内容でした。前々年の収入は300万円以下とのことです。
- その売上が「業務に係る雑所得」に当たり、前々年の収入金額が300万円以下なら、入金した年に申告する現金主義を選べる
- 現金主義を選んだ場合、売上が発生した年の収入には含めない
- 事業所得に当たる場合は扱いが異なり、白色申告では発生主義になる
回答
原則は「発生主義」
所得税は原則として、売上が確定した年に収入を計上する考え方(発生主義)をとります。年末に売れて翌年に入金された売上は、本来は売れた年の収入です。
雑所得には現金主義の特例がある
令和4年分以降は、前々年の業務に係る雑所得の収入金額が300万円以下の方に限り、実際に入金された金額と実際に支払った金額で所得を計算できる特例があります(所得税法施行令第197条)。これを現金主義といいます。前々年にその業務をしていなかった場合も、収入金額0円として条件を満たします。
特例を使うときの主な注意点
- 事前の届出は不要ですが、確定申告書に現金主義を適用する旨を記載する必要があります(同条第3項)。
- 収入だけでなく、経費も「実際に支払った年」に計上します。売上は入金ベース、経費は発生ベースといった使い分けはできません。
- 300万円以下かどうかは、給与など他の所得を含めた総収入ではなく、その業務に係る雑所得の収入金額で判定します。
事業所得に当たる場合は別
そのネット販売が雑所得ではなく事業所得に当たる場合は、扱いが異なります。
| 所得区分 | 現金主義を使える条件 |
|---|---|
| 業務に係る雑所得 | 前々年の収入金額が300万円以下(事前届出不要・申告書に記載) |
| 事業所得(青色申告) | 青色申告の承認を受け、事前に届出をした小規模事業者 |
| 事業所得(白色申告) | 使えない(発生主義で申告) |
事業所得か雑所得かは、営利性・継続性、帳簿書類の保存状況などから総合的に判断されます(所得税基本通達35-2、タックスアンサーNo.1500)。
注意したいポイント
発生主義から切り替える年の二重計上
前年までは発生主義で申告していて、今年から現金主義に切り替える場合は注意が必要です。前年分ですでに収入に含めた売上を、今年入金されたときにもう一度計上すると二重計上になります。切り替え前後の年は、どの売上をどの年に計上したかを一覧にして整理しておきましょう。
所得区分の確認を先に
現金主義を使えるかどうかは、そもそも雑所得に当たるかで決まります。販売の規模が大きくなってきたら、事業所得に当たらないかもあわせて確認しましょう。
ネットでの副収入の申告については、学生の配達副業とPR案件、レシートなしの経費や無料の食事は申告が必要?やフリマアプリで子ども服やおもちゃを売って20万円超、確定申告は必要?でも解説しています。
まとめ
- 業務に係る雑所得で前々年の収入金額が300万円以下なら、入金した年に申告する現金主義を選べる
- 経費も支払った年に計上し、申告書に現金主義を適用する旨を記載する
- 事業所得なら扱いが異なる。発生主義から切り替える年は二重計上に注意する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
